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戦争

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沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫

[ 文庫 ]
沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫


【新潮社】
発売日: 1999-07
参考価格: 660 円(税込み)
販売価格: 660 円(税込)
中古価格: 1円〜
( 通常24時間以内に発送 )
沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫
 
カスタマー平均評価:  3
瀬島が何かはわからないまま
思ったよりも内容が散漫な印象を受ける。 「「瀬島龍三」とは何だったのか」という副題は明らかにミスリードで、瀬島についてのレポートは本書の一部にすぎない。 瀬島に代表される幕僚達の戦後の生き方を追い、「責任を取らない日本型組織のあり方」について批判的に検証することが本書の主眼ではあろうが、登場人物も検証されるエピソードも予想外に多いために、事実の検証方法は歴史家のものと比べて(例えば保阪正康氏のものと比べて)薄い印象は否定できない。 例えば、瀬島について言えば、彼のキャリアの中でもっとも疑惑の目が向けられる終戦間際の対ソビエト交渉やシベリア抑留時に何が話されたのか、当事者のインタビューだけを取るだけではなく、インタビューで語らなかったことを追う姿勢がなければ、それほど価値がない。 服部―辻という日本の精神主義を象徴する作戦参謀が、ノモンハンでの失敗以降も軍の中枢にとどまり続けたことは、敗戦の理由を考えるうえで避けて通れない大きな問題だと思うが、だとすれば彼らを庇護し登用した参謀本部のあり方や陸軍の人事制度について深く追うべきではなかったか。戦後の混乱期に志位正人はじめ将校たちがスパイ活動をしていた事実など、本書の主題からして本質的な問題ではない。 結局は、一つのテーマにあわせて色んなエピソードを集めた本ということになるのだが、「沈黙のファイル」を追い、歴史の闇を明らかにしたという印象は持てない。
4名の取材班による連載記事だからか、一冊を通じてのドライヴ感は不足
 魚住昭を何冊か読み、力のあるジャーナリストだと感じていた。その魚住が共同通信社での末期に参加したこの仕事は、機会があれば読もうと手元に置いていた。ところが9月4日に瀬島氏が亡くなり、今がその機会だと読んでみた。因みに魚住は、訃報を伝えるTVニュースでインタビューを受け、「彼には自分の戦争体験と向き合い、日本がどこで誤ったのかを語って欲しかった」というコメントを寄せていた。  副題に「「瀬島龍三」とは何だったのか」とあるが、船戸与一が解説で仄めかしているように「「瀬島龍三的なる存在」とは何か」という内容だと思う。瀬島氏自身が多くを語らない以上、このXの内実を浮かび上がらせるために外縁を塗りつぶしていく記述スタイルとなり、その結果、瀬島氏その人よりもう少し広く「瀬島的なるもの」が姿を現した、というところか。瀬島という固有名詞は、「戦中戦後の日本の歩みを象徴している」という意味で選ばれた(p306)。  ただ、先行レビューで731部隊の話と瀬島龍三が結びついていないという批判があったが、45年7月に関東軍参謀に転出し敗戦処理に携わった以上、731部隊の撤収・隠蔽工作に関与したと考えるのが自然だろう(p133)。仮に主導したのでなくとも、何が起こったかを把握していたはずだ。本書が問うているのは、だから瀬島氏の「沈黙」に他ならない。  読了後に、瀬島氏が95年6月の自衛隊幹部学校における軍事史学会に招かれて講演を行う冒頭場面を再読した。軍事関係の政商として戦後の地位を築いた人間が、自衛官に「大東亜戦争」の義を説くグロテスクさが、より鮮明に感じ取れた。
すさまじい偏向ぶり
今は貴重となった、生粋の共産主義者(「左翼」)の牙城として知られる共同通信社のものした、赤旗が泣いて喜びそうな極左本。朝日新聞ですら平壤に支局を置けなかったのに、それをやってのけたことをみても、共同通信社の偏向ぶりは明らか。本書にも、瀬島龍三氏とは一切関係なく一次資料に基づく有力な証拠すら見つかっていない731部隊を取り上げたり、旧ソ連の情報将校の証言をそのまま聞き書き、そして彼の行ったシベリア抑留者たちへの巧妙な「赤化洗脳」に対しても、なんら批判的な発言はなし。これでよく出版できたものだ。
悪く書かれすぎ?
この瀬島龍三という人物、山崎豊子「不毛地帯」の主人公、壱岐正のモデルであり、大戦中は若手の陸軍参謀として主に南太平洋、対ソ戦略を立案し、終戦を満州で迎え、シベリアに11年間抑留され、帰国後は伊藤忠商事に入社、防衛産業や石油開発に携わり、伊藤忠の会長を務めた後、中曽根や金丸のブレーンとして、政界のフィクサーと言われるまでになった男である。昔から名前だけは知っていたのだが、実際どんな人物だったのかということをあまり知らなかったため、この本を読んでようやく人と成りを知った。「不毛地帯」は、瀬島龍三が伊藤忠の会長になる以前で終わっており、また、人物像もかなり純粋に描かれているが、実際の瀬島龍三は清濁合わせて飲む、田中角栄を賢くしたような人物だったらしい。「沈黙の?」では、「戦犯が懲りずにまた悪巧みをしている」的なトーンでかなり批判的に書かれており、おそらく「不毛地帯」と足して2で割ったくらいが正確なところなのだろうが、今の日本の政治的、経済的に混沌とした状況というのは、こういう裏で物事を仕切る大物がいなくなってしまったことと大いに関係があるように思う。正論だけでは物事は進まず、時には潤滑油としての必要悪というものもあるのだろう。
なんだこりゃ
「不毛地帯」で美化された虚像でなく、本当の瀬島龍三について知りたい人はいっぱいいると思います。たぶんこの本は、そういった人をターゲットにしていたつもりなんでしょうが、見事なまでに失敗しております。何でこんなのが賞を取ったのかまったくの謎です。
一例を挙げるなら、海軍参謀であったはずの瀬島を取り上げていたはずなのに、途中でいきなり満州に場面が変わり、延々と石井部隊の悪行がとりあげられます。しかし「おおっ、瀬島は731にも関与していたのか。」と興味を覚えつつ読み進んで言っても、結局は瀬島と731の関係をうかがわせる記述すらまったくなく、何でここにこの記述が挟まっていたのか読者を悩ませるといった具合です。
狂信的左翼の集まりとして知られる共同通信社会部のみなさまは、どうやら瀬島の戦争犯罪を糾弾したいと言う名目でこの本を書いたはいいが、これといったものが見つからなかったので、関係ない戦争犯罪をむりやりに載せてみたようです。(w
このような駄本は、とっととゴミ箱に捨てて、保阪正康の著作を読んでください。こちらの著作は、瀬島の実像を批判的、実証的に捕らえることに成功しております。
瀬島のように叩けば埃の出る身である右翼の大物をきちんと批判することすら「左翼」にはまともにできず、どちらかというと保守系文化人である保坂正康がきちんとした批判をしているところに、日本の左翼の病巣の深さがあらわになっていると見るべきでしょうか。

