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[ 単行本 ]
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超速!最新日本史の流れ―原始から大政奉還まで、2時間で流れをつかむ! (大学受験合格請負シリーズ―超速TACTICS)
・竹内 睦泰
【ブックマン社】
発売日: 2005-05
参考価格: 1,008 円(税込み)
販売価格: 1,008 円(税込)
中古価格: 613円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・竹内 睦泰
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カスタマー平均評価: 4
小説を読む感覚で、勉強可。 日本史の流れをつかむために、世の中にはいろんな試みがあるようだ。歴史シリーズを読むには、非常に時間が掛かり、漫画も、入試と関係の無い記述が多いため、効率が悪い。そこで、こちらの本はどうだろう。
政治史を中心とし、話し言葉で書かれている。小説を読む感覚で勉強ができ、重要人物の写真や系図も網羅されている。そして、なにより横書きではなく、縦書きである点が良いと思う。
ただ、欠点もある。確認問題が皆無。あくまで、教科書的な役割である。また、政治史キーマン暗記表。あれは覚えにくい。ただ人物名を列挙しただけ。覚え方は「早口で」だそうだ。それでは意味が無い。こちらは記憶術を併用したほうが良いかも。芋づる式で。
フローチャートとして。 この「超速」とよく比較されるのが「実況中継」であろう。
個人的な意見では、内容の充実度、つまり一般的な参考書としての価値は後者のほうが
圧倒的に高い。しかし受験勉強においてともすれば暗記教科として敬遠されがちな日本史に、
歴史上の人物の意外なエピソード、裏話等といった教科書にない“人間味”を持たせ、
読者の興味を惹きつけながら流れを大まかに捉えていく技法は非常に評価できるものだ。
また、縦書きであることも、読み物としての超速を大いに成功させた一因である。
知識の無いものがいきなり参考書を開いても、覚えるべきことの多さに混乱することが
多い。「初めての日本史」として本書をお奨めしたい。
本当に流れが分かる、日本史に興味が湧く! 私はしがない中学3年生ですが、定期テストで良い点を取りたいが為に、元々日本史には全く興味はないのですが、この本を購入しました。
日本史はただの単純暗記でつまらないものだ!という先入観に今まで囚われていましたが、日本史は面白くタメになるものだ!と、この本を読破した後、変わりました。
「興味」が湧くことによって、暗記効率は飛躍的に向上し、勉強が苦痛にならなくなる…日本史が好きになりました。
さらには筆者の心意気がひしひしと伝わり、良い先生だなぁと感じました。これって、結構重要なことだと思います。やる気の根源にもなるので…。
ちなみに、私は公立中学に所属していて、歴史のテストが40点付近を彷徨っているレベルですが、この本はすらすらと読めました。
まぁ買うなら、これの続編と同時に2冊買ったほうが良いでしょう。
悪くはないが…… 基礎から始めたい方はもちろん、日本史の良質な参考書を求めている方は、こちらを買うくらいなら石川の実況中継を買ったほうが明らかに良いと思われる。超速より先に買ったのだが、覚えやすさ・理解しやすさにおいては圧倒的に勝っていた。ただ、「読み終えるのにかかる時間の少なさ」という一点においてのみ超速が勝っている。しかしある程度の知識がないと理解できないで空回りする事になるので何度も読み返す必要がある。総合的に見ると、超速シリーズを買うくらいなら実況中継を買ったほうが合格率が上がるという事をここに忠告しておこう。
きっかけとして。 きっかけとして取り掛かるにはすごくいいと思う。
高校1年生向き。
軽く読んでなんとなく頭に入れたら
次の段階に入ればいいと思う。
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[ 単行本 ]
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スーパービジュアル版 早わかり日本史
・河合 敦
【日本実業出版社】
発売日: 2005-02-24
参考価格: 1,365 円(税込み)
販売価格: 1,365 円(税込)
中古価格: 764円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・河合 敦
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カスタマー平均評価: 4.5
