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[ 文庫 ]
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暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)
・清沢 洌
【岩波書店】
発売日: 2004-10-15
参考価格: 903 円(税込み)
販売価格: 903 円(税込)
中古価格: 159円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・清沢 洌
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カスタマー平均評価: 5
リベラリズムの到達点 著者は「現代外交史のメモ・備忘」としてこの日記を綴っていたのだという。時事問題に対する考察はあくまで冷徹。親米・知米派としてアメリカとの開戦の不可を訴え、勇ましい愛国論を唱えるマスコミ・ジャーナリストに辛らつな批判を加える。 それとまったく矛盾しない、日本という国に対する愛情と、日本人として生き、そして死んでいこうという覚悟。これこそ求められて久しい、正しいリベラリストのあり方ではなかろうか。 清澤の誠実さがにじみ出た好著である。
戦後生れの必読書。戦争中何人がこの視線を持ちえたか 解説によれば、著者は十三歳で内村鑑三の弟子、井口喜源治の「研成義塾」に入門。 その後1907年に渡米。バイトの傍ら政治・経済を学び、新聞記者として身を立てる。 1918年に帰国してからもジャーナリストとして活動。開戦の前夜の38年に石橋湛 山に乞われて東洋経済新報社入り。時代が次第に対米開戦へ向かう中で、自由主義的立 場と的確な状況把握から、時局に流されない冷静な視線を確保しえた数少ない人物のひ とり。湛山の盟友でもある。本書はオリジナルの約三分の一にあたる、開戦後の194 2〜45年迄の部分を抜粋したもの。もっと読みたい方は、ちくま学芸文庫で橋川文三 編、全3巻がある。読んでまず驚くのは、的確な状況把握。まるで起きた事を承知して いる現代人が、タイムスリップして当時に紛れ込んだのかと思える程。 戦中の政府や文化人(特に徳富蘇峰を意識)の戦争感を「仇討ち思想」と喝破し、「日本 はその地理からバランス・オブ・パワーの上にたたねばならぬ。…アジア大陸に対しては そこに必然的に起る列強の衝突に対処して勢力均衡政策をとることが賢明である。」と、 共栄圏構想の行く末を当初から予見している。文章は解り易いです。
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[ 文庫 ]
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撤退―ガダルカナル・コロンバンガラ・キスカ (光人社NF文庫)
・有近 六次
【光人社】
発売日: 2001-02
参考価格: 670 円(税込み)
販売価格: 670 円(税込)
中古価格: 1円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・有近 六次
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カスタマー平均評価: 3
資料としての価値 本書はレビューに記されている通り、3つの地域における撤退戦について記されているものである。いずれも、前線部隊自身による撤退戦を描いたものではなく、後方支援部隊の撤退作戦の様子を描いたものである。 読んで見ての感想としては、軍隊としては普通の仕事を描いている以上の印象を得る事はできなかった。実際に作戦に携わった人による記述ではあるが何か包んでいるベールが残ったままのような欲求不満を感じる。「撤退」という作戦そのものは敵を撃破するような華々しい戦果を伴うものではないため、きちんと仕事をこなしてもあたりまえの印象となりがちである。そのことを割り引いても、3編のうちの2編が参謀による記述であり、仕事を当たり前にこなすべき立場の人が作戦の成功にほんの少しだが過剰な自負が垣間見られるところが本書の読了感を悪化させているように思う。 ただし、当時の旧日本軍としてはあまり語られない撤収作戦を描いているという意味では、比較的入手容易な本書の意義はあると思う。 内容的には星2前後だが、入手の容易な資料的価値ということで甘いが星3としたい。
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[ 単行本 ]
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巣鴨プリズン13号鉄扉 裁かれた戦争犯罪
・上坂 冬子
【PHP研究所】
発売日: 2004-07-01
参考価格: 1,575 円(税込み)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 499円〜