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

[ 文庫 ]
大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

・堀 栄三
【文藝春秋】
発売日: 1996-05
参考価格: 540 円(税込み)
販売価格: 540 円(税込)
中古価格: 200円〜
( 通常24時間以内に発送 )
大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)
堀 栄三
カスタマー平均評価:  5
国家レベルのリスクマネジメント
国家としての危機管理とはなんであろうか、という主題に十分答えられる内容になっている。著者の結論は、「情報」であって、この収集・管理こそが現代の国家レベルでの危機管理だというわけだ。米国のCIAしかり、英国のMI6、またはフランスのDGSE+DST(国防省対外治安総局+国土監視局)がこの任務を負っている。それに比して、日本はどうであったか?これは企業レベルにもいえることであろう。
戦争と情報-現代にも通じる必読の書
「情報は常に作戦に先行しなければばらない」。この書は数ある太平洋戦争の著書の中でも他にはない貴重な記録となっている。なぜなら、「作戦課は情報部の判断を歯牙にもかけていなかった」「作戦と情報が隔離していた」という当時の日本軍の中枢には情報収集と分析を担う立場の参謀が他にほとんどいなかったからである。新任の参謀が手探りの中で情報に対するノウハウを蓄積して駆け抜けた戦争の貴重な体験や教訓がここにはつづられている。印象的なのは、堀が得ていた情報というのは特殊なものは実はあまりないということ。この方面では数少ない先人からの心構えについての教えを胸に、それこそ、それまでの米軍の攻撃パターンの情報、米国のマスコミに発表されている情報、米軍機の簡単なコールサインといったありきたりの情報をコツコツと丁寧に集めて蓄積して分析し、敵になったつもりで考え、いつしか「マッカーサー参謀」とよばれるようになっていく。「ますます複雑化する国際社会の中で、日本が安全かつ確固として生きてゆくためには、なまじっかな軍事力より情報力をこそ高めるべきではないか」。現代にもつながる貴重な教訓を多数含んだ本物の書である。
日本のゲーレン、ドイツの堀栄三
 堀栄三氏の立案した作戦の数々は、綿密に収集した情報を元に作成されていた。だからこそ、マッカーサー参謀の異名で呼ばれるほどの名参謀として名を挙げたのである。よくよく考えてみれば、何事も情報を収集してから初めて何か事を起こすのはあらゆることに通じる常識ではないだろうか? しかし、我が国では情報活動を軽視し、無謀で奇抜で現実的ではない作戦を好む人間が多い。辻正信のように、参謀としての資質が多いに欠けている人間が「作戦の神様」と呼ばれていることを見れば明らかではないだろうか。  今こそ、堀栄三氏の再評価を行わなければならない。堀氏はドイツの諜報機関、BNDの設立者であり、諜報史上最高のインテリジェンス・オフィサーであるラインハルト・ゲーレン将軍に匹敵する。ドイツにゲーレンがいれば、日本には堀栄三がいることを日本人は誇るべきではないだろうか。
インテリジェンスなき日本
太平洋戦争時、卓越した情報分析能力によって米軍の作戦を次々と正確に予測し、「マッカーサー参謀」と渾名された著者が、戦時中の大本営参謀?戦後の自衛隊統幕情報室長の時代を回顧しつつ、今なお情報戦略を持たずに国際政治の中で漂流している日本の現状に警鐘を鳴らす。 堀氏による米軍の戦法(作戦パターン)の解析と、対策の構築が、ペリリューやフィリピンでの日本軍の奮戦に繋がったわけだが、自らの能力の限界を率直に認めているところもあり、単なる自慢話にはなっていない。「堀は」という三人称的語り口に象徴されるように、予断を排して情報を分析する情報参謀出身ならではの客観的な記述が印象的。 日本軍のインテリジェンス軽視を具体的かつ的確に指摘し、本質的・構造的な問題点を炙り出す筆者の深い識見に舌を巻くと共に、敵も知らず己も知らずに無謀な作戦を立て続けた作戦参謀たちの無能ぶりには怒りを通り越して呆れかえる。
情報の重要性を再認識
著者は旧日本陸軍の情報参謀を勤めた経歴をもつ。本書では旧陸軍がいかに情報を軽んじていたか、またその為にどれだけ人命が失われたかについて説明している。逆境の中で著書は情報に関しての職人の勘を体得していく。この職人の勘とは第6感のようなものではない。それは不十分な情報しかなくても、周囲のあらゆる情報を総合して物事が判断できる能力のこと。著者は情報の重要性以上にこの職人の勘の重要性を強く訴えている。それは、原爆投下の徴候を入手していたにも関わらず職人の勘が発揮できず、結局投下を予期することができなかったという経験談を強く訴えている点からもわかる。いくら事実を入手したからと言っても入手した側に事実の裏に秘められた意味を構築する能力がなければどうしようもない。会社人としても生かされるべき教えであり、肝に銘じたい。

