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[ 新書 ]
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信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)
・谷口 克広
【中央公論新社】
発売日: 2005-01
参考価格: 819 円(税込み)
販売価格: 819 円(税込)
中古価格: 243円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・谷口 克広
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カスタマー平均評価: 4.5
史料から浮かび上がる信長軍の事実 どうも戦国時代の武将を扱う本は人物本位の記述に傾きがちである。
戦国乱世で頭角を現す人物であればこそ、波瀾万丈、魅力溢れる人物像を描き出せるので読み物としても面白い。
だが、軍隊として考えたらどうか、組織として考えたらどうか。
確かに魅力溢れる人物達であるが、エピソードばかりに焦点を当てていては実像は見えてこない。
この本では織田信長麾下の部将達を信長軍という組織から捉え直している。
だからこそ組織論に関係しないようなエピソードは一切省かれている。徹頭徹尾、信長軍という組織からの視点で捉えられている。
最終的に方面軍を担うこととなった柴田勝家、羽柴秀吉、明智光秀、滝川一益あたりが当初から大きな活躍をしていたと思われがちであるか、史料に丹念にあたってみるとまた違った像が見えてくる。
柴田勝家も不遇の時代はあったし、羽柴秀吉は成り上がる過程は信頼すべき史料では今ひとつよくわからない。滝川一益などは北伊勢の鎮圧と言った地味な活動での実績を認められたと言える。佐久間信盛のように宿老であっても地位と能力がふさわしくないと見られれば放逐される。丹羽長秀も方面軍を任すに足る人材ではないと見切られたという指摘は面白い。荒木村重も一事は重用されていたが、一国を任す以上の人材ではないという評価に我慢できずに反乱を起こしたあたりも面白い。あまり知られていない塙直政という人物も興味深い。大坂攻めで戦死していなければ今後も信長軍の中核を担う人材の一人として活躍を続けたのか、もうしそうであれば本能寺の変やその後の羽柴秀吉の政権獲得もなかったかも知れない。
不完全ながらも史料を丹念に読み込み、考察と実証に努めた成果である。
信長の部下を見る目の確かさ、場面場面の応じた人材登用の妙、要するに人材活用の手腕が信長が天下の覇権を手中に収めた最大の要因であったのだろう。単なる奇人には人がついてくることはない。力だけに人は従うわけでもない。
単なる人物論を越えた、時代としての戦国を捉えようとする視点にこの時代のダイナミクスを感じた。
信長配下の厳しい出世レースを描く 京都での行政能力を評価され一気にのし上がった塙直政、浅井家の降将でありながらいきなり宿将なみに扱われた磯野員昌、上洛当時の出世頭・中川重政などなど、あまり知られていない武将の浮沈までを時期によって説明。
柴田、明智、羽柴など、最後に方面軍司令官になった者たちは、厳しい出世レースを勝ち抜いたことがよくわかる。荒木村重は、一時は信長配下で最大の所領を与えられながら、その後は頭打ちだった。謀反に至った理由も納得だ。
著者が学恩を受けた高柳博士による「光秀より塙直政のほうが上だったわけですね」という言葉が、そう語ったときの表情とともに忘れられないと後書きに書かれている。このテーマに関して著者が歩んできた道のりを感じさせるようではないか。
ただし厳しくいうなら、全般に地道な説明であり、読み物として盛り上げる技術や、シンプルで大胆な仮説を提唱してみせるサービス精神はない。だから、やや甘めにつけても★4つ。
厳しくドラスチックな信長の下での出世競争 塙直政、梁田広正、中川重政、磯野員昌…。皆さんの中で、これらの名前にピンと来る方がいらっしゃったら、よほどの戦国武将通でしょう。
彼らはいずれも信長の家臣で、一時は柴田勝家などの重臣と肩を並べるまで出世しましたが、戦死や失策また追放等により競争から脱落していった武将達です。羽柴秀吉や明智光秀等も最初から一頭抜けていたわけではなく、先に示した武将達と激しい競争を繰り広げた結果、数カ国の軍勢を動かす地位(方面軍司令官)にのぼりつめたということを本書は教えてくれます。また改めて感じたのは、競争がごく短期間に行われたこと。諸武将に関する記述と巻末年表を突き合わせて見るだけで、わずかの間に彼等が浮上しまた沈んでいったことがよくわかります。
何となく思い込んでいたイメージを事実で正してくれる綿密な文献調査に脱帽です。
信長家臣団ここにあり! 信長家臣団がどのように発展・拡大していったのかこれを読めばかなり把握できます。尾張統一戦から最大領土を築いた各方面軍の軍容まで、どの武将がどの様な経緯で配属されて行ったのかもとても良くわかります。
各方面軍ごとの信長の信頼度の違いも読んでいけば「なるほど」とつい言ってしまう程理にかなっており、信長の緻密な軍団編成にさらに天下人の器が垣間見れた様な気がします。
下手な歴史小説よりもかなり読みやすくお勧めの一品です!!!