趣味の世界 私は受験生や学生でもないし、仕事で日本史の知識が必要でもありません。完全に趣味の世界でこの本を買いました。
細かい年号など必要ないですから、すいすいと読み通すことができました。詳し過ぎないのがいいですね。
でも新聞やテレビ番組でわからないことがあった時に調べられるだけの情報量ももちろん備えています。例えば古河公方足利茂氏とは誰か。
復習用として 日本史・世界史は得意な方だったのだが、 いま、試験を受けろと言われると大変困ります。そんなわけで、本書は電車の中でもさっと読める 復習用としてはうってつけです。 もちろん、本書だけで100点がとれるわけではないですが 興味を持つ・理解を整理する、という点ではスグレ物。
克服 この本で日本史嫌いの妹も克服しました。
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[ 単行本 ]
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鎌倉幕府の成立―鎌倉時代 (学習漫画 日本の歴史)
・入間田 宣夫 ・森藤 よしひろ
【集英社】
発売日: 1998-02
参考価格: 893 円(税込み)
販売価格: 893 円(税込)
中古価格: 338円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・入間田 宣夫 ・森藤 よしひろ
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989
・半藤 一利
【平凡社】
発売日: 2006-04-11
参考価格: 1,890 円(税込み)
販売価格: 1,890 円(税込)
中古価格: 1,300円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・半藤 一利
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カスタマー平均評価: 4.5
日本人が知らねばならない慰安婦問題 この問題が他の戦争関連の問題と大きく違う点は、70年代まで一切問題視されなかったということである。日本の反日学者や韓国の学者ですら「戦場で商売していた売春婦」として問題にしなかった。「政府・軍による強制連行」の話が出て初めて問題化し、韓国にも伝わったのである。慰安婦運動は、89年に大分の運動家が韓国で元慰安婦を探したのが全ての始まりである。この時会った毎日新聞の下川記者は「原告を探すという発想には正直驚いた」と語っている。この後、朝日新聞の「政府・軍による強制連行」の大宣伝の影響もあり、日韓の国際問題に発展していくことになる。
本当に「過去を直視」すべきは朝日新聞 現在、国際社会では「日本国は国策として女性を強制連行し性奴隷とした」という話が常識となっている。そうなった最大の原因は、朝日新聞の「政府・軍による強制連行」の嘘話の大宣伝である。その朝日新聞は現在、「官憲による強制連行があったかどうかは枝葉であり、問題の本質から目をそらそうとしている」と言っている。人間ここまで汚くなれるのだろうか?ならば朝日の記者は世界中に飛んで「実は政府・軍による強制連行の証拠は一切無いんだ」と誤解を解くべきだろう。それが責任のとり方じゃないのか?朝日の記者にだって少しは良心があるのだろう?
悪質な多事争論 3月5日の多事争論で筑紫哲也氏は、慰安婦問題での安倍総理の答弁について「業者にそういうこと(強制連行)をやらせたことに強制性があるという、まあ日本人が聞いてもわからない説明であります」と述べている。まず安倍総理はそうは述べていないし、「やらせ」た証拠もない。通達の1枚たりともない。「悪質な業者を取り締まれ」という通達ならある。発言を捏造しておいて、日本人が聞いてもわからないとしている。汚いとしか言いようがない。慰安婦問題については、小林よしのり著『戦争論2』の「総括・従軍慰安婦」だけでいいから、ぜひ読んでほしい。
戦後の昭和史の決定版 1945年までを綴った前著を読んだとあらば、本書は必読です。厚みはありますが、講義風で読みやすいものです。表題では1989年までとありますが、実際には1972年の沖縄返還までとなっています(それ以降はまだ歴史になっていない、ということ)。それにしても、日本とは、日本人とは、いろいろと考えさせられる本でした。20代前後の、これからの日本を作っていく若い方々に、特にお薦めできる本ですね。
歴史「通」なら戦前・戦中よりも戦後史の面白さを発見しよう 前作に引き続き、講義形式なので、内容的に巻き気味にはなるのですが、それでも最低限おさえるべきところはおさえているので、昭和史の読みやすい教科書として前著と同じくお奨めできます。