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・上坂 冬子
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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いざさらば我はみくにの山桜―「学徒出陣五十周年」特別展の記録 (シリーズ・ふるさと靖国)
【展転社】
発売日: 1994-08
参考価格: 1,050 円(税込み)
販売価格: 1,050 円(税込)
中古価格: 1円〜
( 通常3〜5週間以内に発送 )
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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我々はなぜ戦争をしたのか―米国・ベトナム 敵との対話
・東 大作
【岩波書店】
発売日: 2000-03
参考価格: 1,890 円(税込み)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,000円〜
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・東 大作
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カスタマー平均評価: 4
戦争に対する反省 ベトナム戦争終結後、ベトナム戦争当時に要職に就いていたアメリカ人とベトナム人が会談するという画期的な企画である。なぜベトナム戦争が始まったのか、なぜベトナム戦争は長期化したのか、という問いに対してアメリカ側、ベトナム側の双方が答えようとする。ここで注目するべきなのは、戦争が終結して20年経っても、アメリカ、ベトナムの両者が全く異なる見解だということだ。ベトナムは共産主義を拡大するために戦っていたわけではなく、国民の独立のために戦っていたと主張し、アメリカは共産主義がアジアに拡大するのを防ぐために戦っていたと主張する。ベトナム、アメリカの両者が同じ場所で議論することにより、ベトナム戦争の特徴が明確に浮かび上がってくる。分かり易く、そして画期的な本です。
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[ − ]
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台湾人と日本人―基隆中学「Fマン」事件
・田村 志津枝
【晶文社】
発売日: 1996-07
参考価格: 2,039 円(税込み)
販売価格: 2,039 円(税込)
中古価格: 150円〜
( 通常2〜3日以内に発送 )
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・田村 志津枝
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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ティーガー戦車隊―第502重戦車大隊オットー・カリウス回顧録〈下〉
・オットー カリウス
【大日本絵画】
発売日: 1995-12
参考価格: 2,730 円(税込み)
販売価格: 2,730 円(税込)
中古価格: 2,050円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・オットー カリウス
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カスタマー平均評価: 4.5
“虎”の戦い、苦闘編 上巻が「激闘編」だとすると、下巻はまさしくカリウス中尉の「苦闘」を描いています。1944年夏には僚友ケルシャーとともにたった2両でスターリン戦車を主とする17両を撃破、と大戦果を挙げますが、以後たいへんな苦闘が始まります。負傷・後送・原隊復帰ならず・西部戦線への異動・未熟な戦車兵や口だけ勇ましい司令官…そして負け戦。著者の語り口は非常にあっさりしてますが、行間からさまざまな感情が伝わってきます。
私たちが働いているとき、何がいちばん辛いでしょうか? 肉体的負荷が大きいこと? 拘束時間が長いこと? 人間関係?…多くの方が「人間関係が辛い」と言うのではないかしら。私もそう思う。そして、戦車兵カリウスも同じだったようです。
彼は仕事に打ち込む職人タイプの人です。上巻で描かれた東部戦線は、肉体的には辛い戦いでしたが、ともに戦う歩兵はねばり強く、指揮官は勇猛で、カリウスにとって献身に値する立派な仲間だった。なにより自分の戦車中隊の戦友がいましたし。
負傷後送され、たった一人で西部戦線に異動させられたカリウスは、孤立無援のタイガー駆逐戦車で米軍に挑むことになります。しかし、敵は米軍だけとは限らないのです…。