幅が広くて コンパクトで 最近まで 武功夜話肯定の方のような気がしましたが
この本では多少 変化が見られるのは興味深い。
また丹羽長秀の評価が低かったりするのも 通説と少しちがうが
割に納得できる、割と 目立たないが 当時 力のあった家臣たちを
コンパクトな形でまとめた いろんな意味で
通の読む本あります。
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[ 文庫 ]
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信長の戦争―『信長公記』に見る戦国軍事学 (講談社学術文庫)
・藤本 正行
【講談社】
発売日: 2003-01
参考価格: 1,050 円(税込み)
販売価格: 1,050 円(税込)
中古価格: 698円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・藤本 正行
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カスタマー平均評価: 5
史実と虚実の間で 信長の合戦の虚構性については以前から聞いているのでそう珍しいこととも思えないのだが、この本の良いところは、現在言い伝えられている逸話が当時の戦争の常識からいかにかけ離れたものであるか、ということを解明している点と、日本の近現代の戦争史との関連性を説いている点である。特に「甫庵信長記」のような物語が軍事戦略上の教材として扱われていたという事実には驚愕したし、こんないい加減な知識のために多くの命が失われたと思うと憤りすら感じた。
ただ、「信長公記」という第一級の史料がありながら物語が史実としてがもてはやされたというのは、長く戦争状態のなかった江戸時代の影響もあったのではないだろうか。史実の錯誤の原因を「甫庵信長記」のみに求めるのは少々無理があると思う。
とはいえ、もし日本がいま戦争をするとしたら、同じ失敗を犯しそうで怖い。戦争を知らない人びとが戦争を語り、構想することの危なさを、この本は暗に指摘してくれているような気がする。
初心者でも十分楽しめる、歴史の真実に迫る本 「信長公記」には、ほぼ完全な自筆本が2本残されているが、自筆本同士でありながら、異同が多いのだそうだ。筆者は、この2本の自筆本について、信長と家康に対する敬称の有無を巻ごとに分析し、一方を決定稿と見る通説に疑問を投げ掛けるとともに、記事ごとの敬称や干支の有無から、カードシステムによる編纂方法を取っていることも明らかにし、カードの並べ違いや重複の例まで示してみせる。「なるほど、古文書の解析とは、こうやってやるものなのか」と、大変、面白く読むことができた。さて、筆者は、その「信長公記」をおおむね信頼できる史料価値のあるもの、後世の「甫庵信長記」を伝記小説的な史料価値のないものという基本的なスタンスに立ち、「甫庵信長記」などに基づいた桶狭間の奇襲戦などの現代に伝わる通説を、「信長公記」の記述を詳細に分析したり、誤った史実の成り立ちの経過を明らかにして否定してみせ、「なるほど」と納得させてくれる。 ただ、この本を読んで、疑問に思うことが一つある。「信長公記」は、別に近年になって発見された本でもなく、我々一般大衆はともかく、研究者にとっては、その存在と、その中に書かれている内容については、以前から周知の事実のはずであり、そこから、昭和57年になって、ようやく通説を覆すような新説が出たということを、どう捉えればよいのだろうか。 実際、筆者のあとがきによると、昭和57年に筆者の新説が発表される前は、研究者の間でも桶狭間の奇襲戦などは通説となっており、現在でも、まだ通説を支持する研究者は、少なくないのだそうだ。こうなると、私などには、通説と新説の違いは、「信長公記」と、「甫庵信長記」などの後世に書かれた古文書を、それぞれどう評価するかのスタンスの違いに過ぎないのかとも思えてしまう。一度、通説を支持する立場の研究者の理論にも触れてみたいものである。
