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[ 文庫 ]
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逆説の日本史〈7〉中世王権編―太平記と南北朝の謎 (小学館文庫)
・井沢 元彦
【小学館】
発売日: 2003-02
参考価格: 630 円(税込み)
販売価格: 630 円(税込)
中古価格: 200円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・井沢 元彦
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カスタマー平均評価: 4.5
室町時代の政争ってこんなに面白いんだ 「逆説シリーズ」第七作。"建武の新政"の失敗から"恐怖の魔王"足利義教の死までを描いている。義満・義教の評価を初めとして、「室町時代の政争ってこんなに面白いんだ」と実感させてくれる出色の出来。
"建武の新政"の失敗が、他人の事を考えない後醍醐天皇のワガママによるという指摘はごもっとも。日本においては、天皇自らが策動すると国が乱れるという典型である。間に「太平記」を題に採って、朱子学と老荘思想が語られる。朱子学が自縄自縛の学問であり、危険性を孕んでいるという事が良く分かる。次いで南北朝の争いが語られる。この発端は勿論、後醍醐の責任だが、やはり政争が長引いたのは尊氏の優柔不断のせいだと思う。井沢氏も言う通り、尊氏は「良い人」だったかもしれないが、頼朝・家康のようなビジョンに欠けていた。しかし、この当時は下克上という概念はなかったようだ。本書を読むと、高師直が足利政権を乗っ取っても不思議ではないように思われるが、この時代では許されなかったのであろう。そして、義満論。「天皇になろうとした将軍」の著者としては自家薬籠中の話題。義満の野望にここまで迫った論者は他にいないだろう。最後に、歴史の教科書には登場しない"恐怖の魔王"義教論。本書を読むと、歴史が何故義教を取り上げないのか不思議である。特に義教が信長の先駆者と言う指摘は鋭い。
義満を積極的に取り上げ、しかも義教という普段余り取り上げられない"隠れた傑物"を肯定的に取り上げる等、著者の本領を発揮したシリーズ中の傑作。
言霊思想が克服されると、著者の主張する日本史原理が反証されるのではないでしょうか 私も『太平記』の分析が面白かった。足利尊氏・直義の対立、南朝の延命、鎌倉府の独立から義教の政策までの絡まり具合は複雑で、これまでよく理解できなかったのだが、本書の説明で一応頭の中の整理はついた(複雑なのは相変わらず)。金閣寺三層構造の話も納得。著者はあとがきで、逆説シリーズの目標は「クロッキーでよいから、日本史の全体像を描き出すこと」だと書いている(p427)。それは良いのだが、実はここまで読み進めてきて気づいたことが一つ。イザワ本を読んでいると、何だか元気がなくなるのだ。で、それは何故かと考えてみた。
著者はシリーズの随所で日本の「言霊信仰」の抽象性を批判する。この巻でも後醍醐が「軍隊」を「ケガレ」と見たため、「有事」に現実的な対応ができなかったと説明(p15その他)。あるいは足利義教再評価の過程で、「和=話し合い至上主義」の限界を指摘する。ところが、これらが「日本史を貫く鉄則・原理」(p391、p411他)だと示すことこそが、本シリーズ全体の主題に他ならない。「普通の国」を志向した義教も信長も「日本の根本秩序を揺るがそうとする人間に対する」フィードバックによって歴史から抹殺された(p416)。天皇制秩序を壊乱する者は例外なく挫折した(その割に、何度か皇統の断絶が起こっているらしいのだが…)。
少なくともここまで読む限り、本シリーズは「日本では改革者は必敗」という、実にネガティヴで根暗な物語なのだ。これじゃ元気出るワケがない。加えて、義教評価に際して「最大領土」の尺度をグローバル・スタンダードのように持ち出す件りがあるが(p401)、私は現代世界にそのような評価基準が通用するとは信じがたい。
尊氏、義満、義教 室町幕府の成立からその最盛期である足利義教まで。幕府といっても徳川幕府ほどの力はなく、九州などはなかなか統治できないなど、鎌倉幕府に続いてその実態がよく分かる。 そしてもちろん、南北朝時代がなぜ出現したのか、というところも。 尊氏が「いい人」であるが故に南北朝の混乱を招いた、というのはポイント。 その他にも“天皇になろうとした将軍”義満や、“天魔王”義教など、日本史上に残る重要人物が次々出てくる。 こと義教に関しては著者も触れているが、明石散人『二人の天魔王』を併せて読めば完璧。 特に天皇という存在について詳しく触れられているのが大きな特徴です。
日本人を知る 日本の歴史の屈折点。この時代を知ることは、現代日本人の原点を知ること。 現代日本人の根底にある、現代日本人が意識していない、日本人の価値観を詳しく平易に解説。日本人の無意識の考え方を知ることは、社会生活に役立つ事間違いなし。お勧めです。
とてもおもしろいが・・・ 単なる一般的な歴史・人物の「逆説」を持ち出しているに過ぎないようだ。 歴史民俗学の観点から持論を展開しているようにみえる部分が多くあるが、すでに学会で議論されていることだ。賢明な著者ならそれらを参考にしているはずなので、その点について触れてほしかった。本書の書き方では自分だけが正しいことを言っていると言わんばかりだ。 ただし上記のことを除けば内容はいい。 歴史の真実は何かといえば実はとてもあやふやで、例えば文字史料の一字ひとつの解釈の違いで大幅に意味合いが違ってきてしまう。教科書の内容がすべて真実と思っている人はいまやほぼいないだろう。つまりそういうことだ。 本書に書かれている内容は日本人の持つ、その時代・その人物のイメージを覆すもので、歴史に興味を持ち始めた方が読めば非常におもしろい内容のように思える。 堅苦しいことばかりつらつらと並べる研究者とは違って、さすがに作家さんは文章力豊かで読みやすいので飽きずに読めますね。論文を読むわずらわしさがなく、読んでいて楽しくなるのがこのシリーズのおいしいところなんですね。一言で評価するなら「初級応用」といった感じです。
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[ 新書 ]