弱冠22歳の青年が経験した戦車戦の実録。だけど本書には、戦車や戦闘とは関係なく見える今の日本の私たちの日常にも、相通じるものがあります。「仕事」「生きる」「誠実」「まじめ」といった普遍の価値を、謙虚につづった本だと思うのです。私は本書が大好きです。
もう一つのバンド・オブ・ブラザーズ 最近では映画でもリアルに再現されたティーガー戦車が登場するようになりました。(本物じゃありませんが…) この本では、そのティーガーの乗員達のリアルな実像を知る事ができます。 下編では「シュトラハヴィッツ3次攻勢」・マリナーファの戦闘、そして負傷し本国での出来事、終戦まで描かれていますが、部下や仲間の戦車兵や他様々な兵士との絆や本音などの人間的な部分が描かれて深みのある戦記となっています。 「バンド・オブ・ブラザーズ」(書籍・TVドラマ)は米落下傘兵を描いた秀作ですが、この本もまたドイツ側から描いた「バンド・オブ・ブラザーズ」なので同時に読まれる事をお勧めします。
英雄像に当てはまらない戦車戦エースの私的な戦い 独戦車戦のエースの双璧として並び賞されるミヒャエル・ヴィットマンが英雄然として描かれているのに対し(作られた偶像かもしれないが)、オットー・カリウスはひとりの個人としての戦いを戦い抜いてきたことが本書の文章から滲み出ている。召集検査に落ちた小柄な体、写真からも見て取れる繊細な性格、淡々と続く語り口、それでもまごうことなき歴戦のエースである。著者は負傷復帰後、最強の駆逐戦車ヤークトティーガーを駆ることになるが、ティーガーのエースから見た固定砲塔戦車の印象は、戦車マニアに面白い視点を与える。本書が出版された当時のドイツには、日本の靖国神社、アメリカのベトナム戦争と同様、第二次大戦に関わる全てに対するタブー視があった。本書出版の背景には貶められた戦友たちの名誉回復というもうひとつの彼の個人的な戦いがあったことは特筆すべきである。玄人向けの一冊。英雄譚を求める方にはヴィットマンを薦める。「ティーガーの騎士」、"Tiger Ace"など多くの本が出版されている。
ある戦車兵の物語 ドイツ軍が誇る無敵の重戦車ティーガー。著者カリウスはティーガーを駆り、過酷極まりない前線で華々しい戦果をあげてゆく。ティーガーの本当の姿、何時死の訪れるとも知れない前線での生活、ヒムラーとの会見、そして著者や同僚の生きる姿勢までもが、淡々と、しかし生き生きと語られてゆく。1945年、カリウスとその部下はヤークトティーガーを受領し、続々と迫りくるアメリカ軍と対峙することになるのだが・・・
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[ 単行本 ]
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ライオンに立ち向かって―ナチ占領下で良心に従って生きた少女の記録
・シモーヌ・A.リープスター ・麻布プロデュース翻訳出版部
【麻布プロデュース】
発売日: 2003-11
参考価格: 2,079 円(税込み)
販売価格: 2,079 円(税込)
中古価格: 900円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・シモーヌ・A.リープスター ・麻布プロデュース翻訳出版部
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カスタマー平均評価: 5
斬首刑の数時間前に書いた最後の手紙・・・心に焼き付いています。 もう何回読み返したのか分からないほど読み返して、好きなところには赤線引いて、あちこち赤線だらけ・・・ (^^;
「ライオンに立ち向かって」と聖書の通読は、毎日欠かせない日課となりました♪
斬首刑になっても、死に至るまで忠実だったマルセル兄弟の模範・・・
そして、マルセル兄弟が、処刑の数時間前に書いた最後の手紙がいつも心に焼き付いています。
心が高揚して、ほんわか温かくなるシモーヌ姉妹の体験記を、遺産として受け継いでゆけるように、ひと言でも多く心に刻んでおきたいです。
クリスチャンの方で、まだお読みになっていない方がおられるなら、ぜひ、死ぬ前に一度はお読みになってみてください♪
強制収容所で、体がぼろぼろになっても、決してあきらめなかった兄弟姉妹の模範を読んでいると、勇気と力がわいてきます。
ベルゲンバッハや星の湖、ボーデン湖やゼンティス山・・・美しい雄大な光景も、心の中に広がります! (*^o^*)
一番好きな本です♪ シモーヌ姉妹と仲間のクリスチャンたちが経験した試練と迫害をお読みしていると、自分が経験している試練は、とても小さなものに思えてきます。 生きる力と勇気、たくさんの感動が得られるので、毎日毎日、何回も何回も繰り返し読んでいます。 自分の一生の中で、一番好きな本です♪ 強制収容所で、死に至るまで忠実だった、愛する兄弟姉妹たちのように、自分も勇気を出して、死に物狂いのライオンに立ち向かってゆきたいです!