勝頼が信長を道連れに........ 「信長公記」伝本の徹底した研究調査により「信長公記解題」の様相を呈する序章をベースに桶狭間の合戦から長篠の合戦までを従来の定説を排除し良質な資料に基づく新解釈を世に示した好著の復刊。 然しそこで敢えていうならば、「信長公記」が桶狭間の合戦年を「天文21年」(1552年)と「記述を誤っている」ことに対して、単に「永禄3年(1560年)の誤り。後世の加筆であろう。」と簡単に処理している点がひとつ。つまり、著者自身が言うところのドキュメンタリー作家たる太田牛一が、桶狭間の合戦の年を間違えるのは極めて不自然な考えられない誤記である。寧ろそこに何らかの意図・事情が介在していたと見るべきでは。今ひとつは、今川方と織田方の兵力の格差である。近世大名配置等によれば駿河・三河・遠江の三国合わせて石高約80万石、豊かな濃尾平野と貿易港を有する尾張は約65万石である。当時の兵農未分離の状況の中で輸送部隊を含めた動員力は一万石あたり、300人程度とされるので、今川方24,000人織田方19,500人となる。しかし武田・北条と三国同盟中であるとはいえ今川方も後方の備えのため6割が遠征したとして14400人、同様に織田方11700人となる。当然敵国美濃と接する織田方が後方の備えがより多く必要であることは否めない。しかし、今川方は駿河からの遠征軍のため輸送隊の割合が高くなるはずであり、その分実戦部隊の割合は低下することとなる。その一方で織田方はほぼ自領での戦闘なので多くの荷駄を必要とはしないはずである。したがって、大目に見ても今川方約15000人対織田方10000人程度の格差と想定される。加えて今川方は鳴海、大高方面に先遣隊が分散し、桶狭間が奇襲戦ではないとする場合にはこうした視点も加味されるべきと思われる。 以上の点はさておいて一方的に敗れた武田勝頼が結果的に信長の領国支配体制を大きく変更させ、滝川一益ら宿老の前線への配置転換、畿内地域の信長の軍事力の空洞化を招き光秀の謀反成立の前提条件を形成したという見方は興味深いものがある。
歴史小説がおもしろくなくなる本 歴史を考えるときにいかに科学的,実証的な,言い換えれば地味な態度が必要かということを教えてくれます.一方で,歴史小説の功罪について考えさせられます.津本 陽さんなんかあんなまことしやかな信長を描いて,あれは小説なんだから許してって言うんでしょうか.歴史,それも近世の一時期を扱ったものなので世間にはあまりインパクトはないのかもしれないですが,作者の藤本氏の迫力は科学の大発見に匹敵すると思います.もう一つ,この本の悪いところは,この本を読んだ後だと,歴史小説がウソっぽくて読めなくなります.竜馬みたいに生きたいなあ,なんて司馬さんの本読んだりしたけど皆ウソっぽくて色あせて見えますよ.それぐらいこの本は衝撃的です.
信長進化論 当たり前のことをが忘れてしまうことがある。 たとえば歴史学も学問である以上、常に進化するものであり 常に定説に対する修正論が続々登場するものだということだ。 織田信長と戦争についてあつかった本書では 「常識」だと思われていたことが「信長公記」を資料に修正される。 それは以下のようなことである。 ・桶狭間の信長軍は少数で今川軍に迂回奇襲をかけたこと。 ・長篠の戦いは武田の旧戦術と信長の新戦術の対決であったこと ・信長の鉄甲船は大船に鉄の装甲を施した先進兵器であった。 などなど。 資料をもちいて 戦国時代の合戦のやり方やルールなどが説明されるのも興味深い。
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[ 文庫 ]
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目からウロコの戦国時代―史料から読み解く武将たちの真相 (PHP文庫)
・谷口 克広
【PHP研究所】
発売日: 2003-09
参考価格: 650 円(税込み)
販売価格: 650 円(税込)
中古価格: 188円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・谷口 克広
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カスタマー平均評価: 4.5
資料に忠実な良書 歴史雑学書としては、初心者よりも、やや知識のある人のほうが楽しめるだろう。
今まで通説とされてきたことが、実は後世に間違って伝えられたという事例が数多く紹介されている。
「信長は、桶狭間の戦いで本当に奇襲を敢行したのか?」
「清須会議の出席者はたったの四人だった」
「秀吉自身は四国・九州攻めを戦ってはいない」
など、他書では得られない事柄が史実に基づいて書かれていて、まさに『目からウロコ』が落ちる思いである。
著者は良質な資料を参照するようこだわっているそうで、内容も信頼できる。
昨今流行りの「トンデモ歴史解釈本」とは一線を画す良書である。