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〈負け組〉の戦国史 (平凡社新書 (391))
・鈴木 真哉
【平凡社】
発売日: 2007-09
参考価格: 798 円(税込み)
販売価格: 品切れ中
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・鈴木 真哉
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カスタマー平均評価: 3
鈴木氏らしい本 鈴木真哉氏の通説論破系の一冊。実はこの本の書評についてはかなり困っている。長文になるがお許しいただきたい。
鈴木氏の特徴として“共著になるとよい本が多いのだが、氏単独で書かれると筆が滑る傾向がある”というのが上げられるが、今回も同じ弊害に陥ってしまっている。
……のだが、実はこの本は両極端に見る事ができるのだ。それは他のレビュアーの評価が真っ二つに割れている事からも伺い知れよう。
内容を簡単に説明すると、近畿区政権を軸としてそこに関係した他の戦国大名がどのように負けて行ったかを記した本。一応大まかに網羅してはいるが、奥州・四国・九州あたりにはちょっと触れたという程度。メインは織田政権後であり、関が原以降になると上記地区にも言及が増える。
滅びる理由も様々である。状況判断ミス、家臣の無駄な粛清、単純に運不運(病気になっていたせいで改易された人物がいるとは知らなかった)など、言い方は変だが多種多彩と言っていい。
実はここがレビューをする上で問題なのである。
歴史研究の観点で見ると確かに問題が多い。他のレビュアーの方も記されているが、資料の選択については正直疑問符がつく。意見も主観的なところが散見され、研究論文的な視点で見ても弾かれるかもしれない。
一方、単純に読み物として見ると、実はこれが面白い。他人の不幸は密の味と言うと言い過ぎかもしれないが、仕事疲れの頭で読むと苦笑したり笑えたり、研究書としては欠点の主観的な感想が逆に一読者の視点では面白いのだ。ジャンルがやや偏っている&中途半端に研究本的な完成度のため、まったくの初心者向きとは言いがたいが、司馬遼太郎作品あたりを愛読していれば読むのに苦労はしない。それどころか通勤電車の中でパラパラめくるにはむしろ最適と言っていいかもしれない。
つまり、研究書としては赤点すれすれ(嘘は書いてないので赤点ではない)だが、読み物のマーケティング的には合格点がついてしまうと言う、どうにもレビューのしにくい本なのである。
したがってレビューとしては中途半端になるが、どのようなスタンスでこの本に接するか? と言う視点で購入を考えて欲しい。
研究本としてはお勧めしがたいが、一読者としてこういう歴史もあるのか、と言う視点では非常に面白い本である。
感情的な歴史観からの脱却を 鈴木氏の歴史観にアンチがつくのは何も彼が通説を否定しているからではない。
通説に懐疑的な姿勢をとることは何ら間違いではなく歴史家としてごく当たり前のことだが、
問題はその研究姿勢にあるのである。
基本的に通説批判の他人の論文を無批判に引用し、
自説に都合のいい史料を「良質の史料」として、その史料がなぜ「良質であるのか」の理由も説明しないまま採用し、
それをもって「通説は間違っている」と自説を作り上げ、
そしてこれと対立する意見・史料に対し侮蔑的攻撃的排他的な姿勢を露骨にして、
どこぞの匿名掲示板顔負けの誹謗中傷を繰り広げ、
さらには自説についてろくに再研究を進めておらず、基本的に過去の著作の焼き直しを繰り返してばかりだからである。
こうした鈴木氏の歴史観はなぜ形成されたのか、と前から興味深かったが、
それはほかの方も書かれているように、今回あとがきですべてが明らかになったように思う。
鈴木氏の不幸な生い立ちから生じた「私的感情」があの独特の歴史観を形成していたのである。
鈴木氏は「私的感情」から脱却した客観的分析を進めているつもりのようだが、
上に記した鈴木氏の問題を見る限り、どう見ても感情的で主観的な歴史観から脱却できておらず、
そのことが鈴木氏の評価を下げてしまっている一因となっていることは否定できない。
今回の著作でも残念ながらこうした鈴木史観の根本的欠陥は克服されておらず、
ただ唯一救いがあるとすれば、その歴史観の根源があとがきで初めて明かされたことくらいである。
戦国史に足を踏み入れたばかりの人には確かに鈴木氏の著作は強く印象に残るかもしれない。
ばっさばっさと通説を容赦なく切り捨てるその姿勢は確かに読んでいて痛快だ。
しかしそれを鵜呑みにしてしまうようでは、鈴木氏が批判する「通説信者」と同様なのである。
通説も疑うが鈴木史観も疑う。その上で自ら研究し、歴史観を形成する。
それが歴史を探る上での大切な第一歩なのではないだろうか。
「歴史の真実」を探り求め続けている鈴木氏もこのことは否定できないはずである。
支持されるべき「客観的史観」 著者はことごとく今までの「通説」などを批判しているせいか、アンチも多いようであるが、私は徹底的に良質な資料を研究し、客観的な結論を導き出す著者を評価したい。
この本も戦国時代という徹底した(それこそ本当に生死を賭けた)競争社会において、負けていった者たちへ光を当てるというアプローチをしている。
戦国時代の敗者達の境遇は悲惨で、本書にあるように末路が分からない者も数多い。
勝者を称え、敗者を単なる愚者とする歴史書が多い中で、このような視点から書かれた本書は非常に価値がある。
読むべきはあとがきのみ 「天下人の条件」から続く、「天下人史観(勝者は偉大な英雄とする見方)批判」シリーズと見ていい著作。
今回は「敗者」の側から歴史を見ることで、天下人史観を批判している。
内容についてであるが、今作も過去の本の焼き直しがほとんどで、
相変わらず「都合のいい史料・他者研究のみを選りすぐって行う通説批判」で満足しているようだ。
つまり、「通説批判」を訴えながら、自身はろくに研究をしていないという鈴木氏の悪弊は今回も健在で、
この人は本当に研究を行っているのか、と首をひねりたくなる。
内容についてのみならはっきり言って最低の著作と言ってもよいが、
今回唯一読みごたえがあったのは「あとがき」である。
ここで鈴木氏は自身の経歴について赤裸々と述べており、要約すると、