ベトナム戦記 (朝日文庫)

[ 文庫 ]
ベトナム戦記 (朝日文庫)

・開高 健
【朝日新聞社】
発売日: 1990-10
参考価格: 546 円(税込み)
販売価格: 546 円(税込)
中古価格: 313円〜
( 通常24時間以内に発送 )
ベトナム戦記 (朝日文庫)
開高 健
カスタマー平均評価:  5
この本はきつかった。
まだ少年と言える時代に読んでしまった。戦争とはいったい何なのか?など考える余裕などなかった。 「ベトコン少年、暁に死す」の項を読まなければ良かったと後悔しつつ読み続けた。胃の辺りが石を飲んだように重くなって、目には涙が浮かんできたのを今でも覚えている。 開高健先生は、私にとって人生の師と勝手に決めているのですが、この本の内容は中学生の私にとっては厳しすぎたと思う。 今、子供にも開高先生の小説を読むように勧めているが、この本はもう少し後にしようと心に決めている。
戦争や人間の存在そのものの本質
 「ベトナム戦記」という本の存在だけは知っていたが、ようやく手にとって読んだ。  これは、開高健氏のベトナム従軍記です。いままで戦争に関する本はいくつか読んだが、「ナンバー・ワン」です。  ベトコン少年の公開処刑を書いた「ベトコン少年、暁に死す」の章から最前線に赴く後半の章は、臨場感があって、実際に開高氏と一緒にいるような妙な感覚になる。一流小説家である開高氏の文章の力だろう。  この本のなかで「ベトコン少年、暁に死す」の章は特に凄い。凄くて深い。「戦争」や「人間」の存在そのものの本質をわしづかみにするような迫力ある文章である。  たとえ、この章だけでも読む価値はある。
不謹慎だが、フライフィッシュングの延長として(肯定論)
 1954年生まれのレビュワーにとっては、「ベトナム戦争」として報じられる戦況の後半部分に意識があるが、前半は、正直言うと「なんでアメリカがあんなところで戦争してるの?」という感じであった。  世の中には、アメリカに留学した小田実さんらの「ベ平連」が盛んにデモをしているのが思い出される。  この時点で、私の知る開高健さんは、山口瞳さんの先輩で、魚釣りの好きな人、お酒を飲む大食漢でしかなかった。この人が何ゆえにベトナムまで行くのかは、中学生の小生には理解不能であった。  高校になって読み、大学になって読み、社会人になって読んだ時にベトナム戦争の帰趨とか、その後のカンボジアの情勢や更には共産国家の終焉などの様々な別の情報が入っていて、彼の文章は素直に受け入れられなかった。  しかし・・・・ここから怒られるかもしれないけれど、ひょっとして、開高健さんは、「文豪」とか「社会評論」とかのややこしいことではなく、『ライズ』のくりかえされる浅瀬にフライを飛ばすフライフィッシングの場所としてとらえたのではないかと思えてきた。命がけのフライの操作ではあったが。  そう考えると妙に分かりやすいのですが、いかがでしょう?
開高大魔王の戦場の観察ぶりを見よ
開高大魔王の1960年代のベトナム戦争の記録だが、今読んでも、まったく古びていない。アメリカ=悪、解放戦線=正義、とのステレオ・タイプの当時の「定説」にも組みしていない。声高に「スローガン」を叫ぶむなしさを知った開高大魔王と凡百の作家、たとえば小田実などとの違いがそこにある。現場では「戦場」を語っても「戦争」は語れない、と、諦観した大魔王の戦場の観察ぶりを見よ。ベトナム戦争の最上の記録の一つでもある。もちろん独特の大魔王の文体「開高節」の完成度は他のエッセイ、小説と変わらない。(松本敏之)
信じられる戦争の記録
ベトナム戦争は歴史上最も自由な報道が許された戦争といわれている。日本人の手による戦場の記録というと、とかく加害者か被害者の立場に立ったものばかりが目につくが、開高健は当事者ではない第三者として中立の立場で現実を直視し、判断し、記録しようとする。

最近のイラク戦争を見ていると、メディアを通して報道される情報がいかにコントールされているかを思い知る。しかし、本書に記録された内容を私は信じることができる。なぜなら、当時すでに小説家としての高い地位にいた一人の男が、命懸けで目撃してきたものだからである。テレビの報道を見ながら、あれこれ発言する作家は多い。しかし、現実に起こっていることを確かめるために実際に戦場まで出かけていくだけの勇気を持つ作家は、今の日本に果たして何人いるだろうか?


ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫)

[ 文庫 ]
ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫)

・高木 徹
【講談社】
発売日: 2005-06-15
参考価格: 650 円(税込み)
販売価格: 650 円(税込)
中古価格: 290円〜
( 通常24時間以内に発送 )
ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫)
高木 徹
カスタマー平均評価:  4.5
衝撃でした。
いわゆる“情報戦” その役目をまさか、民間企業が果たしている事が有るなんて・・・。 衝撃でした。 新聞、テレビ、あらゆるメディアを見る目が変わります。 社会派ノンフィクションですが、 エンターテイメント的な読みモノとしての魅力もアリ。
倫理観を押さえて読もう
ボスニア紛争でムスリム人(この言い方も変だけど)政府のメディア対策を一手に引き受けた広告代理店チームの行動を追ったドキュメントだ。彼らの活躍で、セルビア人=加害者、ムスリム人=被害者と言う構図が構築され、流布され、信じられ、そして、反対できないドグマへと仕立て上げられていく道筋が克明に追われている。上手なメディア戦略というものがどういうものか、目にもの見せられる思いである。わが国のあらゆる組織のトップに立つ人は必読の本だ。 ひとつすごいなあと思ったのは、広告代理店チームが詳細な取材に応じていることだ。彼らは悪びれることなく、クライアントの最大の利益を守ったと言う。そもそも、何をしたかの詳細なレポートを業界団体に提出して賞をもらっているのだ。そして、その賞によって最も有力な広告代理店の仲間入りをしている。他民族のパッチワークの中で、正義(そうブッシュの好きな正義)とは相対的なもので、大衆やメディアが指し示すに過ぎないことを深く理解している。かの国で、学校教育でディベートが重視されるのも当然だし、卑近な事象で争うと弁護士社会となる。日本人は、価値観の似通った中で暮らしているので、そのような考えには嫌悪感を覚えるが、一歩外に出れば、そう言う世界が広がっているのだ。 セルビアが悪の権化に祭り上げられた経緯は、戦前、わが国が悪の権化に祭り上げられる経緯と重なるものがある。ハルノート、リメンバーパールハーバー、国際連盟脱退、にみごとに対応するものをボスニア戦争で見つけることが出来るのは驚くばかりだ。第2次大戦は、戦力、経済力、云々の前に、メディア戦略でまず負けていたわけだ。 現在の牛肉輸入問題にしろ靖国問題にしろ、私は結論はどちらでも良いように思う。ただし、国際世論(本書を読む限りそれは実質的にはアメリカの世論)をいかに味方に付けるか、そのためにどういう手を打つかについてよほど腰を据えて考えていないと、あっという間にセルビアにされてしまうのだ。
イメージの管理
国際社会を動かす「情報」の重要性について、ボスニア紛争という特異事例をよく調べたうえで分かりやすく記述していて、内容的にはまったく異論がない。我々が生きているのが現実ではなく情報=イメージの世界であることがよくわかる。湾岸戦争時の「デッチアゲ」の段階から、嘘ではなく一側面を強調することによる情報操作へ、という流れもそのとおりだろう。 しかし、プロフェッショナルな広告代理店の仕事を綿密に追いかけ、日本社会の情報管理を嘆く姿勢から浮かび上がってくるのは、情報=イメージをよりよく管理しましょう、うまく主張しましょう、という姿勢ではないか。これではどこかの政府が近頃むやみに「主張」していることと同じだ(それだけ本書の影響力が強かったのか)。内容はともかく、とにかく主張するだけ。。。 情報=イメージをいかに管理するか(どのように見せるか)という管理側の発想よりも、そのような擬態をもった情報=イメージをいかに見るか、という受け手側の発想が重要なのだろうと考えさせられる本だった。
社会人としての「実用書」
以前より読もうと思っていたが、結局文庫化されるまで読まずじまい。何となくタイトルと聞こえてくる評判から変な偏見をもっていたからだ。PR会社がボスニア紛争を牛耳ったことを糾弾している安易な批判本ではないか、と。 しかし、この本はそういう単純な図式から遠く離れている。ボスニア紛争において、ルーダー・フィン社のジム・ハーフを中心としたメンバーが、明確なPR戦略と実行力で、如何にボスニア=善、セルビア=悪という明快な図式に国際世論を誘導していったかが、綿密な取材をベースに、しかも非常にわかり易い文体で描かれている。 ここで重要なのは、ジム・ハーフ達が戦争をビジネス化したこと(と、それへの批判)ではない。この本で面白いのは、ジム達が情報の本質を鋭く理解しており、またそれを如何に整理し他者に伝えていくのか、そのノウハウをプロフェッショナルとして見事に手法化していることだ。つまり、事は戦争に限らない。ビジネスでも政治でも、そして学問でも、ある情報をどう整理し如何に他者に届かせるのか、というのが決定的に重要であることをジムたちは見事に喝破している。そして、著者もそのことを十分理解しているが故に、この本ではジム達の手法に対する批判は殆ど見られない。その代わり、著者は丹念な取材で、ジム達のとった戦略、手法、その成否をつまびらかにしていく。よって、この本は単なる国際紛争のルポにとどまらない。例えば僕にとって言えば、いかに自分が日頃のビジネスで情報に対する感度が低いか思い知らされた。この本は、広く情報を扱う人たち、つまり社会人として働いている殆ど全ての人にとって有用な「実用書」と言えるのではないだろうか。
戦争と企業 モスレム
ドイツワールドカップが終わり、急遽日本代表監督として決定したオシム監督の故郷として、今フーチャーされているポスニア。そして1990年代前半に勃発したボスニア独立によるセルビアとの民族紛争。 客観的にこの戦争を見ればどっちの民族つまりモスレム人とセルビア人はどちらも血で血を洗うような殺し合いを繰り広げ、その戦場には正義などの言葉は存在しなかった。 しかしそこにPR企業がフィルターを通し、『エスニック・クレンジング』(民族洗浄)などのPR案を駆使して、全世界の人々を味方につけてセルビアの国際的抹殺を実行した。 僕はこの作品をはじめて読んだとき衝撃を受けました。ボスニア紛争自体そんなに知らなかったのですが、この『戦争広告代理店』というタイトルが気になり読んでみたのですが、人の思惑はある一部の機関によりコントロールされて、それによった結果が出る。その象徴としてこの作品が存在するのではないのでしょうか。