歴史上の真偽、多くの学説が面白い。 戦国時代は面白いし、情報や書物やTVでかなりの知識も得ている。しかしその事件や人物は当然そうだと思っていても、実際は後世に作られた話でその内容が史実から離れて定着してしまったとか、どうも信用がならない。この書は信頼できる資料を基に、誤って伝えられていることに対し正しい説を紹介したり、知られていない興味深い史実を紹介することを目的としている。よって面白い戦国時代がより興味深いものにしてくれる価値ある書と感じた。例えば、竹中半兵衛の実像は?とか、戦場の武器としての刀は?とか、武田信玄は本当はやさ男だったとか、とても面白い。
より庶民的な視点で… 華やかで野心のみなぎる戦国時代ですが、戦闘での戦い方や戦争での狩り出される兵士の気持ちも分かると人間の醜さが伝わります。
戦国ファンでしたが、実はこんなもんだよって言えるような豆知識を得ることができました。それでも、事実はどうなのか断定できないところがあったり推測だったり、文献を分析するのって大変なんですね。
大河ドラマだけでは不満な方へ 歴史好きで大河ドラマも見ていたけども、
でも、いつもお決まりのシーンばかりで
少し飽きてきたなぁ・・・・
そういう方にお勧めの一冊です。
三河武士は本当は強くなかった!という下りなどは
歴史って都合よく書き換えられるものなんだ、と
強く印象づけられました。
文庫本ですからコストパフォーマンスも良し。
良書だと思います。
事実はどこ? 今まで語られてきた史実が、根本的に覆される1冊。
今までの「武将」のイメージより、もっと「人間」てきな部分を感じ取った。
「自分ブランディング」の参考になるかも。
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[ 文庫 ]
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完訳フロイス日本史〈2〉信長とフロイス―織田信長篇(2) (中公文庫)
・ルイス フロイス
【中央公論新社】
発売日: 2000-02
参考価格: 1,200 円(税込み)
販売価格: 1,200 円(税込)
中古価格: 975円〜
( 通常3〜5週間以内に発送 )
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・ルイス フロイス
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カスタマー平均評価: 5
年よりの暇つぶしU カソリック宣教師の、優越感蔓延の本です。いかに、フロイスが、「日本人は勤勉で知的な民族である。」と書こうとも、言葉の端々から、「このサルどもめ!」という匂いがプンプンと漂ってきます。
ただ、日本人が知っている(と思っている)室町安土桃山時代を、別の視点から見させてくれます。この時代の風俗を、西洋のの視点から説明してくれているので、おもしろいし、興味深いものです。我々日本人が当たり前として見過ごしていた室町安土桃山時代の風俗を改めて認識させてくれます。
問題は、これを歴史書としていいかどうかなのです。歴史の資料としてはかまいませんが、これを歴史書とするには問題があると思います。
私のような、年よりが暇つぶしにこれを読むのはかまいません(私は、実際暇つぶしの時に読んでいるので全12巻読み終えるのはいつかわかりません。)が、若い勉学中の方は、よりまともな歴史書を読むことをお勧めします。(はっきりいいますと、全体の基調は、「異教徒は非業の死を遂げて当たり前」、「クリスチャンは神に守られ、たとえ死んでも、それは神に嘉せられてゼウスの意志によって恩寵を受け天国に参らせられる。」という論調です。)まともに、読む本ではありません。くれぐれもこの本で歴史の勉強をしようなどとは思われませんように。
ただ、この本を完訳された翻訳者の方々の努力は刮目すべきものです。この訳業によって、我々のような、語学に稚拙な者でも、中世の西洋人の考え方及び当時の世相風俗がわかるのですから。まともな、原稿がない状況で、それを、丹念に収集し、かつ、まとめ上げて翻訳するということは、尋常な努力ではなせなかったと思います。その点はすばらしいと思いますし、このような本は滅多に出てこないと思います。絶版にならないうちに買っておくこと(たとえ今すぐ読まないとしても)をお勧めします。
フロイスってすごい。 歴史に詳しい方には敢えてお伝えすることはありませんが、 私のようにルイス・フロイスといえば、信長に会いキリスト教の 布教をした人、という程度の知識の方で、結構歴史好きなら 本作、本シリーズはかなりお薦めです。フロイスにこれだけの 著作があったことに驚き、また当時の日本をフロイスの視点から描かれた内容はかなり楽しめました。歴史的な資料としても価値が あるそうですし、知的欲求がある方は買いです。お薦め!