また、半藤氏は同時代を生きた人であるので、学術的な歴史本にない、オーラルヒストリー的な「なまの歴史」の魅力を持っているところが本書の良いところだと思います。
具体的には、降伏後、GHQが進駐する前までの東久邇宮内閣の「無反省」ぶりや、8月20日?25日にかけて国民生活が劇的に変わったこと、DDTとペニシリンの摂取によって、アメリカと日本の国力の違いを思い知ったこと、闇市の誕生の経緯、ラジオ放送「真相はこうだ」をどう聞いたかなど、政治史とは無関係でも庶民の生活実感が伝わるエピソードが多く興味深いです。
いっぽうで重要なエピソードをすっとばしていたりもするので、私が気づいた中では、公職追放と財閥解体、農地解放の3つは重要施策にもかかわらず、ちょっと触れている程度なので---まあ、話としてあまり面白くないということなのでしょうが---別の本で勉強してみると戦後史がより立体的に理解できると思います。
さて、本書の中で明らかな誤りを2箇所見つけたので、訂正しておきます。
1つ目は、山口判事が餓死した事件で、「遺書」を引用していますが、これは新聞記者が捏造したものであることがほぼ判明しています。(礫川全次『戦後ニッポン犯罪史』を参照)
2つ目は、東京裁判で、ソ連検事団の申し入れにより、真崎・阿部を外して梅津・重光を入れるという「被告の入れ替え」がされたとありますが、これは児島襄『東京裁判』の誤りをそのまま引用しているものです。(粟屋憲太郎『東京裁判への道 下』を参照)
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[ 文庫 ]
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コミック昭和史〈第5巻〉太平洋戦争後半 (講談社文庫)
・水木 しげる
【講談社】
発売日: 1994-10
参考価格: 560 円(税込み)
販売価格: 560 円(税込)
中古価格: 495円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・水木 しげる
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カスタマー平均評価: 5
著者の自分史 第5巻の本書は昭和19年のインパール作戦から昭和20年著者が左腕に重傷を負って切断手術を受けたところまでを描く。最後の章のはじめにある「私はなんでこのようなつらいつとめをせにゃならぬ・・・」の文句には言葉が詰まる。
実録・総員玉砕せよ! 本巻「太平洋戦争後半」ではバイエンで筆者の分隊が全滅した後の様子が描かれています。筆者は命からがらズンゲン支隊に合流したのもつかの間、大隊長(成瀬少佐)が玉砕命令を出します。しかし支隊の児玉中隊が遊軍戦に転じたため、筆者は九死に一生をえます。中隊はマロンガからヤンマーへ向かいますが、マラリアで病床にある筆者は爆撃をうけ片腕を失います。本書のバイエンからの逃避行では筆者は単独で行動していますが、「敗走記」(ちくま文庫の『幽霊艦長』に収録)では同僚の鈴木と合流しています。紙数の関係で省略したのでしょうか。この点だけ疑問が残りました(実際のところ単独行動だったようです)。 また本巻のニューブリテン島でのエピソードについては『総員玉砕せよ』の原稿が多数使用されています。『玉砕せよ』のあとがきで筆者は9割が事実と書いていますが、こちらのほうが史実にそくしていますので、あわせて読むとよいと思われます。
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[ 単行本 ]
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逆説の日本史 13 近世展開編江戸文化と鎖国の謎
・井沢 元彦
【小学館】
発売日: 2006-06-02
参考価格: 1,680 円(税込み)
販売価格: 1,680 円(税込)
中古価格: 1,400円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・井沢 元彦
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カスタマー平均評価: 5
日本人必読の書 「教科書」や安っぽい「時代劇」の世界しか知らずに「歴史嫌い」になっている多くの「日本人」にとくにお勧めです。
また、このシリーズを読まずして「歴史好き」とは、絶対、言わせません。
この本はそれ程に「面白く」、目からウロコが落ちる内容です。
本13巻では、織田信長がなぜ、凄いのか。徳川綱吉がなぜ「名君」なのか、なぜ「鎖国」したのかなど、「納得」の論理が展開されています。
「歴史」を学び、理論武装したい方は勿論、全ての日本人に「絶対読めよ」と、お勧めの「考え方」を解く、本物の人たちに人気のシリーズです。