「紀州雑賀衆鈴木家はずっと負け組の道を進み、その末裔として得をしたことは何もなく、
父親を子供のころに亡くしたため、
『就職差別』が健在だった当時では一般商社に就職ができず、公務員になったが、
私立大学卒業のため、出世の道を歩めなかった」とのことで、
こういった経緯の「私的感情=私怨」が、自身の歴史研究の発端の一つであるとしている。
鈴木氏はさらにあとがき中で、
「しかし研究についてはこういった私的な感情を抜きに行った。
納得がいかない人もいるかもしれないが、これは私なりに公平に見た結果である」
と弁明をしているが、どう見ても「私怨」抜きに研究を行っているとは思えない。
鈴木氏は気づいていないかもしれないが、「私怨」を抑えきれていないのである。
これは「勝ち組」である「天下人」を断固評価しようとはしない鈴木氏の攻撃的な姿勢を見ればよく分かることだ。
鈴木氏の境遇については深く同情する。
しかし、「私怨」から解放されているとは言い難い「私的な歴史観」に同意することはできない。
歴史書としては最低だが、鈴木氏の歴史観の根本と言っていい赤裸々な体験の告白に敬意を表し、星二つ。
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[ 新書 ]
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幕末・維新―シリーズ日本近現代史〈1〉 (岩波新書)
・井上 勝生
【岩波書店】
発売日: 2006-11
参考価格: 819 円(税込み)
販売価格: 819 円(税込)
中古価格: 400円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・井上 勝生
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カスタマー平均評価: 4
基本的には良いと思うのですが・・・・・ 幕末の江戸幕府能吏による外交交渉の評価、江戸時代末期における幕府の衆議の重視や民衆の政治的意見表明に関する事実、また、日本が李氏朝鮮と条約交渉をしている時期における、日本と朝鮮の民衆反乱についての比較の視点などなど、興味深い指摘が多数存在しているのは間違いない。
ただ、本書一冊を通した読後の満足感がないのは、なぜなのだろうか?
それは、幕末の政治史や新政府の明治六年の政変に至る政治的変動が、ほぼ結果だけ書かれているという感じになっているせいなのではないかと思う。
では、なぜこのような叙述になっているのだろうか?
評者は、本書の著者が、「ありきたりの政治史をなぞることでは、少々新事実を指摘したところで、日本の近代への移行期の歴史を解体することにはつながらない、そこで、民衆動員力のない明治新政府が、一揆や武士の反乱に対し厳罰で対処し、併せて対外危機をあおることで、民衆を動員し、「文明開化」という形で馴化させたというのが、明治初期の富国強兵政策の「真実」であるという展開を、外交交渉と民衆の成熟度合いの実相を資料に則して実証的に明らかにすることで、論証しよう」という戦略方針をその研究の基本計画とされているのではないかと推察する。
著者は、「あとがき」を拝見する限り、この戦略方針というか、研究方法論に自負をもたれていることが伺えるし、評者もこの戦略方針は「当たり」だと思うのだが、如何せん積み重ねられるべき実証的史実が未だ断片にとどまっている印象をぬぐえない。
ここが、本書の叙述が、大きなストーリーにまで展開できていない原因なのではないかと思われる。
是非、この戦略方針というか、研究パラダイムの方向で、様々な研究が進むことを期待する。
維新以降はともかく江戸時代のとらえ方は× 「維新史を書き直す意欲作」という宣伝文句。もちろん、この間の資料発掘や研究によって明らかになった新事実をもりこんだ最新の通史という意味で、僕自身、いろいろ勉強にもなったし、なるほど考えなおさないといけないなと思ったところもたくさんあります。
しかし、幕末を「成熟した伝統社会」として評価している点は大きな疑問。幕府が農民の一揆・訴願を受け入れたのは兵農分離のもとで農民支配を完徹するためのもの。より根本的には、農民が疲弊したのでは領主支配そのものが維持できないという封建制の論理に基くもの。けっして、徳川時代が伝統社会として成熟していたためではないと思います。
もう1つ。井上氏は、幕末の日本の対外的危機について、一般論としては否定されないものの、実際にはなかったと主張されています。しかし、そうなると、幕末以来英仏両軍が横浜に駐屯し続けた事実は、どのように評価されるのでしょうか。開国や明治維新をめぐる政治史としてはおもしろいのですが、幕末社会論としては疑問符がつくというのが僕の感想です。
日本近現代史の新しいパラダイム 中村政則氏はとある講演において、本書を「ネオ戦後歴史学」の萌芽として評価したという。本書を読めば、その評価がいかに適切なものであるかが確認されるであろう。維新後の明治政府は、その歴史的正当性の基盤を、前政権(江戸幕府)のそれを否定するところから築いてきたのであり、いわゆる「戦後歴史学」ですらもその戦前の官製パラダイムの束縛から完全に自由ではなかった。ところが本書にはこれまで自分に植え付けられてきた幕末イメージを突き崩されるかのような新しい解釈に満ち溢れている。従来「半開」視されてきた江戸期の伝統的な政治・外交・経済・社会は、実はとても柔軟で成熟したものであり、「開国」は決して外圧のみによるものではなく、内側からの自発的な定着があったのだというのである。
本書を皮切りに、「明治政府による「文明開化」とはなんだったのか、日本の「近代」とはなんだったのかという歴史認識の再検討に取り組みたい。
目新しくないなんてとんでもない!素晴らしいです! 凄い!この維新の元勲たちの殺気と破壊力!この強烈な人たちの殆ど邪悪なまでのDNAに駆られて日本はほんの一ニ世代で強大な帝国主義国となり、そして太平洋戦争になだれ込んだのだ。日本人は司馬史観が言うように日露戦争を挟んで変質してなどいなかったのだ。歴史はやはり繋がっていたし、そこには薩長の価値観、世界観が保持されていたのだった。というのは私の感想で、この著者はそこまでは言っていないのだけど、いずれにしろ目からウロコの一冊!