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[ 単行本 ]
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戦国時代用語辞典
・外川 淳
【学習研究社】
発売日: 2006-12
参考価格: 1,680 円(税込み)
販売価格: 1,680 円(税込)
( 通常24時間以内に発送 )
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・外川 淳
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カスタマー平均評価: 5
生き生きと用語解説、戦国絵巻 漠然と日本語を知っていても、本当に知っていることにはならない。本辞典のように時代を区切ってその時代背景の中で解き明かしてくれると、納得できるものになり、言葉が身に付く思いになる。単語数が爆発的に増えた近世の「助走の時代」であるとも言えるが、古代日本語が近世日本語に大きく変わる、過渡期として国語史の最も注目すべき時代とみたい。中世、室町、戦国時代の実像を「生きた用語」に焦点を当てた本書編集の試みに賛意を覚える。
「安堵」=領地の所有権を認められること。堵という文字は垣根を意味し、垣根という空間の中で安心している状態。「一所懸命」というように、武士にとって自分の土地を護ることは、最も大切なこと。主君に〈奉公〉することは「安堵」という〈御恩〉を受けるためだった。
「日葡辞書」には、「以前に自分が所有していた本来の領地に戻ること」とある。この辞書は、日本語・ポルトガル語の辞典として貴重。
「跡目」=相続人。「日葡辞書」にも「後継者、あるいは相続人。また、遺産」と訳される。応仁の乱のように、相続を起因とする争いは、絶え間なかった。そのため、家臣にとって、主君が正当な相続者を「跡目」と定め、相続権を「安堵」することは、重大な事であった。
この時代を象徴するような言葉の「下剋上」…秀吉は自身が「天下人」になってからは、これを防ぐ立場となった。
本書は、この時代特有の用語を数多く取り上げ、簡明に図解して、合戦・権力構造・暮らしの「戦国絵巻」として充実したものとなっている。
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[ 文庫 ]
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完訳フロイス日本史〈3〉安土城と本能寺の変―織田信長篇(3) (中公文庫)
・ルイス フロイス
【中央公論新社】
発売日: 2000-03
参考価格: 1,200 円(税込み)
販売価格: 1,200 円(税込)
中古価格: 1,000円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・ルイス フロイス
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カスタマー平均評価: 5
総タイトルが問題だが、きわめて貴重な資料。 たいへんな労作で、同時代の資料として貴重であるのは間違いない。
ただ、これに『日本史』というタイトルが付いているのは誤解を生む。
いかなる歴史書も、書き手の主観や独断を排除することはできないが、
それでもここまであからさまな主観や独断(異教徒から見れば偏見になる)で徹底されているならば、「日本史」という看板は下ろすべきだろう。
実態は、一人の宣教師の滞日数十年間を綴った「手記」「日記」であって、
たとえば同時代の日本人のものでは山科言継『言継卿記』や、吉田兼見『兼見卿記』、勧修寺晴豊『晴豊公記』などと同列の「同時代の証言」としての価値はある。
フロイスの上司にあたるバリニャーノからは「冗長すぎる」として公的記録としては評価されなかったようだが、
個人の「日記」としてとらえれば、むしろそこにはそれなりのおもしろさがある。
一宣教師にすぎないフロイスが、気負いに気負って、信長を始めとする名だたる武将や堂上公卿と交流し、彼らを評するくだりなどは、他の資料では見えない面が浮かび上がってなんとも興味深い。
好意も悪意も、ここでは隠す必要がないから実にあからさまで、だからかえって事実関係に嘘はないと逆に判断できる。
本書の値打ちは、この「偏見」にこそあるだろう。
というわけで、本書は「歴史書」ではなく、「偏見に満ちた個人の日記」として読むべきでしょう。
年よりの暇つぶし+急激な展開 カソリック宣教師の、優越感蔓延の本です。いかに、フロイスが、「日本人は勤勉で知的な民族である。」と書こうとも、言葉の端々から、「このサルどもめ!」という匂いがプンプンと漂ってきます。
ただ、日本人が知っている(と思っている)室町安土桃山時代を、別の視点から見させてくれます。この時代の風俗を、西洋の視点(我々現代人の視点に近い?)から説明してくれているので、おもしろいし、興味深いものです。我々日本人が当たり前として見過ごしていた室町安土桃山時代の風俗を改めて認識させてくれます。
