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[ 文庫 ]
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生きている兵隊 (中公文庫)
・石川 達三
【中央公論新社】
発売日: 1999-07
参考価格: 600 円(税込み)
販売価格: 600 円(税込)
中古価格: 120円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・石川 達三
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カスタマー平均評価: 5
いかにして兵士は狂気に染まるか 戦中に書かれた作品であり、おそらく反戦とか反日とかは全く意識していなかったと思われる。人間として兵士をとらえる、その兵士の気持ちになってみる、そういう視点で書かれた作品ではないだろうか。そして真に迫りすぎた上、発禁になった。そういう本だ。
南京大虐殺関連で「大殺戮の痕跡は一片も見ておりません」という否定派としての言質がとられているが、その人がここまで描いていた、という点に注目すべきであろう。「大」虐殺ではないが、虐殺は描いているのである。よき夫であり父である心優しき人たちが、いとも簡単に非戦闘員の命を奪っていく。それはやはり狂気だ。いかにして兵士は狂気に染まっていったのか。その描写が真に迫る。
戦時下だなぁ、と思わせたのは、南京を落とした後、転戦していく兵士たちの士気が高いように描いている点。首都・南京を落とせばこの戦争に勝てる、故国に帰れる、だから兵士たちはがんばっていたはずだ。南京を落としても戦争が続くことに兵士たちは落胆していたはずである。士気が高いままであった、というのはウソだろう。著者は戦意の高揚をねらってこの本を書いたのである。
伏せ字の箇所をしっかり読んで欲しい 戦前に発禁を食らった大変有名な作品。是非、どこが伏せ字になっていたのかをじっくり読んで検討して頂きたい。ほとんど意味不明の作品になっていたことが改めて納得されるだろう。日中戦争の批判というよりも、戦場に借り出された兵士がいかに残虐な人間に変身してしまうのか、その恐ろしさを描いている作品のように思われる。 しかし、文学作品の評価をするのに、イデオロギー的な観点から「参考になった」「ならない」とつけるのは、正当な評価ではないのではないか。内容を的確に紹介しているのに、「反日的だから」といって「参考にならない」という評価をつけるのは間違っていると思うのだが、いかがであろうか。
大殺戮の痕跡は一片も見ておりません。 /* 「私が南京に入ったのは入城式から二週間後です。大殺戮の痕跡は一片も見ておりません。何万の死体の処理はとても二、三週間では終わらないと思います。あの話は私は今も信じてはおりません」石川達三 〜「『南京事件』日本人48人の証言」より /*
兵士の視点から見た「支那事変」の実相があからさまに 「支那事変」とは何か?戦争において宗教はどうなるのか、人を生かすべき医学はどうなるのか、著者は切実に問うています。 この本は小説ということになっていますが、戦後明らかにされた事実がすでに書かれているなど、資料としても価値があります。たとえば、十六師団長が戦地で骨董品を収集していたこと、南京で日本軍が放火していたこと、捕虜は殺す方針であったことなどが書かれています。 戦場で荒廃してゆく兵士の心、中国人の受ける悲惨、日中戦争は決して美化できない すさまじいものであったことが伝わる力作です。
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[ 新書 ]
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歴史を学ぶということ
・入江 昭
【講談社】
発売日: 2005-10-19
参考価格: 756 円(税込み)
販売価格: 756 円(税込)
中古価格: 1円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・入江 昭
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カスタマー平均評価: 4
この判型で出すべき本だったか!? シカゴ大学、ハーヴァード大学で国際関係史の教鞭をとった
研究者による、半自伝的歴史論。ちなみに、その筋では超が
つくほど尊敬を集めている研究者である。
もちろん、彼の戦時中の経験や、戦後まもなくの渡米と研究
生活など、興味の尽きないエピソードが散らばってはいる。
しかし、どれも描き具合が浅く、物足りない。レポートのよう
な感覚を受ける。