プラグマティックな江戸幕府の外交 幕末・維新史を再構築した本です。
従来、不平等条約を結ぶなどした幕府の対応は批判されてきました。
しかし、本書では幕府が列強との交渉で実は現実的な判断をしてきたことを実証しています。
例えば、幕府は条約中に外国人が日本国内で自由に通行するのを制限することを載せました。
これによって、輸入製品が国内商品を駆逐するのを阻止することになりました。
このように、筆者は幕府の対応を現実的であると考えています。
それに対して、朝廷、長州藩などは非現実的な攘夷を信じ、矮小な排他的ナショナリズムの元凶としています。
さらに旧習を否定した明治政府による民衆統治は江戸幕府よりも手厳しかったとしています。
このように筆者は幕府を多少「美化」していると言えなくもありません。
しかし、今まで「後進的」と見られていた明治以前の社会システムを肯定的にとらえようとした点は評価できます。
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[ 単行本 ]
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NEW石川日本史B講義の実況中継(5) 文化史 実況中継シリーズ
・石川 晶康
【語学春秋社】
発売日: 2002-10
参考価格: 1,260 円(税込み)
販売価格: 1,260 円(税込)
中古価格: 589円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・石川 晶康
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カスタマー平均評価: 4.5
夏はこの本で差をつけろ! 実は石川先生の実況中継を、ほとんど使っていないのだが、この文化史の5巻だけは、まじめに読み込んでみた。仏像がぞろぞろ並んでいる文化史しか教わったことがなかったので、かなり読みやすいこの本は、とても使いやすかった。通史の流れとかと、知識がつながるのが感じた。少なくとも教科書だけでは、僕にはできなかった、良い勉強ができたと思う。
やった!受かった 塾などで日本史の授業を聞いたところで、マーカー塗る程度でためにならない!これを8割がた覚えたら難大学に合格できました。この日本史で受験勝ちました。買えば受かる本です。
自分には合いませんでした。 学校の友達もこのシリーズを使っていて、薦められるがままに買いましたが合いませんでした。 「日本史の流れが口語調で書かれていて読み易い」というのが売りらしいのですが、教科書を精読すれば充分だと思います。わざわざこのシリーズをやらなくてもいい気がします。
ライバルに差をつけよう! 文化史の対策は、まずはこの本で!試験に出る内容をほとんどカバーしています。内容はヘビーですが、やればライバルに差をつけることが可能です。
文化史を頭に入れたいならコレ おなじみ石川先生の実況中継シリーズの文化史版です。日本史の中で文化史が苦手な方も多いでしょう。しかし石川先生はそんな受験生の悩みも簡単に解消してくれます。紛らわしい仏像の見分けかたなど、しっかり頭に残るポイントを押さえて教えてくれますので文化史もこれ一冊あればバッチリです。私は石川先生に実際に予備校で教わったことがありますが、その講義がまさにそのまま本になっています。日本史が苦手な方も実況中継なら苦にならず楽しく確実に頭に入っていくと思います。
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[ 単行本 ]
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歴史能力検定2級 日本史過去問集 解答・解説
・歴史能力検定協会
【山川出版社】
発売日: 2002-10
参考価格: 800 円(税込み)
販売価格: 800 円(税込)
中古価格: 800円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・歴史能力検定協会
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カスタマー平均評価: 4
おすすめ 歴史検定2級は自分の実力をためすのにぴったりです。2級くらいを持っておけば友達にも自慢できるのではないでしょうか?この本の問題を解いて覚えることができれば絶対合格すると思います。
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[ 文庫 ]
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逆説の日本史〈5〉中世動乱編 (小学館文庫)
・井沢 元彦
【小学館】
発売日: 1999-12
参考価格: 630 円(税込み)
販売価格: 630 円(税込)
中古価格: 114円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・井沢 元彦
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カスタマー平均評価: 4.5
周知の時代に対する著者の苦労が忍ばれる 「逆説シリーズ」第五作。一級史料も揃い、読者にとって馴染みの深い人物・出来事の多い鎌倉幕府成立の時代を対象にしている。著者も流石に「逆説」を連発をする訳には行かず、歴史の通説をなぞる体裁になっている。
天才的軍略家、義経による平家討伐、義経・頼朝の兄弟間確執、鎌倉幕府成立が頼朝一人の天賦によるものではなく東国を中心とする武士の総意だった事。これらは人口に膾炙され過ぎていて、新鮮味に欠ける。その中で、北条時政に光を当てている点が特徴か。北条氏は、この時代の政子、泰時、後の時宗など突然変異的に傑出した人物を輩出する面白い一族である。奥州藤原氏についてはもっと筆を割いて欲しかった。現代から見ても、東北地方に豊富な金鉱があったとは考え難い。従来からの説でもある「ロシアとの交易で金を得た」を含め、「何故、奥州藤原氏は栄えたのか」を考えないと、頼朝が何故奥州藤原氏を狙ったのか、本書の説明だけでは曖昧である。泰時に関連して明恵に触れたのは本書の最大の功績であろう。私自身も常に感じている「自然のままが良い」と言う日本的感情が明恵に端を発するものなら、歴史は明恵に対してもっと光を当てるべきであろう。泰時と大岡越前の関係に触れているのは微笑ましい。