たった一人の30年戦争

[ 単行本 ]
たった一人の30年戦争

・小野田 寛郎
【東京新聞出版局】
発売日: 1995-08
参考価格: 1,682 円(税込み)
販売価格: 1,682 円(税込)
中古価格: 950円〜
( 通常24時間以内に発送 )
たった一人の30年戦争 ※一部大型商品を除く
小野田 寛郎
カスタマー平均評価:  5
壮絶!
以前、テレビで「青春時代を戦争で壊されてしまって可哀相ですね」 と言われて「青春は前倒しで楽しんだからいいんだ、 本当に可哀相なのは戦争で死んだ人たちだよ」 と言った小野田さんの笑顔が忘れられなくてこの本を買いました。 内容は、壮絶なジャングルでの生活、帰還してから届く心無い手紙、 本当に今の私たちには想像もできないような経験を書いてくれています。 説教じみたことや、自分は誰よりも苦労した、などということを全く言わずに、 小野田さん独特の力強さで、私たちを前向きに引っ張っていってくれる本です。
不撓不屈の人
小野田寛郎さんは昭和49年に日本へ帰国された元陸軍少尉です。 昭和20年の終戦に気付かず、他に生き残った3名と共に、 戦地であるフィリピンのルバング島で昭和49年まで戦い続けた軍人です。 私は当時、小学2年生位でしたが、TVのニュースで流れた、 軍服姿の小野田さんの男らしい立ち居振る舞いを未だに憶えています。 小野田さんはゲリラ・諜報の要員の育成機関であった陸軍中野学校で訓練を受け、 遊撃(ゲリラ)戦を行う密命を受けてルバング島に赴任された少尉でした。 そして、もし、味方が滅んだ後は残置諜者(ざんちちょうしゃ)として 敵をかく乱するゲリラ活動を行い続けるようにも密命を受けていました。 小野田さんはそれを実に30年間、忠実に遂行し続け、 日本からの援軍がいつか必ず来ると信じて 孤独な戦いを続けていらっしゃいました。 当初は生き残って行動を共にしていたのは4名だったそうです。 そこから、昭和24年1名が裏切って「脱走」し、3名となり、 昭和29年に1名が銃撃戦で「戦死」し2名となり、 昭和47年に最後の1名も銃撃戦で「戦死」 その後昭和49年に発見されるまでの間は小野田さん1名で過ごされていました。 ほとんどの期間を他の隊員と一緒に過ごしていらっしゃったのですが、 残置諜者という密命は誰にも話してはいけない任務なので、 その意味では非常に孤独に30年間を「たった一人」闘い続けたといえます。 小野田さんの言葉には学ぶものが多いです。 生と死が背中合わせの境遇の中で、死を恐れずに己の任務を果たし続けられた 30年間の実体験の重みのある言葉です。 それにしても、30年間とは・・・ 村の女子供には一切手を出さず、敵軍には命懸けで徹底抗戦され続け、 私利私欲なく己の任務のみをストイックに全うされ続け、 日本に帰られてからもまったくその基本姿勢は変わることがありません。 本当に30年間、不撓不屈の意志で緊張感の中に雄雄しく戦い抜かれました。 軍人(まさしく武士です)の生き様がここにあります。
自分に子供ができたら、、、
絶対小野田自然塾に行かせたい。そう思いました。それとこの本を全国の学校図書館にぜひ置いて欲しい。私は子供の頃から本が好きで戦争に関する本も小学生のころから読んでいましたがそれらは戦争の悲惨さを伝えたものだけだったような気がします。小野田さんのように気高く、崇高の念を持って職務を全うされた方への感謝・感動の気持ちを今の子供や若者にぜひ感じてもらいたい(私も若者ですが)今の日本人が忘れてしまったものを教えてくれる一冊、笑いと涙なくては読めない久しぶりに出会った良書です。
真の日本人小野田さん。
小野田さんは、さきの大東亜戦争を果敢にたたかわれた、まごうなき一勇士であられます。その勇士によって著述されたのが本書です。ここには、喜怒哀楽とともに生と死を凄絶にみつめながらも、そしてそれを生き抜いた者の冷徹な視線があります。私は、生きるとは何か、そして死とは?という命題を、この生命の歓喜なきただれた平和にほうけた日本において、改めて思念させられました。と同時に怒りもまた奔騰してきたのでした。戦後の小野田さんを手をふってむかえたはずのわれらの同胞が、寸時をおかずして、彼を戦争賛美者、軍事国家日本の亡霊などというレッテルをはってブラジルへと追いやったことです。これは、1945年8月15日を境目にして、特攻隊員をはじめとする軍人、そして英霊らに悉く背をむけた、かの醜き日本人そのものの冷たい姿が、またここにもあったのでした。戦後は、いまなお“終わって”はいないのです。しかしながら、著者がすごいのは、そのような仕打ちをうけたにもかかわらず、その後、愛する祖国日本を退廃の亡国より救うべく、様々な活動とともに、日本とブラジルを往復しながら行ってきたことです。なんという大きな器と高らかな人格なのでしょうか。私はその読後、小野田さんとともに、美しい国日本を再生していくことを決心したのでした。
現代の侍
あっという間に読み終えてしまいました。涙が止まらなくなってしまった部分。思わず腹を 抱えて笑ってしまう部分等々非常に興味深い良書に出会えました。 読み進めていくうちに、30年の戦いの中でほとんど私心を出さずあくまで公の心を前面に 出して戦ってきたことに深い感銘を受けました。部下と衝突しても、私心を抑え、あくまでも 帝国陸軍将校として最終的に部下を諭し、国の為、友軍の為に任務遂行に邁進していく。まさ にかつて存在した侍のように・・・。 この本をぜひ、最近とかく「うざい!」「キモい」が口癖になりとかく無気力になりがちな 青少年たち、権利ばかりを主張し、その裏に履行すべき義務を果たさずにいる大人たちに読ん でもらいたい。そして氏のエネルギーを体感して頂きたいと思います。