一言でいえば、この本は、残念ながら新書という形態にひきづ
られてしまっているのではないか。
せっかくこういった、価値あるテーマの本を書き下ろす
のであれば、部数は落ちたとしても、腹をくくって単行
本で出すのが潔いやり方だったのではと思ってしまう。
ツカ、文面の双方での「厚み」が欲しかったなあと。
四六判の単行本サイズで、分量をもっと確保できれば、
今より断然読み応えあって、面白いものになっただろう。
このタイトルと著者で新書で出すならば、カー『歴史とは
何か』(岩波新書)を凌がんことを目指すだけの気概が
ほしいと思ったのは、評者だけではあるまい。
以上をふまえつつ、かつ購入前の期待値対読後感を考えると、
辛目の点をつけたくなった。
歴史の新しい見方 名を成した研究者の回想録に目がない私にとって、
戦後まもなく渡米され、国際的に活躍されたという
歴史学者の遍歴はそれだけでも興味深いのですが、
とりわけ恩師との出会いや、受けた指導に対する感謝
の念の記述が印象深かったです。
気軽に読めるサイズであり、特に難しい記述もないのですが、
学問に対する姿勢と、「歴史」というものに対する新しい見方
を教えてくれる本だと思います。
学ぶということ 私は歴史には詳しくなく、よくわからないことも多かったのですが、
この本から学べたことがいくつかあります。
一つは、著者が「歴史」を学ぶにあたり、どのような言葉、どのような考えに影響を受けたか、ということ。
「歴史」に限らず、学問を学んでいる人間にとっては、腑に落ちることが多いと思います。
それと、「歴史」を探求することが、例えば数学で定理を証明するようなことと同じであること。
歴史とは、あくまで後の研究者の解釈がほとんどで、世界中で矛盾のない歴史を打ち立てるために歴史家が研究を進めている。
このことは、数学の定理を矛盾なく証明するようなプロセスに似ていると感じました。
人に「知識」を伝えていく、教えることのすばらしさが伝わってくる体験談を読み、自分の将来の姿を考えさせられました。
歴史学を志す次世代へのメッセージ 入江さんはアメリカ歴史学会の要職も勤め上げ、絶えず未来を見つめた著作でつとに知られる。歴史学を志した自らの個人史を第一部におき、第二部では歴史学者としての足跡を振り返り、最後第三部で世界の同僚と切り開いた新しい歴史学の領域ともいえる多元的な地域史研究の意義を述べる。最後に歴史学を志す人のために読むべき基礎文献に適切な説明をつけて紹介している。新たな世界史の誕生過程の記録とも読めるまさに多元的な著作である。
本書で一貫しているのは、史的客観性を維持することの難しさである。今の日本で歴史問題で衆目の関心をひいているのは所謂「歴史認識」の問題であるが、この難問にも冷静な視点を提供している。歴史を変えることはできない、この実に素朴で必当然的な認識と歴史学が直面する多文化的なアプローチの意義を東アジア地域史研究の観点から実証的に語る。そしてそれを支えるのは、国家などではなく個人の交流がベースである、という確信には大いに共感する。個人の信頼なくして、相互信頼は形成し得ない。歴史を書くことは所詮個人的営為には違いないが、歴史学者が描く<歴史>には学会がその信憑性を絶えず<査読>によって検証して発表が可能になるのであり、素人が個人的な妄想をただ書き連ねたフィクションの世界とは異なる。
今世紀に入って日本の街角には戦争の痕跡としての傷痍軍人の姿を見ることはない、しかし、アメリカの街では見かけることが多い。この事実を踏まえて歴史的現実を精確に認識することの難しさを本書に読み取るべきであろう。
歴史を嫌いだった理科系のひと向けの教養書 学生の頃、歴史認識の曖昧さ、あるいは年号の丸暗記が故に歴史が嫌いな理科系の人間であったが「過去そのものを変えることはできない。しかし過去に対する見方は変わるものである。」という歴史認識の視点を知ることによって、歴史の学びかたを納得することができた。
今まで歴史が嫌いであった私に、平易な文章で歴史の読み方および面白さを認識させてくれたという点で高い評価を与えたい。
専門家が専門でないひとに対して平易に自分の専門の話をするというのは極めて難しい。
また、50年にわたる学者生活を踏まえて専門の学問に対してどのような立場で臨むべきかという心構えを示唆してくれる点でも参考になった。
今まで歴史に対して興味がなかったひとが教養書として軽い気持ちで読むには最適な本であると思う。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
・富岡 吉勝 ・トーマス マックギール ・レミー スペツァーノ
【大日本絵画】
発売日: 1999-05
参考価格: 3,150 円(税込み)
販売価格: 3,150 円(税込)
中古価格: 2,500円〜
( 通常3〜5週間以内に発送 )