百人中百人が間違ったことを言っても自分一人でも恐れず正しい決定を貫き通せるよう勇気を った12歳の少女シモーヌがナチスの迫害に立ち向かう。聖書によってナチスのプロパガンダに良心を鈍らされることなくナチスドイツに忠誠を誓うことを拒んだ。一人になっても聖書の原則を当てはめられるよう教育した両親は素晴らしいと思った。親であるすべての人に見習ってもらいたい。 他のクリスチャンと称する人たちが教会に鍵十字を掲げ、政治と結託して民族浄化や戦争を支持したのに対し聖書研究者たちは聖書の約束する神のパラダイスにのみに希望と忠誠を置き、迫害を受けることを甘んじて受け入れた。 シモーヌの友達であったマルセルはナチスに忠誠を誓うことを拒んだために斬首刑にされたが、 「希望は人の持つ最高の宝。すべてを失っても希望だけは持ち続けることができる」と述べた彼自身の言葉を最後まで生き方によって示した。聖書をいつもよく読むことの大切さを学んだ。 ローマ法王がユダヤ人虐殺を黙認して今になって罪を問われていることを思い出した。
たった12歳の少女シモーヌがナチの迫害に立ち向かう 聖書によって訓練された良心によってナチスドイツのプロパガンダに良心を鈍らされることなくそれに立ち向かった。シモーヌが一人になっても聖書の原則を当てはめて正しい決定を下せるよう教えた両親の教育は素晴らしいと思った。他のクリスチャンと称する人たちが教会に鍵十字の旗を掲げ民族浄化を支持してきたのに対し、聖書研究者たちはナチスに忠誠を誓うのを拒み神の約束するパラダイスに信仰を置いて迫害や試練を甘んじて受け入れた。シモーヌの友人マルセルはナチへの忠誠を拒むことによって斬首刑にされたが 「希望は人の持つ最高の宝。すべてのものを失っても、希望だけは持ち続けることができる」と述べ、どんな脅しや死をもってしても神の約束する希望を誰も奪い去ることはできないということを生き方によって示した。老若男女すべての人に読んでもらい。
あらゆる年代の人に訴える内容の本だと感じました。 ナチ占領下を生き抜いた人々の著書の中で、最も有名なものは、「アンネの日記」であるが、アンネより少し年少の少女の記録である本書は、著者が、当時を耐え忍びながら、確固とした希望を保ち、難しい時代を生き抜いたこと、そして現在も同じ信念を保ちながら生活していることが異なった点だと言えるかもしれない。自分自身の持つ信条と照らし合わせて「果たして自分が当時の彼女の年齢で同じ状況に耐え忍ぶことができただろうか?いや、今もし急に体制が変化した場合にどうするのだろうか?」と考えさせられました。 『まだまだ平和だ』とどこか安心しきっている日本人にとって老若男女を問わず、よく黙想する機会を与えてくれる内容の本だと感じました。
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[ 単行本 ]
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ボーヴォワールとサルトルに狂わされた娘時代
・ビアンカ ランブラン
【草思社】
発売日: 1995-04
参考価格: 1,733 円(税込み)
販売価格: 1,733 円(税込)
中古価格: 77円〜
( 通常3〜5週間以内に発送 )
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・ビアンカ ランブラン
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カスタマー平均評価: 4
一気に読ませる面白さ サルトルの情動論素描を読んで疑問に感じたことのひとつに少しヒントがありましたことがまず望外の収穫でしたが・・・サルトル、ボーヴォワールの話題とともに青春、中年を過ごしてきたものには、格別面白いといえます。読後、冷静になって検討すれば、やはり痴話話かな・・と思いもしますが・・どのように書かれていようと、やはりサルトルの魅力は大きいというのが素直な感想です。付け加えると、ラカンの著者への心理分析も面白いです。一読の価値あり、ですが著者の哲学がもう一歩ということで星4つです。
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[ 文庫 ]