義経・頼朝を知らない読者なら、本書の前半に興奮する所だろう。だが、冒頭でも述べた通り、この時代の事は大半の日本人にとって周知である。それだけに著書は「逆説」性を打ち出すのに苦労したと思う。その試みは成功しているとは言い難いが、明恵・時政に光を当てるなど精一杯の著者の努力が感じられる労作。
無視したい。でも、無視できない。 第4巻半ばまでは「怨霊信仰」をテコに通説を覆し、仮説を提起し、事実関係を大胆に再構成する痛快さがあった。しかし時代が中世に近づくにつれ史料も豊富になり、研究蓄積で確定された事実関係は容易に動かし難いためだろう、主に「事実への意味づけ」の面で通説的解釈に異議を唱えるという内容に変わってきた。
古代編では歴史駆動の根本原理と呼びたくなるほど荒れ狂った「怨霊」も、エピソード的に時折顔を覗かせる程度に大人しくなった。ま、頼朝による中尊寺金色堂の処遇、長田忠致の処刑、あるいは後の義経伝説の伝播といった問題(p161?)は単なる挿話にあらずと、著者は言うかもしれない。しかし本巻の主題となる源氏政権形成は、公家勢力vs地方武士勢力の土地領有権闘争の構図下で描かれるのだから、怨霊話はやはりサイド・ストーリーに留まるだろう。
ただ後半、「道理」概念の分析を通じて日本的法意識を特徴づける議論は面白かった。『沙石集』中の北条泰時のエピソードを「大岡裁き」に結びつけ、そこでの「裁き」とは「納得」の実現であり、実現に至る道筋が「道理」なのだと論じる。そこには山本七平や川島武宜が意識されていると思えるが、「日本人の理想とする裁判とは、場合によっては法を無視しても道理を重んじ、『自然な状態(=すべての人々が納得している状態)』を実現(回復)させるものなのである。だから、その背後には『和』がある」(p358)という一文は、極めて本質的な問題提起を孕むと思った。
叙述のイカガワシサに警戒警報が鳴りっぱなしだが、それでも止められず、第6巻「中世神風編」に乱入のココロだッ!
歴史学者には見出せない斬新な視点からの新発見 御成敗式目の制定につながる当時の法のありかたが現代日本に通じるのをついたところが秀逸。
法令とは別のところにそれを超えた真の規範(ルール)があり、我々はその「別のところ」にあるものを尊重すべきで、そのためには法令は無視してかまわない。これが日本人の法意識である。そして、この「別のところ」にあるものとは『道理〔物事の正しい筋道。正論であること。そうである道理がわかって納得するさま。〕』である。
そのとおりである。日本人は法を最善だと思ってない。『道理』二正義を見出すものだ。これで東京裁判が国際法無視の違法なものであっても、国民は結果にうなずけると言うもの。違法であっても道理があったと考えればよいのだから。世論に答えるため、罪刑法定主義が障害となり逮捕できない悪人の身辺をかぎまわり、何が何でも他の犯罪行為を見つけ逮捕する、のにもうなずける。
頼朝が東国武士にとって崇拝すべき権威的存在(皇統の武士の棟梁)ではなく、彼らの利害を実現するためのミコシに過ぎなかった、と言う意見は若干衝撃だった。
面白いが5巻までくると「お腹いっぱい」です この「逆説の日本史」シリーズは愛読しているが、面白い反面、さすがに5巻くらいになってくると、飽きてくる。著者の強い主張に「お腹いっぱい」になってくる。 私は最初のうちは新鮮みを感じて「その通りだ」とうなずきながら読み進めた。しかし、だんだん「また、これか」と思い始めてくる。 “一般の学者が見落としているのは言霊思想であり、日本史における宗教的要素である”“こういう言い方をすると、マルクス主義史観に懲りかたまった学者は……”“右の学者は……”と、とにかく他をなで切りにするのである。 著者は、このシリーズの中で繰り返し「日本の思想は和にあり」と強調しているだけに、自分のように、どうしても「和」を重んじたくなる人間には「またか」と思ってしまう。 全シリーズのうち2冊くらいをピックアップして読むか、あるいは、2冊くらい読んだら、何年か時間を空けて読むとか。そうでもしないと読むのに疲れてしまうと感じる人もいるでしょう。この巻では今、大河ドラマで注目されている源義経の歴史的な存在意義。なぜ義経は頼朝に滅ぼされたのか。なぜ、あれほどの戦争の天才が亡んだのか。こういったところが面白かった。そのあたりの著者の見方は、今の社会で我々が生き抜くに当たっても、必要な視点を与えてくれると思う。
義経はなぜ失脚したのか、源氏将軍が絶えても鎌倉幕府は何故続いたのか? 「逆説の日本史」シリーズは毎回楽しく歴史教科書に無い視点で 日本史をエキサイティングに読ませてくれます。検証や推察も 科学的&論理的態度を貫いているのでクビを傾げずに読みつづけることができます。 この第五巻では義経が頼朝の怒りを買ってしまった理由や、 後鳥羽上皇と鎌倉幕府の闘いであった承久の乱が、実質的には 公家対武家と言う明確な階級闘争であったことを明快に 解きほぐしています。 こういう歴史教育のエッセンスが高等教育で行われていたらなぁ、 なんて過去に思いを向けてしまったりします。 自分が予備校講師に戻ることがあったら使おうっと。
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[ 単行本 ]
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NEW石川日本史B講義の実況中継(1) 原始~古代 実況中継シリーズ
・石川 晶康
【語学春秋社】
発売日: 2000-11
参考価格: 1,050 円(税込み)
販売価格: 1,050 円(税込)