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・富岡 吉勝 ・トーマス マックギール ・レミー スペツァーノ
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カスタマー平均評価: 4.5
貴重な資料 元々ドイツ国防軍の象徴としてプロシア時代から歴史のある部隊の写真集。 第二次大戦前はベルリン警備大隊として生き返り、他の師団のように 出身地を名称につけることもない大エリート部隊でした。 この部隊は専用の宣伝部隊をもっており、この写真集はその宣伝部隊が 撮ったフィルムが無傷で見つかったことから作られています。そういう訳でこの写真集に集められた写真はどれもきれいで見やすいものとなっています。 私が昔ドイツ戦車の模型を作ると、この部隊所属としていました。 そういう意味でお世話になった部隊の写真集、価格に見合った内容は保証します。
師団活動写真集!! かなり詳細に活動記録(ショット)がなされています。 行軍・戦闘・戦車(戦闘車両含む)・負傷者救護・勲章授与式等々・・・ 特に各車両の師団識別番号等が非常に鮮明記録されていますので、こちらの 調査資料に最適です。 また、各兵士の服装・装飾のショットも数多く貴重な資料となるでしょう。 ただ残念なのは、個人兵器類のショットが少ないのは惜しまれます。 でも、大型版写真集で写真点数が多く非常にリーズナブルです。
ドイツ国防軍のエリート師団! ”グロースドイッチュランド師団”(GD)は国防軍(陸軍)のなかでもエリート中のエリート師団だ。この写真集をみてもいかに重点的に装備がされているのが判る。 又、ラングカイト大佐をはじめ、数々の名指揮官を多く輩出していることも丁寧に書かれている。 この本は、単なる写真集でなく歴史書としても非常に価値のある一冊である。
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[ 単行本 ]
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うちのカメ―オサムシの先生カメと暮らす
・矢部 隆 ・石川 良輔
【八坂書房】
発売日: 1994-05
参考価格: 2,100 円(税込み)
販売価格: 2,100 円(税込)
中古価格: 64円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・矢部 隆 ・石川 良輔
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カスタマー平均評価: 5
カメの意思表示にびっくり! 子供の頃に飼っていたカメを思い出し、また最近カメが飼いたくなってきたので、ミズガメの飼育本を買いに本屋に行きました。 あいにくお目当ての本はそこには売ってませんでしたが、その時この本を見つけました。 内容はとても面白く、最後まで一気に読みきってしまいました。 35歳(今も生きてたら46歳)のクサガメの生活を、著者が愛情たっぷり書いています。 読んでいてびっくりしたことは、カメコ(この本のクサガメの名前)の表情がそれはそれは豊かなこと! 犬や猫ならまだしも、普通のクサガメがあんなにしっかり自分の意思表示をするのにはびっくりさせられました。 私も次にカメを飼うとき、カメコのような生活をさせてあげたいなぁと思いました。 この本を読んだら、カメ好きな人はもっとカメが好きになりますし、カメ好きじゃない人はコメの魅力にハマることでしょう。
座右に置きたくなってしまう本 活字は大きく(3ミリ角大)、写真も多い(モノクロ)たいへん読み易い本です。それを良いことに、書店で立ち読みしました。 立ち読みで1冊読み切ってしまうというのは、初めての経験です。 しかも、日を替えて、夫婦でそうした後、しっかり定価で購入し、後に、ウチでもカメを飼うハメになったという、所謂、イワク付きの本で、買った後も、折を見ては読み返しています。 取り上げられている亀はワシントン条約にひっかかるような亀ではありません。昔、よく縁日で売られていた(今は、ホームセンターやペットショップでしょうか?)あの銭亀です。 「二十数年もの間、金魚のように水槽に入れっぱなしで飼っていた亀(カメコ)」を「絨毯の上に放して」後の「カメのいる暮らし」が、なんとも楽しい読み物です。 共著者の真面目な系統学的および生態的な解説、参考文献、索引も付いています。 装丁も含めて、カメを愛する皆さんが丁寧に丁寧にお造りになった本というのが全体の印象です。
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[ 単行本 ]