今日われ生きてあり (新潮文庫)

[ 文庫 ]
今日われ生きてあり (新潮文庫)

・神坂 次郎
【新潮社】
発売日: 1993-07
参考価格: 460 円(税込み)
販売価格: 460 円(税込)
中古価格: 94円〜
( 通常24時間以内に発送 )
今日われ生きてあり (新潮文庫)
神坂 次郎
カスタマー平均評価:  4.5
60年余前の青年たちの心境に思いを馳せる
今から60年余前に、このような時代があったということを、改めてまざまざと見せつけられた。 出てくる登場人物は、ほとんどが、自分と同じ世代である、20代中盤の若者。 彼らは、特攻で玉砕することが使命であると考え、家族や、国民のために死んでいった。 その混じり気のない、純粋な信念に、畏怖すら覚えるとともに、若き青年たちをそのような心理状態にさせてしまった戦争というものの恐ろしさを痛感した。 永世、語り継いでゆくべき記録だと思う。
大切な人たちを守る
まだ、人生の半分も生きていない学徒が否応なく特攻で散っていった。 国体と天皇を守るために散華した、と都合よく理由付けたのは軍の上層部だけであり、 彼らが短い大切な命を投げ出した本当の理由は、大切な人たちを戦禍から守るためであった。 彼らが身を挺して守ってくれた日本という国は今、こんなにも荒んでいる。 彼らの死を無駄にしてはいけない。 現代に生きる我々は、彼らが守りたかった日本という国を、そして世界をもう一度建て直さなくてはいけないと強く感じた。
昭和の防人からのメッセージ。
本書は、特攻隊青年からの永遠の手紙です。 彼らはこの戦争が、いかに不条理で不合理なものであるかを認識していた。 しかし、「やらねばならない。」の一心で参加した。 無論、大切な人を守るために。 年寄りが戦争を決め、若者が兵隊としてとられ死ぬ。 この公式は古来より変わりはしない。 今の自衛隊海外派兵の事実は、きたる有事においての本格的戦闘行為の容認、 本格的軍事活動への初動行為といってもおかしくはない。 きな臭くなって来ている現在において、本書は読まれるべき価値が十二分にある。
平和であること
僕は今22歳なのですが 自分と同じ年くらいの人が、特効をやっていたことに正直驚きました。 自分がもしその立場だと思うと・・・ この作品は若い人だけではなく日本人すべての人に読んでほしいです。
現代人が皆読まなくてはいけない本だと思います。
後世に必ず伝えられなくてはいけない、とても大事な内容の本だと思います。 お仕事をやめられて、資料の収集やこの本の執筆をしてく下さった神坂さんに感謝いたします。 国のために、今では信じられないようなとても苦しい状況の中、亡くなっていかれた特攻隊の方々が、戦後、冷たい扱いをされた(特攻隊はタブーとされた)、という事実を知って、大変に驚いたのと共に、そのように自分達の都合の良いほうへ、義理人情もなくクルリと方向展開した当時の日本政府の対応は信じられません。このような政府だったから戦争に負けたのでしょう。 機会あるごとに、この本を周りの人たちにすすめていきたいと思っております。

ノモンハンの夏 (文春文庫)

[ 文庫 ]
ノモンハンの夏 (文春文庫)