中古価格: 95円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・石川 晶康
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カスタマー平均評価: 4.5
日本史の「流れ」はこれで決まり 河合塾の有名日本史講師、石川晶康氏の講義をそのままの形でまとめた参考書。
受験範囲での日本史の勉強で全体の流れを把握する分野においては
現在存在する日本史の参考書の中でも最も有効な一冊である。
この本は「実況中継」の名の通り、文体が全て話し言葉になっており、
歴史的な出来事を一つ解説するにも
その背景や因果関係、全体を通しての一連の流れなどを
詳しく解説しているため非常に理解しやすい。
これを何度も通読し、自分流のまとめサブノートを作成すれば「流れ」は完璧。
後は一問一答などの参考書で「暗記」部分を固めれば
受験でも良い結果を残せるだろう。
市販テキストではピカイチ 河合塾の石川先生の書いた参考書です。初心者も読みやすくて、内容も的を得ています。適度に語呂や図、頻出史料、写真があって最も市販のテキストではいいんじゃないかと思います。教科書などと違い因果関係や背景知識も分かりやすく説明してあり、筆者の力量が出た参考書です。
評価
まず書いておきたい点は4つ
・この参考書を選んだら教科書やその他諸々の参考書は一切必要無い
・サブノートに空欄だけでなくサンプルにもあるようにしっかり関連事項を追記をする
・年表整理のため定期的にCDを聞く
・ただ猛然と講義を読むだけでなく書いて覚えるという作業をする
この4点を守らないと教科書をメインに勉強をしている受験生にはまず負けると断言できる。
なにせ1?4巻(人によっては5巻まで)でおよそ教科書の倍の2倍もいいところの
1000ページ以上に及ぶわけだから選んだからには相当な覚悟が必要である。
この本を信じて根気良く使い続ければ教科書組にはまず負けないといっていいくらいの
得点力にはなる。あとは直前期に過去問演習をすればいい。
全ての日本史選択者に進めたい これほど読みやすく、かつ体系的に学べて、コストパフォーマンスの高い参考書はなかなか無いでしょう。付属のCDがかなり使えます。
私は別に当人にお会いしたことすらありませんが、心からおススメできるシリーズです。
予備校の授業を年間でダラダラ聞くよりも、短期間で石川を三回通読する方がはるかに効率的でしょう。(軽く営業妨害かな?)
年間で通史を学ぶことの致命的な欠点は、記憶の繋がりにくさにあります。毎回必死に復習して覚えても、知識が細切れで結局流れが身につかない。
まずは石川で網羅的に通史を頭に叩き込むことで、必ず日本史の流れが身につきます。細かい知識の詰め込みはその後で問題集を解けば良い。
私が出会った中で、文句無しに薦められる数少ない参考書です。
CD講義で年表を頭に刻め! 講義調の文章は特段、効果は無いように思えた。ただ重要な事はしっかり書かれているから、
それで参考書としては十分役目を果たしている。それよりも年表CD講義は非常に効果があると思う。
まず本書のほうだけど、史料は重要どころは余すところ無く網羅されている。
難解な言葉はしっかりと解説されているし、当然約が付いているから難解な史料もすんなり理解できる。
図も豊富に挿してある。天皇の系図は勿論のこと、藤原北家と天皇の関係も一目瞭然で分かり易い。
イメージしにくい五畿・七道も簡潔に表してあるし、理解があやふやになる源平両氏の系図と、
その人にまつわる乱が一緒に図化されて、理解が早まる。
重要年表は石川先生が考えた語呂合わせが載っている。これは後のCD講義で効果を発揮する。
サブノートは穴埋めに終わらず、メインの方に載せられなかった表など(詳しい官位相当表や
遣唐使一覧など)があり、教科書としての機能も持っている。ただ赤シートは特に役に立たない。
最後にCDについてですが、これは年表の暗記のみを役目としている。本中に出てきた語呂合わせを
石川先生のシブイ声で聴いて行く内に、自然と頭に刻まれて行く感じがして、
2?3回聴けば頭にこびりついて離れなくなっている。
暗記する努力もせず(寝転がっていても)歴史の流れが瞬間的に出て来るようになったので、
これは凄いなと思いました。
参考書は基本がしっかりしているから及第点、CDは中々効果がある、という所です。
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[ 文庫 ]
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日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
・網野 善彦
【筑摩書房】
発売日: 2005-07-06
参考価格: 1,260 円(税込み)
販売価格: 1,260 円(税込)
中古価格: 2,000円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・網野 善彦
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カスタマー平均評価: 4.5
面白く思索の糧になるが、批判的に読むことも必要 重要な指摘を多く含んだ、読みやすい良書と言っていいと思います。私は個人的にうがったものの言い方をする人が好きではないので、網野氏のような論者は敬遠していましたが、本書を読んで認識を改めました。ただ、いくら一般向けの講義録をおこした本とはいえ、どの史料を根拠に述べているか書いていない部分が多いのはマイナスだと思いました。
本書で一番面白かったのは、「畏怖と蔑視」の章です。犬神人や河原者といわれた中世の最下層民は、巷間言われたきた差別を受けるだけの存在ではなく、「ケガレ」につながる職能から「畏怖」を受ける存在であって、自らの職能に誇りを持っていたことを明らかにします。それが、どのように近世の最下層民につながっていったかはわからないとしながらも、社会が文明化され、自然への畏怖が失われたことが原因ではないかと言います。これは映画「もののけ姫」のテーマとも繋がります。日本社会・日本人にとって重要なテーマです。