最近のニュースが、イマイチ解りにくいという人たちも、これを読めば一目瞭然の1冊と申し上げます。
「あなたも買いなさい。」
やはり面白い!! 日本の歴史全体に関して教科書的な知識なら一応は持っているつもりでいた私だがこのシリーズは自分の知らない事がいかに多かったかを教えてくれる。古文書等の原文掲載部分以外はエッセイのような平易な文章で肩を張らずに気軽に読めるのが良い。こういうスタイルの本が歴史の他の分野でも増えてくれる事を願います。井沢氏の本の長所はあらゆる読者がついてこれるようにゆっくりわかりやすく時に寄り道のようなことをしながら論を進めてくれるところです。トリビア的知識も得られたり歴史ロマンを掻き立てられるところは司馬遼太郎さんの対談集に似ているかな。私はこのシリーズのファンなので単行本も文庫本も買っています。おすすめです。
シリーズ13作目 綱吉名君論を展開 ジリーズ13作目、江戸時代に突入してからは二作目の本書。
鎖国に至った細かな経緯や、江戸時代初期の改易による浪人問題等を取り上げている。
中でも興味を引くのは作品後半にある綱吉名君論。
得意の井沢氏の論法で、言われれば納得がもりだくさん。
期待を裏切らない作品です。
流れからしてシリーズ14作目はこの著者の綱吉論から展開していくのでしょうか、次回もまた楽しみです。
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[ 新書 ]
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民権と憲法―シリーズ日本近現代史〈2〉 (岩波新書)
・牧原 憲夫
【岩波書店】
発売日: 2006-12
参考価格: 777 円(税込み)
販売価格: 777 円(税込)
中古価格: 350円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・牧原 憲夫
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カスタマー平均評価: 4.5
帝国憲法体制の成立までの政治・経済・社会の変化 本書は帝国憲法体制の形成過程に主眼を置き、
またこれが五つのテーマのうちの一つです。
第二のテーマは政府と民権派とは異なる要素として民衆を描くというものです。
第一章「自由民権運動と民衆」において政府の重税や徴兵制に反対し、
経済的保護の撤廃を叫ぶ民権派にも支持できない民衆が描かれています。
第三のテーマは近代化による人々の生活や意識の変化です。
第三章「自由主義経済と民衆の生活」と第五章「学校教育と家族」において
自由経済の進行により勤勉と自律が人々の意識の内に植え付けられ、
それを学歴主義が支えることになったとしています。
また女性は「良妻賢母」(特に「賢母」)になることを要求され、
女性が「家」と「家庭」の両挟みになったとしています。
第四のテーマは欧米に文明化を要請された日本が周辺地域に
どのように文明化を強制したかについてです。
このテーマは第四章「内国植民地と「脱亜」への道」で展開され、
北海道と沖縄が日本に強制的に編入され、地元住民は「本土」以下の
扱いを受けたと告発しています。
また吉岡弘毅(121‐123頁)と植木枝盛(123頁)の主張を挙げて、
中国や朝鮮の植民地化を正当化した福沢諭吉や民権派の文明論・対外論は
「時代の制約」を理由に免罪できないと強く批判しています。
第五のテーマは「文明的」と「日本化」が相互補完的であるということです。
これは第六章「近代天皇制の確立」において君主の権限の強い憲法でしたが、
政府の「輔弼」と議会の「協賛」がなければ政治運営が不可能であったことを
指摘しています(190‐191頁)。
第二章「「憲法と議会」をめぐる攻防」で松方デフレが豪農層と民権派とを
切り離す極めて政治的な経済政策であった(64頁)と鋭く突きながらも、
全体から見れば印象が弱くなっているのが惜しかったです。
とはいえ、帝国憲法体制が成立するまでの政治・経済・社会の変化を概観できる良い本です。
「国民国家」の建設過程を、運動や社会にも注目しつつ描き出す 日本の近現代史研究はこれまで、明治政府がいかに日本という「近代国民国家」を作り上げて行ったかという過程に焦点を置いてきた観がある。一方、そのような「政府⇒社会」の作用のみならず、「社会⇒政府」の作用に注目する論者は、民権運動に過度に重きをおくあまりに「政府VS運動」の二極の構図に囚われ、必ずしも運動によって代表されてはいなかった民衆を描くことに失敗していた。本書は、「政府・運動」の二極対立ではなく、「政府・運動・民衆」の三極対立こそがもっとも実態に近い視角である、という問題意識のもとに描かれる、岩波新書の日本近現代史シリーズ第二巻である。