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B29撃墜記―夜戦「屠龍」撃墜王樫出勇空戦記録 (光人社NF文庫)
・樫出 勇
【光人社】
発売日: 2005-02
参考価格: 490 円(税込み)
販売価格: 490 円(税込)
中古価格: 193円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・樫出 勇
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カスタマー平均評価: 3.5
あっさりした内容 かなり期待して読んだのですが、割にあっさりした内容で
少しばかり肩すかしを喰った感じです。
心理的な描写や背景的な物は殆ど無く、淡々とある特定時期の
戦闘の状況が書かれています。
もう少し突っ込んだ内容ならよかったんですが・・・・。
岩本徹三の「零戦撃墜王」のようなものを期待されると
少々ガッカリするかも。
手に汗握る、では陳腐か? 大東亜戦争さんも書かれていたように、臨場感溢れる「武士(もののふ)」の戦場に圧倒されます。
同じ光人社の『ドイツ本土戦略爆撃』が、英米独の航空機の性能や作戦の記述に留まり、
また両国とも未熟ながらレーダーを持っていて、それを用いた戦闘だったが
こちらの屠竜は探照灯の明かりだけを頼りに追撃、攻撃しているさまは
地上からも眺められたわけで、まさに迫真です。それから、37ミリ砲を装備した
戦闘機がホンマに撃墜できるのか? という素朴な疑問を、一瞬で吹き飛ばしました。
彼我の戦力に圧倒的な差がありますが、もし、屠竜部隊があと10もあったら
本土は丸焼けにならなかったのではとさえ思いました。
一機の月光が斜め銃で、一晩にB29を5機撃墜した記録も読んだことがありますが、
日本の双発戦闘機の性能は、ドイツに負けないものだったように思います。
とにかくスゴイ。
ただ、カバーのイラストがB29だけなのがとっても残念です。
模型ファンには屠竜の機首をガラス張りにしているトンマなモデルを作る人もいますので
いま一度、紫電改や雷電、月光ばかりでなく、屠竜に注目する人々が増える事を祈ります。
B29 26機撃墜の空の勇者 陸軍のB29撃墜王である樫出勇大尉の二式複座重戦闘機「屠龍」による壮烈なる空戦記録です。陸軍航空は海軍航空の華々しさの影に隠れて、一般にはあまり知られていません。本土防空に活躍され、あの「超空の要塞」B29を26機も撃墜した空の勇者が書き綴った迫真の空戦記録。B29を26機撃墜とは・・・。小型機の撃墜王とは、まったく違う凄まじい記録です。豊富な経験談だけに、その空戦描写は、あたかも読者がその修羅場にいるかのような臨場感をもっており、激しい戦闘の様子が容易にイメージできた。 戦闘の様子は実に詳細に書かれおり、本書の大半以上を占めているが、戦争そのものや政治に関するものは何一つなかった。「命を的に戦ったわれらの戦争はいったい何だったのか?よくわからないと言わざるを得ない」としている。まさしく戦闘機一筋の人であり、戦後も苦労したようだが、「人生において、B29撃墜よりも難しいことはない」と語られているのが印象的でした。機銃の弾幕の中を「忍」の一字で耐えながら突っ込み、激突直前の数十メートルまで近接、自慢の37ミリ砲をぶっ放す・・・。一撃必殺。 屠竜に搭載された37ミリ対戦車砲の威力には度肝を抜かれた。一撃でB29を屠るとは・・・まさにその名のごとく竜を屠る重戦闘機だ。 また屠竜には20mm上向き銃(海軍では斜銃という)も搭載されているが、海軍の「月光」などでは主装備であるにも関わらず、ほとんど使用しないと書いてあったのも意外でした。事実、発射したという記述は一切ありませんでした。 B29に体当たりして同時にニ機撃墜の大戦果をあげた野辺軍曹。たとえ国土防衛のため、同胞、家族を守るためとはいえ、どのような心境だったのだろう。戦果が上がらず責任を感じていたようだが、その凄まじい闘魂と責任感には脱帽する意外にない。このような先輩方の屍の上に、今我々の生活はあるのだとつくづく感じる。
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