一方、批判的に読んだ方がよいかなという部分もかなりあります。著者は日本国という国家ができたのは律令・国号を導入した天智・天武帝の時代といいます。別に、間違った指摘ではないのですが、ここでいう国家とはネイションではなくエトニですね。ですので、それまでの「倭」との断絶を強調する必要はないと思います。
また、天皇制がいずれ必要なくなるだろう、そのときには日本という国号も再考すべきだとも言っていますが、本書で述べられた歴史的知見からそこまでのことが言えるのかと率直に思いました。
日本の、特に中世の歴史への見方が深まる一冊 最近読んで、日本の歴史などの記述がとても面白かった本に、松岡正剛『17歳のための世界と日本の見方』(春秋社)があります。その講義の中で、「網野善彦さんのような日本歴史の研究者が、非定住型の人々を中心にした歴史観を打ち出し始めて、私はおおいに共感しています。網野さんの本は一度読んでみてください」とあって、それで本書を手にとって読んでみました。
日本の歴史のなかで、南北朝動乱期の14世紀を境にして、文字の普及や貨幣の流通、それに伴う商業と金融のあり方が大きく転換すること。とりわけ興味を惹かれたのが、14世紀を境として「穢れ(ケガレ)」の観念が大きく変化したこと、とともに、中世の非人や河原者など被差別民たちの社会でのあり方の変遷を考察した「畏怖と賤視」の章でした。
歴史の教科書の表面的な記述だけでは絶対にうかがい知ることのできない歴史の真の姿が、生き生きと立ち上がってくるかの如き記述。深く、幅広い歴史の暗がりへの洞察力。鮮やかに目を開かれる思いがしましたね。歴史的な絵図が多く掲載されているのも、中世の人々の様子が伝わってきて、リアルな雰囲気を出していました。
日本の歴史のさらに深く、さらに奥へと分け入ってみたくなった時、その取っかかりとなるにはまず格好の一冊ではないでしょうか。本書を読んで、日本の歴史の暗がりを垣間見せてもらった気がしました。
網野史学の入門書 この本を読んだ時の衝撃は忘れられません。ある人がコラムの中で取り上げていて、試しに読んでみたのですが、学校で習った歴史やそれまで信じていた一般常識がみごとに覆されました。中世が考えていたよりも進んだ世の中で本当に驚きました。内容は高度ですが、もともと中学生向けということもあり非常に読みやすいです。網野史学の入門書として最適です。これに感動して、網野先生の本を片っ端から読み漁りました。先生の史学が学会でどのような位置づけにあるのかはよくわかりません。教科書には取り上げられていない様なので、異端に位置しているのかもしれません。しかし、論証を読む限り説得力があり、納得の一冊です。
未来への提言に向けて「よみなおす」 日本国が形成される過程で醸成された百姓=農民という固定観念では見えてこない日本社会の豊かな実像が述べられていました。
「よみなおす」という題名を当初「おさらいする」の意で本書を手に取りましたが、全くその期待を良い意味で裏切ってくれました。現在の課題(特に国家・権威・市場など)から過去の出来事を捉えなおすという意味で「よみなおす」著者の取り組みは、新たな視点から歴史を「よみなおす」だけに留まらず、未来についても独創的な示唆に富む内容でした。
また小生のようなサラリーマンにもわかりやすい文体で、かつ安直に流れず科学的な態度が貫かれている点でも素晴らしいと感じます。何よりも「○○は十分に考えておく必要があることだと思うのです」と将来的な意味をもつ課題についての問題提起が多くされ、学問としてだけでなく社会の今後の発展を一貫して考慮されている著者の態度に感銘を受けました。
歴史を学ぶ楽しさ 「百姓は農民ではない」
「日本は孤立した島国ではない」
「日本人は単一民族ではない」
「東日本と西日本はもともと違う文化圏である」
――戦後、ステレオタイプ化された保守主義と進歩史観が横行するなかで、新視点からの問いかけを発し続ける歴史学者・網野善彦氏。
本書を通して「歴史を学ぶことは楽しい」ということを実感できる。
新しいことに触れる楽しさ。「知る」ことに対するワクワクするような高揚感。
年表など傍らに投げ置いて、過去という闇の中に埋もれてしまった歴史というドラマを堪能できる。
社会に出てから歴史を眺めなおすと、学生の頃には感じなかった全く新しい発見、驚きがある。
そんなあれこれが散りばめられた珠玉の一冊だ。
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[ 文庫 ]
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新選組三部作 新選組遺聞 (中公文庫)
・子母沢 寛
【中央公論社】
発売日: 1997-01
参考価格: 780 円(税込み)
販売価格: 780 円(税込)
中古価格: 111円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・子母沢 寛
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カスタマー平均評価: 4
才子・伊東甲子太郎の和歌が読める 子母澤寛が当時を知る翁達に聞いた遺文集なので、全体的なまとまりのある書では無いが事実という事もあり面白い。だが新選組に興味があるか少しでも知っていないとあまり楽しめないかもしれない。個人的には近藤や土方や生き残った斉藤一や永倉新八など後のメディアで何度も取上げられる様な人よりも殺された清河八郎や伊東甲子太郎(どちらも土方一派の暗殺みたいだけど、二人とも剣の達人であったとは言え何か殺し方が卑怯なのです)などの死ぬには早すぎた惜しむべき才子に肩入れしたい偏向があるので、その伊東甲子太郎兄弟の記述が多い所が気に入りました。またこの中には伊藤甲子太郎が残した和歌が12ページにも渡って収録されている。他の見所は佐久間象山の息子の話や原田左之助の話、近藤の最後と遺族の動向も詳しい。芹沢鴨暗殺を側で立ち会うはめになったその借家の女房の話も生生しい。また、土方と並ぶ実力者だった副長・山南敬助の切腹前の山南に惚れていた島原の女・明里の涙や病で療養中の沖田総司を見舞う姉や兄の兄姉団欒が微笑ましく、また沖田を置いて旅立つ日に訪れた近藤の涙、沖田の涙などにはホロリとさせられる。また近藤の剣「虎徹」に関する記述も面白いですよ(斉藤一が夜店で買ってきたのをもらった説とか)。