他の方のレヴューでも指摘されているように、「民権と憲法」というタイトルからは若干外れるのではないかと思われる部分もなきにしもあらずである。しかし、大日本帝国という近代国民国家の建設過程を描き出すことが本書の主眼目であることを念頭に入れて読むならば、決して失望させられるような内容ではない。単なる政治史に陥らず、民衆の生活や、民権運動までもが一様に抱えていた植民地主義の萌芽、近代的な教育制度の社会におけるインパクト、近代家族の成立など様々な視点が盛り込まれ、非常に興味深いものがある。
特に興味深かったのは、近代的な「国民」の創出の過程では、「愛国心」や「天皇」を掲げつつ政府を批判し民衆の支持を獲得していった民権運動が果たした大きな役割があったとする指摘である。この点、「国民」は権力によって上から創出されたとする従来のナショナリズム論にはない、新しい視点である。
日清日露戦争やその後の戦争の挙国一致体制成立の根源は何だったのか、本書で描かれる「国民」創出過程を足がかりに考えてみたい。
「実に面白い」が・・・。 興味深く読んだ。その意味で買って損はない。
A)肯定的な側面。明治前期の史実に関するリソースとして価値は高い。というより、大量の、気付きにくい、ただし重要な情報満載である。学界での研究業績への周到な目配りには感心した。読者はこの本のどこかしらに、己の興味関心を惹く話題を眼にすることができる。私にしても、幾つもの再発見をさせてもらった。
B)否定的側面。History なのに story がない。私は、「面白い、面白い。」で読了したあと、「さて、俺は何を読んだのだろう。」と、暫し首を傾げてしまった。これは、史書として少々、致命的。
ただし、この点について、著者はその苦衷を正直に「あとがき」に記している。
「「民権と憲法」というタイトルでこの時代を描くのは気が重かった。」p.207「だが、私自身はそれらを活用してまとまりのある歴史像を描けるまでには至らなかった。」同上
一つ言えることは、著者も漏らしているように、タイトルと内容の齟齬である。タイトルから受けた私の予断は、簡便で最新の「明治憲法成立史」なのかな、であった。それでちょっとワクワクもしていた。その点、結果的に些か失望した。 これは、著者の責任というより、出版社側、ないし編集者側の問題だろう。「民衆と憲法」というタイトル、ないし主題で依頼するなら、近代日本を領分とする法史学系か、政治史学系、ないし思想史系の研究者に任せるべきだった。
逆に、この著者を出版社として選んだなら、タイトル、ないし主題は、「民権から憲法へ」、とか、「臣民の誕生」、「民草から臣民へ」といったものが適切だったろうと思う。そうしたら、著者も生き生きと己が納得する一書をものすることができたかも知れないと推察する。その無理が、せっかくの食材をおいしい料理へと化学変化させられなかった最大の問題と考える。
岩波新書日本近現代史シリーズ第二弾 第一弾に続いて、明治政府の国民国家化を中心に描く。
国民国家と競争社会が確立した現代の原点ともいえる時代を、政府・民権派・民衆の三極対立という視点からとらえているが、徴兵制、学校教育、フェミニズム、北海道、沖縄、東アジア外交などの現代につながる「日本」という国民国家の成立を憲法や天皇制の成立を中心に見ていく。
ややタイトルと内容に乖離があるという印象がある。
国民国家化の政策には批判的な態度の見え隠れする、やや左よりのオーソドックスな通史といえる。
今も昔も日本の経営者は安い給料で乗り切ることしか考えていないんだ… 「はじめに」で述べているように《近代国家建設という目的を共有したがゆえに、鋭く対立せざるを得なかった明治政府と自由民権運動のほかに、政府に強く反発しながら民権派とも異なる願望をもった民衆という独自の存在を加えた、三極の対抗という新しいとらえ方》で描かれてはいるんでしょうが、結論的に云って、それが成功していとは思えないんですよね。もしかして民権派と民衆が最終的に対立し、先鋭化した部分が壊滅することによって、逆に政府の自由度が増した、ということなのかもしれませんが。岩波的には民衆の底辺からの民権運動っていうのを書いてもらいたいのかもしれませんが、「あとがき」で書いているように民権運動史の研究が停滞していのに加え、当時の人々の願望が反映されたものとして民権運動を見直すという研究を十分には反映できなかったことにあるのかな、と感じましたが、いかがなもんでしょう。