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東京アンダーワールド
・ロバート ホワイティング
【角川書店】
発売日: 2000-07
参考価格: 1,995 円(税込み)
販売価格: 1,995 円(税込)
中古価格: 1円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・ロバート ホワイティング
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カスタマー平均評価: 4
よく調べてます 日本の戦後は、平和憲法策定、教育改革、婦人解放、農地改革、財閥解体、などなど、世界史にも例をないくらい理念先行型の社会改革を推進していたわけだが、当然そんな180度ターンに耐えられるような社会などどこにもあるわけはなくて、戦後史を語る上では、そういうのを「スムーズに」進めるために暗躍した、アンダーワールドの人たちのことを無視できるはずがない。そういうカテゴリーの有名どころでは児玉誉士夫、笹川良一みたいなフィクサーとか(フィクサーってなんだって感じだけど)、ヤクザとかなんだけれども、これに加えて、本書でいきいきと描かれているような外国人たちの存在も無視できない。要は、法律とか日本のしきたりとか、そういう枠を超越したみなさんが、アクロバティックな癒着を成立させて日本社会は運営されていた(いる)わけである。日本人というのは、基本的に何かを決めることがとても苦手な人たちなので(一つ方向が定まるとがむしゃらに進めるのは方向転換とかの決定が苦手だからですね、きっと)、こういう人たちがいなかったら、かたつむりがびっこをひいたような社会になっていたでしょう。別にそれでもよいのだけど。
外国人たちというくくりで本書で主にふれられているのは、六本木を歓楽街として発展させていった男、ニコラ・ザペッティと、力道山(彼も北朝鮮出身である)である。力道山というのはなんだかすごい人で、これはまた何か別の本でも探して読んでみたい。とりあえず六本木にあるイタリアン・レストラン「ニコラ」は一度行ってみようと思う。
おもしろかった!!! 原書で読んだのでわからなかったところや、翻訳本がどんな感じなのかはわかりませんが、とにかくおもしろかった!!!日本はヤクザの国だ、と言われる所以がよくわかりました。諸説として読んでも最高だと思います。数十年前の日本のエネルギーってすごかったんですね。この本がきっかけでバブルについても興味を持ちました。差別的な意味ではなく”外人”だからこそ書けたのではないでしょうか。
映画化はまだ? トラック(ミニカーですか?)1台分の資料?というわりには 基本的な 事実の間違いが多い。
また見解が分かれる部分であるが、この本の在日朝鮮人の扱いについては 朝鮮人 強制連行の神話の中で 名ざしで批判されています
町井久之のボデイーガードの件についても 大山倍達正伝の中で ボデイーガードは たぶん大山のことだろうが(ただし 体格が違いすぎ)、彼がテコンドーの名人というのも当時はテコンドーはまだなかったので この本の記述の間違いではないかと、名指しで批判されている。(著者は裏をとっていない)
また町井自身が愚連隊あがりというのは 間違いではないが、現民団の前身の一つでもある 建青の特攻隊長の一人でもあり、また朝連(総連の前身)とのバトルの結果で 彼が 顔役になれたという 肝心な点が この本ではスールですね(そんなに日本人を人種差別主義者にしたいんですね)
こんなオリエンタリズム 旧宗主国感覚で書かれた本です。
すぐ わかると思いますが? 気持ち悪いというのが
正常な神経の持ち主です。
町井久之が生きていたら 汚いこともしたし 俺は ヤクザかもしれないし 愚連隊あがりかもしれないが 祖国の半分を駄目にした男と戦った人生に悔いは無いし、 本当は 日本も大嫌いで 野球も まったく知らないのに いじいじ 女と金のために 日本にいて 日本の悪口 いっているような 腐った奴よりは 人間として 男として俺と俺の子分たちは 負けないよ。
そういうだろうね。
ひとつの整理として 概ね、このインターネット社会においては既に入手可能な情報が大半であるが読み物としてもなんだかとても読みやすく、いい感じ。 本筋のアンダーワールドといっても、当然ながら、外国人関係が目新しい情報であり、他はまあありきたりとはいいませんが、他でも入手可能な情報ですがそれらが結びつけられてまたあたらしい知識として再構成されている感じ。 政治がらみのアンダーワールド部分が弱い感じですがまあそれは現時点では難しいのかな、とも。 読んで損はない感じ。