・半藤 一利
【文藝春秋】
発売日: 2001-06
参考価格: 660 円(税込み)
販売価格: 660 円(税込)
中古価格: 114円〜
( 通常24時間以内に発送 )
ノモンハンの夏 (文春文庫)
半藤 一利
カスタマー平均評価:  4.5
日本を世界戦争へ導いた大事件
後の太平洋戦争につながっていくきっかけとも言えるノモンハン事件を描く大作。 戦場の軍人が統帥権をもつ天皇の意向を無視して暴走する様がありありと描かれ、数万人の死傷者を出してもなお自らの非を認めない高級将校に対する怒りがこめられた表現が多くみられます。 特に、悪名高い辻政信参謀に対しての批判は極めて厳しいのですが(もちろん、批判されてしかるべきなのですが)、その表現が幾分感情的に感じられ、単なる辻批判本と受け取られかねないところは若干残念でした。 とはいえ、ノモンハン事件そのものだけでなく、当時の国際情勢、特にヒトラーのドイツとスターリンのソ連の駆け引き、伊英仏の思惑など、複雑を極めた世界のパワーバランスが丁寧に描かれていて、日本にとってのノモンハン事件が単なる局地的戦闘でなかったことがよく理解できます。 とにかく資料の膨大さに感服します。ノモンハン事件のことを全く知らない人は、消化不良になるかもしれません。同じく文春文庫の「失敗の本質」第一章で予習をしてから読むことをお勧めします。
勉強になりました
戦後の「陸軍参謀本部」は、旧大蔵省の主計局といったところでしょうか? バブル経済を壊滅した悪名高い総量規制、橋本政権時の景気上昇時の消費税上げによる 景気冷え込ませ・・・陸軍が三国同盟締結にひた走って日本を敗戦へと導いたのに似ています。 エリートのみが集う閉じられた世界が誤った国策を生み国を滅ぼす。 戦前と戦後は繋がっている、と実感させられました。
重層的な歴史記述
 ノモンハン事件というと,無能な将軍・越権を意に介さない無謀な参謀と,絶望的な状況で死力を尽くした兵隊と・・・という図式がこれほどピッタリくるものはなく,詳細な戦闘シーンの描写が重ねられるのが普通のような気がする(五味川純平など)。  これに対し,本書は,そうした個々の戦闘シーンの描写は一切省いて,昭和14年5月から8月にかけての,全体としての歴史の流れを描写する方に力点を置いている。その結果,ノモンハン事件そのものの事件経過が把握しやすくなっている他,三国同盟や独ソ不可侵条約といった歴史の流れの中でのノモンハン事件の位置付けが理解しやすくなっている。陸軍と政府・天皇との関係も,丹念に描かれている(天皇にやや好意的過ぎるのではないかという気もするが,これは評価の問題であろう)。  すべての人に,是非一読を薦めたい一冊である。
指導者の責任を考えさせる
 ノモンハン事件については、鎌倉英也著『ノモンハン 隠された「戦争」』(NHKスペシャルセレクション)以来です。戦場となり同士撃ちを被ったモンゴルの視点を踏まえた同書は、“ずたずたの当時のモンゴル人たち”という印象でした。『ノモンハンの夏』からは、まず、ソ連軍ジューコフ司令官にもその優秀さが認知されていた日本軍前線を指揮していた連隊長らが、戦死の運命あるいは戦後処理による自殺に追込まれた一方、同事件を独断専行し上記司令官からも「無能」と報告された関東軍の辻政信と服部卓四郎など犠牲の責任を負うべき一部の参謀たちが、同事件後の一時的左遷の後、1941年12月8日太平洋戦争開戦の時に陸軍の中央に返り咲く、それら二つの群像の対比。そして同参謀らに言わば翻弄され戦略的指導性を欠いた、当時の大本営・政府とその責任の浮彫り、という印象でした。当時ここに教訓を学ぶことなく、第2次世界大戦での敗戦と夥(おびただ)しい犠牲を生み出すに至る日本。昨今その開戦突入65周年を迎えました。史実に忠実にノモンハン事件を取巻く各指導層の動向に焦点を当てて描きながら、戦争を巡る指導者の責任を考えさせる作品となっています。
緻密な事実の積み重ねにより言いたいことがはっきりと浮き彫りにされている。
 スターリンの質問に対し、ソ連の幹部はこう答えた。「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」。本書の要点はこれに尽きるのではないか。  権力は人の成長を止めてしまうのだろうか。陸軍のエリート層のように、一銭五厘の赤紙で召集される兵隊の命など歯牙にもかけず、天皇までないがしろにすることはないにせよ、戦後の官僚をはじめ各組織のエリート層も数々の不祥事を招いてきた。若い時の青雲の志はどこかに行ってしまうのだろうか。  また、なぜ自国の力を過信し他国の力を過小評価してしまったのだろうか。日本はバブルの時代にもう一度同じ過ちを犯してしまった。  人間は「歴史は繰り返すこと」を知っていても、それが自分たちの身には起こらないと思うものなのだろうか。  ノモンハンでの出来事だけでなく、いろいろなことを思い起こさせる一冊であった。

秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)

[ 文庫 ]
秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)

・畠山 清行
【新潮社】
発売日: 2003-07
参考価格: 900 円(税込み)
販売価格: 900 円(税込)
中古価格: 530円〜
( 通常24時間以内に発送 )
秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)
畠山 清行
カスタマー平均評価:  4.5
戦時中、日本の諜報員を知るキッカケになりました
今の日本には、諜報員、スパイといった人たちが見えにくい。 でもこれを読んで、日本にも立派なスパイやスパイ養成校があったんだなぁと、 思いました。 スパイ、諜報員へのイメージが変わりました。
著者の熱意ある取材と努力には心より敬意を表す
著者は「日本の埋蔵金」などの著書のある畠山清行氏で、編集はノンフィクションでは定評のある保阪正康氏です。中野学校は、その昔、小生の親族の一人が在籍していただけあり、興味をもって何度も読ませて頂きました。当然ながら「学校」システムそのものの克明な「足跡」調査は難しく、詳細暴露については有る意味インパクトに欠ける印象も否定できません。が、それはそれとして著者の熱意ある取材と努力には心より敬意を表します。時折小生に言葉少なに話して頂いた当時の状況そのものが、この書の随所に書かれており、深く感銘を覚えました。小生は決して戦争肯定論者ではございません。しかしながら、信念を貫きながら生きながらえるという執念にも似た「合言葉」。公私共につまづいていた小生にとっては、なにか、心の底から力が湧いてきたような気がいたします。
かつて存在した日本の情報機関
太平洋戦争において影ながら活躍し、滅びていった日本の情報機関。 その機関員達を養成し、各戦線に送り出していったのが本書のタイトルにもある陸軍中野学校だ。 本書は昭和46年から49年に番町書房より刊行された「陸軍中野学校」全6巻を底本として一部を抜粋し、再編集したものである。 多少資料としては古いものと思われるかもしれないが、旧日本軍の情報機関。 つまりスパイを取り扱った貴重な本であり、また情報戦においても敗北を喫した旧日本軍の実情を暴いた迫真のドキュメントである。 原本の著者である畠山清行氏の丹念な取材と、客観的な視点による描写はとても読みやすく理解しやすい。 本書は中野学校の工作活動は勿論として、その教育・訓練について詳しい描写があり、中野学校が現代の情報機関でも通用する先進的な工作員養成システムを作り上げていたことが伺える。 中野学校の教育精神の礎となった、日露戦争における明石元次郎大佐の活躍も収録してあり、日本のスパイ史を俯瞰する上でも欠かせない本である。 光人社NF文庫から出版されている「憲兵物語」でもあったように 工作活動においては信頼関係こそが非常に重要であるといった見解は、スパイに対して偏見を持っている人にとって大きな衝撃を受けるものではないだろうか。 謀略は「誠」である、という言葉は非常に重い。 ご一読あれ。
インパクト弱い
中野学校で何が行われていたか、どういう組織だったかという検証本。衝撃的事実の暴露はなくインパクト弱い。

イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた

[ 単行本 ]
イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた

・橋田 信介
【アスコム】
発売日: 2004-01
参考価格: 1,575 円(税込み)
販売価格: 1,575 円(税込)
中古価格: 110円〜
( 通常24時間以内に発送 )
イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた ※一部大型商品を除く
橋田 信介
カスタマー平均評価:  4.5
戦場カメラマン。
イラクで凶弾に倒れた筆者です。 すごく危ない場所に行っているはずなのに明るくさわやかに書かれています。 「ホンモノ」に触れさせてもらいました。 内容は読んでもらうほかはないと思います。 同様の系譜の本で R・キャパ「ちょっとピンぼけ」もよろしいかと。
戦場ジャーナリストと言ふ詐欺師
 ジャーナリストは、何故、戦場に行くのだろうか???いや、正確に言へば、全てのジャーナリストが戦場に行こうとする訳ではない。戦場に行こうとするのは、実は、一部の変わった人々なのかも知れない。??「戦争の悲惨さを伝えるため」なのか?「真実を伝えるため」なのか?ジャーナリストでない私がすぐに思ひつく答えはそんな所であった。だが、この本の著者である橋田信介氏は「戦場ジャーナリストは詐欺師である。」と言ふ。橋田氏のこの言葉に、私は、目からウロコが落ちる思ひがした。(橋田氏の言葉の意味は、本書を読んで、理解して頂きたい)だが、その「詐欺師」たちの取材によって、私達は、戦場で何が起きて居るかを知るのである。  この本を読んで、私は、自分が、世界について、何も知らない事を痛感させられた。そして、橋田氏が、いかに素晴らしい人物であったかを知らされた。橋田氏の御冥福をお祈りする。そして、橋田氏が残したこの本が、日本の若い人々に読まれる事を切望する。 (西岡昌紀・内科医/イラク戦争開戦から3年目の日に)
正直に語る橋田氏に胸を打たれた
 橋田信介さんの奥さんと同郷と言うこともあり、かなり興味を持っていた一冊。この本は2晩で読み切ってしまった。興味深く、大切なことがコミカルに描かれた一冊どとおもう。この本を読んで、橋田さんの仕事が無くなる時代を夢見るようになってしまった(苦笑)
人生とは、はかないもの。
 自分のやりたい事をやる。いくつになっても、自分に素直になって行動する。
 それがたまたま、イラクへの決死の取材だったのかもしれませんね。
 年金生活なのに、将来の金銭的安定はまったくない。その前に、奥さんとは別居中で、家庭も崩壊。それでも彼を突き動かしている原動力は、やっぱり「それが好きだから」「真実を伝えることに使命感を感じている」ことの他に何もないと思う。
 正しいとか正しくないとか、それは時代が決めるもの。でも自然破壊と生きているものの命を絶つことは、絶対的にいけない。
 著者は、日本人が忘れてしまった大切な思いを、決死の覚悟で教えてくれようとしてくれました。
平和は勝ち取るもの
 平和ボケした日本では、平和とは、「争いがごと起きていない
状態」だと思いがちであるが、平和は調整され獲得するものである
ということが、本書を読めば感じられる。

 決して、理路整然としているわけではない文章。お世辞にも上品
とか名文とはいえない。「何が言いたいの?」と感じてしまう人も
決して少なくないだろうし、それは無理もない。

 大マスコミではない、いわばアウトローとしての写真家であった
著者の無骨だが、リアリティーある文章をぜひ読んでください。
いろいろなことを感じるのではないかと思います。


コミック昭和史〈第4巻〉太平洋戦争前半 (講談社文庫)

[ 文庫 ]
コミック昭和史〈第4巻〉太平洋戦争前半 (講談社文庫)

・水木 しげる
【講談社】
発売日: 1994-09
参考価格: 560 円(税込み)
販売価格: 560 円(税込)
中古価格: 338円〜
( 通常24時間以内に発送 )
コミック昭和史〈第4巻〉太平洋戦争前半 (講談社文庫)
水木 しげる
カスタマー平均評価:  4.5
著者の自分史
第4巻の本書は昭和17年6月のミッドウェー海戦から昭和19年ニューブリテン島での著者の軍隊生活までを描く。この島での出来事は今までに何度も作品化されているが、このシリーズが一番詳しく正確であると思われる。
いよいよ戦場へ
本巻「太平洋戦争前半」は筆者の野戦行きが決まるところから始まります。そして筆者の分隊がニユーブリテン島のバイエンで全滅するまでを描いています。筆者の連隊はパラオのガスパンに一時滞在したあと、ニューブリテン島に上陸し、戦闘の最前線にいよいよ向かいます。

 本巻の251ページから第6巻にかけての筆者のラバウルでの様子を描いた個所で、ところどころの印刷が荒くなっています。該当個所は「地獄と天国」という作品のセリフを変えて再利用した個所で、おそらく原稿ではなく印刷物から復刻したことによると思われます。「地獄と天国」は『水木しげる戦記傑作大全 別巻』で読むことができますが、これも雑誌から復刻されているので鮮明ではありません。


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 更新日 2007年10月24日   ※ 表示価格は更新時のものです!      メール      相互リンク