感動したのは、繊維産業を支えたのが高価な海外製品などを使わずに鋳物職人たちにつくらせたボイラーや陶器だったこと。こうした安価な製品で製糸場をつくる工夫をするとか、座繰器による生糸の品質を安定させるために、もう一度まき直す場返しを行うことで品質向上と均一化をはかったなんていうことで輸出産業が離陸していくんですね。木製ジャーガードを作っちゃう発明家も現れるなど、当時の職人はすごいですな。やがて大規模な紡績工場も大阪紡績の成功によって各地で設立が相次ぐんですが、そこで働いていた女子労働者は、本土イギリス並の工場法が施行されたインドを、それ以下の賃金と深夜割り増しの廃止などによって駆逐していったというのは、ちょっとガックリしました。
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[ 文庫 ]
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出雲国風土記 (講談社学術文庫)
【講談社】
発売日: 1999-06
参考価格: 1,260 円(税込み)
販売価格: 1,260 円(税込)
中古価格: 999円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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カスタマー平均評価: 5
古代出雲の風土。 『出雲国風土記』の全訳註。巻末には原文を収録し、また『出雲国風土記』の地名マップもつけています。 本文は読み下し文で進められます。『出雲国風土記』は、《郡総記/郷/山河/郡境路程》というように大変整然としていることもあって、そのつど現代語訳、註、解説をほどこす丁寧な構成になっています。見所はやはり『記紀』にはない独自でより素朴な神話伝承の世界。また整理された内容から古代出雲の地理がよくわかります。巻末の地名マップを参照するとより理解できます。 単に神話伝説を読むだけでなく、古代出雲の地理の理解のために。また日本神話の形成や、出雲国造家と中央政権との関係を考える上でも重要な1冊。
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[ 単行本 ]
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新 歴史能力検定日本史問題集
・歴史能力検定協会 ・野島 博之
【山川出版社】
発売日: 2005-09
参考価格: 950 円(税込み)
販売価格: 950 円(税込)
中古価格: 700円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・歴史能力検定協会 ・野島 博之
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カスタマー平均評価: 4
日本史を学ばなかった人にも有効 この問題集は量的に多からず、少なからず、また難問奇問の類は入っておりませんので初心者には丁度良いと思います。
日本史の勉強と資格取得の一石二鳥を狙いましょう。
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[ 文庫 ]
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ノモンハンの夏 (文春文庫)
・半藤 一利
【文藝春秋】
発売日: 2001-06
参考価格: 660 円(税込み)
販売価格: 660 円(税込)
中古価格: 114円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・半藤 一利
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カスタマー平均評価: 4.5
日本を世界戦争へ導いた大事件 後の太平洋戦争につながっていくきっかけとも言えるノモンハン事件を描く大作。
戦場の軍人が統帥権をもつ天皇の意向を無視して暴走する様がありありと描かれ、数万人の死傷者を出してもなお自らの非を認めない高級将校に対する怒りがこめられた表現が多くみられます。
特に、悪名高い辻政信参謀に対しての批判は極めて厳しいのですが(もちろん、批判されてしかるべきなのですが)、その表現が幾分感情的に感じられ、単なる辻批判本と受け取られかねないところは若干残念でした。
とはいえ、ノモンハン事件そのものだけでなく、当時の国際情勢、特にヒトラーのドイツとスターリンのソ連の駆け引き、伊英仏の思惑など、複雑を極めた世界のパワーバランスが丁寧に描かれていて、日本にとってのノモンハン事件が単なる局地的戦闘でなかったことがよく理解できます。
とにかく資料の膨大さに感服します。ノモンハン事件のことを全く知らない人は、消化不良になるかもしれません。同じく文春文庫の「失敗の本質」第一章で予習をしてから読むことをお勧めします。
勉強になりました 戦後の「陸軍参謀本部」は、旧大蔵省の主計局といったところでしょうか?