戦後日本の復興とその暗部を知るための概説本となる。 子供ながらにGHQ、佐藤栄作、田中角栄、児玉誉士夫、力道山、岸信介、山口組、稲川会、ロッキード事件等、昭和の高度成長期に登場する面々と事件の名前は耳にしたものだ。しかし、なかなかその台頭と活躍については学校では習わないので分かりにくい。又、個々に調べる程の意志もない。この本はニコラ・ザペッティなるアメリカ人の波乱万丈を題材に日本の知られざる重要な影の戦後史を教えてくれる。そしてその時期に確立された、政・財・官・ヤクザの関係が今の社会にも脈打っていることを暗示している。なによりもロバート・ホワイティングというアメリカ人が日本に興味を抱き長年にわたる取材を通して書き上げたという点に驚きを覚える。
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[ 単行本 ]
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ヒットラー・ユーゲント―SS第12戦車師団史〈上〉
・三貴 雅智 ・フーベアト マイヤー
【大日本絵画】
発売日: 1997-12
参考価格: 4,095 円(税込み)
販売価格: 4,095 円(税込)
中古価格: 2,194円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・三貴 雅智 ・フーベアト マイヤー
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カスタマー平均評価: 5
SS戦車師団の奮闘!! ノルマンディー侵攻作戦時、反撃できるドイツ軍師団は第21師団、戦車教導師団、そしてSS第12師団であった。かれらはまさしく17,8歳の少年といって良い若い師団であった。しかし、「ベイビーミルク師団」と侮っていた連合軍は痛い目にあうことになる。ひとつには士官クラスがSS第1師団等から抽出された優秀な者(マックス・ベンシュやクルト・マイヤー)であったことと、装備の優先配置であったためであろう。 一説には48時間以内に効果的な反撃が行われていれば、(戦車師団の移動は最高司令部の許可が必要であり、発令された時点では時期を失していた)連合運を海に追い返せたという。本書ではそういった戦略とは別に日々前線で戦うかれらのまさに「死闘」が克明に描かれている。戦闘当事者として軍務にあたっていた本物の強みといえるだろう。
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[ 文庫 ]
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東京の戦争 (ちくま文庫)
・吉村 昭
【筑摩書房】
発売日: 2005-06-08
参考価格: 525 円(税込み)
販売価格: 525 円(税込)
中古価格: 447円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・吉村 昭
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カスタマー平均評価: 5
何も足さない、何もひかない 作家というのは事実でも自分の解釈で描いていくものである。
しかし、吉村さんというのは作家でありながら、新聞記者やルポライターよりも誠実に事実を追及し、そこに人間性を見出しドラマを描いた方であった。
さまざまな戦争物がある。
今、戦後60年以上たち、沖縄戦における軍の介入の真偽が問われたり、戦争に対するさまざまな解釈や見解が出てきている。
あの戦争を振り返る一冊として、ためらう事なくこの一冊を読んだ。
そこに描かれているのは、空襲で家を失い、その後家族を亡くした吉村少年の体験記である。
お涙頂戴はない、アメリカの爆撃機がどのように街に近づき、破壊し、戦後どのように人々が生きたかを実に清廉、簡潔明瞭な文章で書いている。
ドラマ性を求めず、事実を淡々と描いているだけであるが、悲しくもあり、当時の生活をそのまま疑似体験できるような筆致であった。そして戦争を考える上で非常に貴重な一冊である。
吉村さんがこの本を書いてくれた事を感謝したい。
戦時下の日常 戦争と言う言葉からイメージしがちなのは戦闘シーンで、それが戦争の一面であることは確かだとしても、一方では一般の人々が戦時下なりの日常生活を営んでいたのである。政治や軍事の面から語られることの多い戦争と言うものが、一般の人にはどのように見え、どのような影響を与えたがわかる好著である。
