迷路や隠し絵、騙し絵が盛りだくさん。しかも、結構難しい。思わず、先に答えを見てしまったり…
大人でも充分、楽しめると思います。
戦前のスーパーエリートとして教育を受け、大本営作戦課で大東亜戦争を企画立案し、戦後ジャパンマネーの尖兵、大商社伊藤忠商事の会長に登りつめ、中曽根政権など行政の光と闇に深く関与した人物。山崎豊子の『不毛地帯』壱岐正のモデルとされ、美化された瀬島伝説そして、保坂正康『瀬島龍三−昭和の参謀史』等に代表される、責任を取らない参謀という二面性のある評価。評価が強烈に分かれる。近代日本の制度的問題点や日本的エリートの問題点を凝縮した人物だと思う。辻政信や服部卓四郎よりも長生きし、その生き様が彼の哲学や叩き込まれた日本的エリートの思想を脈々と体現している。
その彼のハーバード大学での講演です。よく整理された教科書という印象を受けました。主張する点は、大きく二つ。一つは、当時の地政学的状況から日本の大陸政策・対米戦争は、受動的なもので自存自衛のものであるという東京裁判への反論。もう一つは、時代に合わなかった統帥権と行政権の並立的な明治憲法下での国家運営能力の欠如です。
主張するところは、よく理解できます。が、しかし日本の国家制度的な欠陥(当時から軍人もエリートもみんな認識していた)を「国民及びエリートたちが、自らの手で修正できなかった」という反省点がない部分は、腑に落ちませんでした。制度だから仕方がありませんでした、は甘いといわざるをえない、と感じるのだが・・・。
日本のエリートには、ウルトラ学校秀才の瀬島や辻のような責任を取らない参謀ばかりで、全ての責任をにとる将軍や元首というトップエリートがいない(今でも見ない)ことがこの国の欠点なのかもしれない・・・と思いました。瀬島さんのような天才的な調整能力を持った参謀を、使いこなせるトップを制度的に作り出すことこそが、日本社会の目標なのでは?と思う今日この頃です。 単純に、いまあの戦争を考え直すきっかけになればいいあえて、瀬島は大東亜戦争とよぶ。おおきな、アジア大陸の東のほうの日本が起こした戦いである。瀬島に関してはいろいろ批判されているみただが、戦後の彼の経歴を見れば能力実力は優れた人物である。あえて、この戦争を語ることなく避けていた殻が、弁護しようとする気持ちと真実を語りたいという欲求でこの本はできている。
アメリカイギリスとのあの戦争をすべて否定するのではなく。どういう経緯でおきて、どうまけたのかを今知るべきである。 良い本であった 大東亜戦争についての著者のハーバード大学での講演をまとめたもの。旧軍と政府の制度について詳細に解り易く述べられている。その制度について学ぶことが出来るだけでも一読の価値がある。旧軍の制度だけでも好い加減なことを記述してある本が多いことをこの本を読むことで良く判る。