リアルさがワクワクさせる。 「八木為三郎老人の壬生ばなし」という段落で、昭和3年11月15日に子母澤寛が八木家の跡取りの八木為三郎氏に思い出話を聞いた話がかなりの頁割かれている。ワクワクしてしまう。それぞれの人物の人となりが思い出として語られているのが不思議な気がする。新選組ワールドの摩訶不思議な魅力は、かなりの遺物が残っていることと関係者が明治になっても生き残り思い出を語っていることから、断片的なジグソウパズルを自分で組み立てているような気になる点ではないかと思う。話は脱線するが、この間、八木家に久しぶりに行った。通るだけでドキドキする。不思議な雰囲気の場所である。(関係ないけれど、饅頭と抹茶を無理強いするのはやめて欲しい)
興味深い 実際に新選組を目の当たりにした者にしか分からない描写が、ここにはある。芹沢鴨の暗殺当夜の様子、その後の処理。池田屋事件、そして近藤勇の最期。墓から遺体を掘り出し故郷へ運ぶさまは、悲壮感が漂う。つかの間の華やかさ。それと対照的な末路。これがわずか百数十年前の出来事なのだ。残された家族などのその後も興味深かった。どんな境遇になっても、家族は決して新選組のことを忘れることはなかったと思う。家族としての悲劇が、そこにはあったのではないだろうか。
素顔の新撰組に近づくために 小説とは違った、新選組隊士の素顔に迫れます。 私のお勧めは、象山の忰です。 といっても、象山の息子に興味があったのではなく、「土方と沖田が2人で碁をうっていた」というところから、 鬼と恐れられた彼等も非番の時には、仲良く遊んでたのだな、とか「”鈍いのが本当じゃねぇか。何だ。何だ。そのざまは。”と沖田が大口をあいて笑った」などというくだりを読むと、 彼らがどんな言葉遣いで、どんな会話をしていたのかなどが想像できるからです。本当にいつも笑っていたのね。沖田さん。
勇の屍を掘る 当事者に聞いて書き留めたものなので、 静かな迫力があります。 私には、「勇の屍を掘る」が印象的でした。 映画やドラマではとりあげられない場面ですが 肉親達の愛情に涙しました。 小説とはちがう、淡々とした描写が 「事実はこうだったのか」と思わせます。
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[ 単行本 ]
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大江戸見聞録 (江戸文化歴史検定公式テキスト (初級編))
【小学館】
発売日: 2006-06-23
参考価格: 1,800 円(税込み)
販売価格: 1,800 円(税込)
中古価格: 1,279円〜
( 通常3〜5週間以内に発送 )
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カスタマー平均評価: 3
文体と構成が合っていないかも。 江戸の文化や歴史のネタが詰まっていて、興味深い本だと思います。
ただ文体(話口調で書かれている)と、構成が今ひとつかみ合っていない気がしました。
あのような文体なら、もっとカジュアルな誌面の作りでもよかったと思います。
構成はよくある歴史書的ではありますので。。。
現代文化の源流が見えてくる 江戸文化のおもしろさは、現代に通じるというか、
現代文化の源流が見えてくるところだと思う。
検定用にではなく、読み物として読んだが、それな
りにおもしろかった。
「大江戸八百八町」展の図録がベース? 江戸文化歴史検定の3級は8割、2級は5割がこのテキストから出題されると募集要項に明記されている。「試験で稼ぎ、受験用テキストで稼ぐ」が見え見えだが、どこでもやってることで文句は言えない。ただ、アンチョコに徹すればいいのに、なまじっか読んでも面白くなどと欲を出したため、アンチョコとしての効率はやや落ちる。その代り、読物としては味わいがある。ほどよく江戸の町を紹介している。地方の様子は余計であろう。
おかしな点もある。本書の中に「擬宝珠のあったのは日本橋、京橋、新橋」とあるが、新橋には擬宝珠が無かったはずだ。広重の新橋図を見れば分る。知人が本書の編集に記述の根拠を問い合せたら、執筆者は「大江戸八百八町」展(2003)の図録から孫引したとの答だったという。直接史料に当って欲しいものだ。他にもその図録から引用された記述は多い。検定試験受験者は江戸博売店で探してみてください。
入門書としてみるか?テキストとしてみるか?というところでしょうか。 ・話し言葉で書かれている文章
・カラーで掲載されている浮世絵(数も多い!)
・欄外にある単語解説
・実物やイラストを用いた紹介例
などと、「読みやすさ」という観点からは非常に良いものだと思います。
作り自体が「教科書」を意識しているようなので、馴染みやすさを感じました。
ただ、それぞれの地域の風俗に対しては、「少しふれる程度で終わっている」ようです。
そのため、結果的に「広く浅く知る」ということになっているかのように思えます。
多数の浮世絵が掲載されていますけど、中身の風俗についてまで追求しているものが少なかったのは残念。
江戸を多少知っている人にとっては、物足りなさをが感じられるかもしれませんね。
入門書ということで考えるのならば、非常に良いかと。
ただ、テキストという観点で考えると、どうかな?って思います。
わざわざ話し言葉で記述する必要はなかったんじゃないのかなぁ。
じっと机にしがみついて読むというよりは、寝床に置いておいて寝る前に少しずつ読むみたいな感じで読んでます。
テキストの使い方じゃないな、これ。(^^;
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