抑制した筆致の伝えるもの 戦後60年ということで、8月15日に向けて、何かと回顧ものが出版されている中で、1931年の満州事変勃発から1945年の終戦までの間、東京で暮らしていた筆者が見たこと、聞いたこと、体験したことを綴っていった一編。この筆者の書き様は決して大袈裟なものではなく、なにげない描写がかえって当時の空気を伝えている。空襲下、家族に取り残された老婆が助かったものの、家族と再会する逸話、戦災の後、焼け残った電柱の土中に埋めてある部分を掘り返して燃料にする男の話、箱枕の置いてある桟敷で落語を楽しみ、また映画を見た寄席や映画館が焼失した後の逸話、戦時下の墓地で性交をする男女を目撃した話、などなど、時系列ではなく、さかのぼったり、後の時代に下ったり、前後を関係なく淡々とした筆致で書き進めていく。全体として、あの戦争の時代というのはどういう空気だったのかが伝わってくる。 大上段に振りかぶった書き様ではないだけに、伝わってくるものが大きい。 解説で小林信彦が書いているが、巻末の「私の『戦争』年譜」を先に一読した方がわかりやすいかもしれない。
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[ 文庫 ]
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20世紀最大の謀略 赤軍大粛清 (学研M文庫)
・ルドルフ シュトレビンガー
【学習研究社】
発売日: 2001-04
参考価格: 777 円(税込み)
販売価格: 777 円(税込)
中古価格: 280円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・ルドルフ シュトレビンガー
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カスタマー平均評価: 3
赤軍の俊英・トハチェフスキー将軍に対するスターリンの猜疑心を 察知したドイツ情報部は、赤軍首脳をスターリン自らに抹殺させ 来るべき対ソ連戦に備え赤軍を弱体化させるべく罠を仕掛けるのであった 大粛清そのものではなく、大粛清に至るクレムリン内部の権力闘争・ ドイツ情報機関による陰謀とチェコスロバキアを舞台とした工作活動に焦点をあてた本です。
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[ 文庫 ]
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古代への情熱―シュリーマン自伝 (岩波文庫)
・ハインリヒ シュリーマン
【岩波書店】
発売日: 1976-01
参考価格: 483 円(税込み)
販売価格: 483 円(税込)
中古価格: 1円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・ハインリヒ シュリーマン
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カスタマー平均評価: 4
「情熱を抱くのは素晴らしい」と教えてくれる『小説』
名著であるとは思います。
但し、小説として。
昨今、シュリーマンの実像は虚言癖のある見栄っ張りであり、
名声は金にあかせて売名行為を行った結果であるとあばかれつつあります。
否定するには、証拠があり過ぎます。
恐らく真実でしょう。
シュリーマンは幼きころから考古学を志したわけではなく、
発掘費用の為に、懸命に働き財をなしたわけではなく、
知的情熱で学問をしたわけでもありません。
盗掘紛いの発掘を行い、遺跡を傷つけ、権利なく、許可無く、貴重な出土品を自分のものとしました。
かといって、シュリーマンの為した事が全て否定されるものではなく、
考古学上貴重な発見をしたことは事実です。
その功績に免じて、功なり、名を買った金満親父の与太混じりの自慢話として、
存在を許されても良い本なのでしょう。
但し、お子さんや生徒に、「情熱的な名著だから読むように」なんて言うのは、よい恥さらしとなりますからご注意を。
あなたは何に情熱を傾けていますか? シュリーマンは、トロイアの遺跡を発見したドイツの考古学者です。彼は、14才から働き始めました。朝の5時から夜の11時まで働いたそうです。お金を持っていませんでした。乗った船が、難破したこともあります。しかし、彼は、熱心に働き、そして勉強しました。その後、30台で大成功します。その巨額の財をすべて考古学にささげます。これは、少年時代からの夢でした。
シュリーマンは、また、多くの言語を短時間で習得したことでも有名です。その習得方法が、本人の言葉で説明されています。熱意さえあれば、だれにでもできる方法です。
シュリーマンの人生は大成功です。その自伝です。どうやって夢を実現させたか、その知恵が書かれています。夢を実現するためには、他の楽しみは諦めましょう。何か一つ、心に決めましょう。それが情熱ですね。
割りに短めの本です。第一章(少年時代と商人としての人生行路)を読むだけでも十分な価値があります。世の中にあふれる自己実現本を読むより、本当に成功した偉人の自伝を読んだほうが良いでしょう。