この本を完訳された翻訳者の方々の努力は刮目すべきものです。この訳業によって、我々のような、語学に稚拙な者でも、中世の西洋人の考え方及び当時の世相風俗がわかるのですから。まともな、原稿がない状況で、それを、丹念に収集し、かつ、まとめ上げて翻訳するということは、尋常な努力ではなせなかったと思います。その点、すばらしいと思いますし、このような本は滅多に出てこないと思います。絶版にならないうちに買っておくこと(たとえ今すぐ読まないとしても)をお勧めします。
第3巻になって思ったこと
秀吉と勝家の賤ヶ岳合戦が出てこない。本能寺の変の後、明智光秀を討ったら急に、秀吉が太閤になっている。結局自分らに関係しないことは興味がない、これは歴史家の視点ではありません。また、最後に、浄土教に対する論破の内容が出てきますが、いかに彼らの仏教に対する理解が浅かったか、ということが良く解かります。
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[ 文庫 ]
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NHKその時歴史が動いたコミック版 信長・秀吉・家康編 (ホーム社漫画文庫)
【ホーム社】
発売日: 2005-07
参考価格: 920 円(税込み)
販売価格: 920 円(税込)
中古価格: 437円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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カスタマー平均評価: 4
東海地方万歳! 東海地方に住んでいるものとしては、この人達は英雄だ。
特に岐阜といえば信長!
彼らの関係性は実に面白い。
歴史を勉強する上でも、桶狭間から江戸幕府までは、彼らの話を軸に据えて他のことを学んだ方が理解いいのではないだろうか。
この漫画では、ところどころで城の名前がちゃんと出てきて、誰がどこの城を拠点にしたかがよく分かる。
ほとんどが近所の城なのでとても面白かった。
内容は、とても面白いけれど。 絵がダサい。
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[ 新書 ]
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信長の親衛隊―戦国覇者の多彩な人材 (中公新書)
・谷口 克広
【中央公論社】
発売日: 1998-12
参考価格: 777 円(税込み)
販売価格: 777 円(税込)
中古価格: 267円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・谷口 克広
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カスタマー平均評価: 4.5
悪くはありませんが 官僚たちを描くことにより 信長政権の特色が浮かんでくるのは 興味深いが この当時は まだ 武士も商人も 未分化だったんですが という点を スルーしているのが 惜しまれる。
信長の天下統一を支えた無名の側近たち 信長政権を行政、外交、軍事などの各分野で献身的に支えた近習(馬廻り衆、小姓衆の一部と著者は言う)と呼ばれる人々の実像とその業績を丁寧にたどる内容。タイトルだけ読むと勇ましい戦記もの?だと誤解されかねないけど....。巻末に人名辞典の掲載があり、登場する彼らの多くは著名な信長の有力武将達とは異なり、生没年さえも不明な人物も少なくなく「その他大勢派」にどっぷりと漬かっている人間(自分です...)にとっては愛おしささえ感じてしまう。合戦で斃れる者、病で早世する者、一部の「幸運な者」を除き結果的に彼らの多くは本能寺で信長と運命を共にする。信長政権の柱石として活躍した「無名の者たち」に敢えてスポットを当て、彼らへの鎮魂歌としているようにも思える
信長周辺の若者の魅力満載! このミーハーちっくなタイトルに惹かれて読みましたが、一番そそられたのは、「万見仙千代と森蘭丸」の項。 小説の世界でも蘭丸に押されてしまって、あまりクローズアップされてない小姓・万見仙千代ですが、この本では10頁も書いてあります!しかもかなりめざましい活躍ぶりだったことが詳細に記されています!素晴らしい!なんともマニアック! かつてここまで万見仙千代にページを割いた本を見たことがなかったので、個人的に相当感動しました(笑) というわけで、この本のイチ押し部分は万見仙千代です(爆) いえいえその他の項目も、信長の馬廻や小姓中心に、その職掌に関する性格や構造、変遷に至るまで、とても丁寧に語られているので、若く初々しく美しい信長の家臣たちの魅力をたくさん知ることができます♪ 勿論、前田利家&佐脇良之兄弟などの有名どころから、マイナーどころまで個人情報もずらりと勢揃い。 信長の生涯に添って考えた時、その時期ごとに近習の顔ぶれが随分変わってくるのが、よくわかる構成になっているのも嬉しい点です。 さらには、そもそも「小姓」なるものの概念はいかなるものか、実際どんな面々がどんな用向きを担っていたのか、この辺の基本的なことまでしっかり書かれているので、信長の下で小姓たちがいかに様々の要事にいそしんでいたかも、きちんと把握することができますよ。 巻末の人名辞典にも、生没年と略歴が明記されていて、ちょっと確認したい時にとても便利。この薄さでこの内容の濃さなら、携帯にも最適だし、お役立ちです。 さぁ、あなたもこれで信長親衛隊気分を満喫してみましょう!(笑)