バブル経済を壊滅した悪名高い総量規制、橋本政権時の景気上昇時の消費税上げによる
景気冷え込ませ・・・陸軍が三国同盟締結にひた走って日本を敗戦へと導いたのに似ています。
エリートのみが集う閉じられた世界が誤った国策を生み国を滅ぼす。
戦前と戦後は繋がっている、と実感させられました。
重層的な歴史記述 ノモンハン事件というと,無能な将軍・越権を意に介さない無謀な参謀と,絶望的な状況で死力を尽くした兵隊と・・・という図式がこれほどピッタリくるものはなく,詳細な戦闘シーンの描写が重ねられるのが普通のような気がする(五味川純平など)。
これに対し,本書は,そうした個々の戦闘シーンの描写は一切省いて,昭和14年5月から8月にかけての,全体としての歴史の流れを描写する方に力点を置いている。その結果,ノモンハン事件そのものの事件経過が把握しやすくなっている他,三国同盟や独ソ不可侵条約といった歴史の流れの中でのノモンハン事件の位置付けが理解しやすくなっている。陸軍と政府・天皇との関係も,丹念に描かれている(天皇にやや好意的過ぎるのではないかという気もするが,これは評価の問題であろう)。
すべての人に,是非一読を薦めたい一冊である。
指導者の責任を考えさせる ノモンハン事件については、鎌倉英也著『ノモンハン 隠された「戦争」』(NHKスペシャルセレクション)以来です。戦場となり同士撃ちを被ったモンゴルの視点を踏まえた同書は、“ずたずたの当時のモンゴル人たち”という印象でした。『ノモンハンの夏』からは、まず、ソ連軍ジューコフ司令官にもその優秀さが認知されていた日本軍前線を指揮していた連隊長らが、戦死の運命あるいは戦後処理による自殺に追込まれた一方、同事件を独断専行し上記司令官からも「無能」と報告された関東軍の辻政信と服部卓四郎など犠牲の責任を負うべき一部の参謀たちが、同事件後の一時的左遷の後、1941年12月8日太平洋戦争開戦の時に陸軍の中央に返り咲く、それら二つの群像の対比。そして同参謀らに言わば翻弄され戦略的指導性を欠いた、当時の大本営・政府とその責任の浮彫り、という印象でした。当時ここに教訓を学ぶことなく、第2次世界大戦での敗戦と夥(おびただ)しい犠牲を生み出すに至る日本。昨今その開戦突入65周年を迎えました。史実に忠実にノモンハン事件を取巻く各指導層の動向に焦点を当てて描きながら、戦争を巡る指導者の責任を考えさせる作品となっています。
緻密な事実の積み重ねにより言いたいことがはっきりと浮き彫りにされている。 スターリンの質問に対し、ソ連の幹部はこう答えた。「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」。本書の要点はこれに尽きるのではないか。
権力は人の成長を止めてしまうのだろうか。陸軍のエリート層のように、一銭五厘の赤紙で召集される兵隊の命など歯牙にもかけず、天皇までないがしろにすることはないにせよ、戦後の官僚をはじめ各組織のエリート層も数々の不祥事を招いてきた。若い時の青雲の志はどこかに行ってしまうのだろうか。
また、なぜ自国の力を過信し他国の力を過小評価してしまったのだろうか。日本はバブルの時代にもう一度同じ過ちを犯してしまった。
人間は「歴史は繰り返すこと」を知っていても、それが自分たちの身には起こらないと思うものなのだろうか。
ノモンハンでの出来事だけでなく、いろいろなことを思い起こさせる一冊であった。
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