僕もシュリーマンのように、情熱を持って生き続けたいです。歳を取ってから、自分の人生をゆっくりと振り返りたいものです。
夢は色あせず シュリーマンの名は英語の教科書に出てきた彼の伝記で知りました。
幼いころ読んだトロイア戦争の物語にとりつかれ、その後苦学し、独学で何ヶ国語も身につけ、仕事で成功を収め巨額の財産を手に入れ、その資金でトロイア遺跡を発掘し、夢を実現させたシュリーマン。
この本には彼の幼い頃から持ち続けた情熱と有名な語学習得法が書かれています。
この本を読むと、夢を持ち続ける事の素晴らしさ、そしてそれだけでなく自分でも夢を実現させるのにふさわしいだけの努力をしなくてはならないというのをしみじみと感じます。
近年、彼の発掘や、少年時代の記述に関して異論も唱えられているようですが、それでも彼の功績と我々に与えてくれる希望は色あせる事はありません。
嘘つきシュリーマン 現在までの研究で、このシュリーマン自伝は嘘八百であることが明らかになっている。シュリーマンは成金で、四十六歳になるまで考古学になど何の興味もなく、それまでの研究成果を利用して莫大な金をつぎこみ、自分の業績を宣伝しまくったのである。詳細はツァンガー『甦るトロイア戦争』やトレイル『シュリーマン?黄金と偽りのトロイ』に詳しい。
あきらめないことの大切さを教えてくれる 伝説の古代都市についての調査を重ね、そのために何カ国語も勉強し、何年もかけて、真実をつきとめていくシュリーマン。
ひたむきに、もくもくと、信じて疑わず、あきらめないことの大切さを教えてくれる。
初心にかえらせてくれる一冊です。
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[ 単行本 ]
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正史三国志群雄銘銘伝
・坂口 和澄
【光人社】
発売日: 2005-06
参考価格: 3,990 円(税込み)
販売価格: 3,990 円(税込)
中古価格: 3,400円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・坂口 和澄
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カスタマー平均評価: 4.5
三国志の最高の辞書 三国志の正史では、ある人物に関する伝の中ではその人によくない事例は書かないようにしているので、
正確なことを知るためには他の人の伝まで読む必要があります。
また、伝によって記述内容が異なる事例もあり、
もしある人物が実際はどんな人物だったのか気になったとしても、
それを正史で探すのには、かなりの苦労と暇を要しました。
この本では、正史やその他の文献などの各所にちりばめられた人物の断片を抜き出し、
それを著者自身が比較して、独自の視点で結論を出しています。
魏、呉、蜀、その他と人物に分類し、50音順で並べています。
年表、当時の官制(なかなかわかりにくい)、異民族についても書かれています。
調べるのにはかなりいい構成です。
学術的にはっきりしないことに対して、著者が独自の推論をたてていることには、私は共感を感じました。
(確かに著者の主観の表現もありますが)
それがこの本のオリジナリティーであり、また、ただの分析本、評論本との違いでしょう。そのことにより、この本は読みやすくなったといえます。
ただ惜しむらくは、曹操、劉備、諸葛亮…などの当代の英雄の記述が、他の人物に対して少ないように思えます。
もっとも彼らの事績はあまりに多すぎて全部は記述できそうもないですが。
出師の表なども断片的にしか載せてないので、メジャーな武将についてもっと知りたい方は、やはり正史を読むしかないでしょう。
これは必携 三国志訳は高い!。司馬懿等の伝は、「三国志」にはなく「晋書」にあったりして、てっとり早く知識をつけたい方には不便そのもの。 そういう方には本書は非常にお薦め。 問題は著者の自説が邪魔してて、初心者読者が著者の主観に染まる可能性がある事。全人物に主観を交えず、書かれてたら、間違いなく星5つでした。
読みやすいです 本屋で偶然見つけ購入したのですが、「正史」で挫折しがちな「上奏文」(文帝禅譲に先立ってのやり取り辺りは本当に読み難くて投げ出しかけました)が無く、とても読みやすいです。 所々著者の主観が入っているのですが、その「仮説」もまた面白いです。 星一つ減らしているのは、時々その「仮説」が邪魔に感じられる部分があったりもするからです。 でも、今迄色々な「三国志人物辞典」を読んできましたが、是が一番解りやすかったです。
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