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[ 単行本 ]
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真田一族―家康が恐れた最強軍団 (Truth In History)
・相川 司
【新紀元社】
発売日: 2005-07
参考価格: 1,890 円(税込み)
販売価格: 1,890 円(税込)
中古価格: 1,399円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・相川 司
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カスタマー平均評価: 5
超おすすめ 真田一族の本ではありますが、武田信玄の真実、関が原の合戦の真実、大阪の陣の真実、を、これまでの固定概念に捉われずに書き綴った力作です。最期まで、目からうろこの落ちる思いで読みきりました。 これまで腑に落ちないと感じていた歴史の疑問点が、一気に解決した気分です。
必携の一冊 これまで真田に関する読み物は多々出ておりますが、事実関係を集めた書物というのは堅いものばかりでした。 この本は、史実を非常に読みやすく書いてくれております。 真田愛好家必携の一冊と言っても過言でないように思います。 (関係者ではありません) 史実を踏まえた中で小説を読むと、作者の解釈がよくわかり、非常に面白くなります。
最強「真田軍団」が読者の眼前に迫る“正統”歴史書! 手垢の付いた「真田一族」を、歴史の闇から掬い上げた一冊。 真田昌幸が関が原で、息子2人を東軍・西軍に分け家名存続を図った、とされる「犬伏の別れ」も、実は、一族の来歴から当然、と主張。その他、徳川秀忠を関が原に遅参させた「上田城攻防戦」の真相や、真田幸村が「大阪冬の陣・夏の陣」に奮戦した真の理由を解き明かして、真田一族に対し、我々が日頃漠然と感じていた違和感を解消してくれる。 また、戦国時代の馬は「ポニーサイズ」と断じ、戦いは「数にものを言わせ、戦わずして勝つのが最良策」といった、“目からウロコ”の戦国トリヴィアも楽しい。 著者は在野の歴史評論家だが、「いるところにはいるもんだ!」という感慨すら抱かせる“正統”歴史書であった。 NHK「そのとき歴史は動いた」のファン、必読!(ファンでない人も、勿論、お読みあれ)
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[ 文庫 ]
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真説 関ヶ原合戦 (学研M文庫)
・桐野 作人
【学習研究社】
発売日: 2000-09
参考価格: 599 円(税込み)
販売価格: 599 円(税込)
中古価格: 350円〜
( 通常24時間以内に発送 )
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・桐野 作人
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カスタマー平均評価: 5
冷静な史料分析が光る好著 本書は今から7年ほど前に出された著作であるが、
各種史料を丁寧に分析をしながら、関ヶ原合戦が起こるまでのさまざまな事象について冷静な研究を行っており、
現在読んでもその研究成果は古さを感じさせることはない。
その内容は、
・「五大老五奉行制」の疑念
・石田・上杉連携による家康挟撃作戦の可能性
・直江状の真贋問題
・三成のたてた対家康戦略の詳細とその破綻について
・西進する徳川勢の軍団構成研究
・家康の想定していた西軍との決戦地点の分析
・西軍はなぜ関ヶ原に転進したのかについての推察
・「裏切り者」として名高い小早川秀秋の実状研究
・西軍の精鋭部隊とされた宇喜多秀家勢の現実
・島津義弘勢の合戦当日の行動の分析
など、我々が関ヶ原合戦を考察する上で当たり前のように語っていることから、
今なお議論が分かれるものについてまで、
幅広く改めて再研究を行ったものとなっており、非常に読み応えのあるものとなっている。
全体にどちらか一方の武将を褒めあげたり、逆に貶したりすることもない、
中立的な視線に立った冷静な分析内容であり、関ヶ原合戦の研究本としては好著の部類に入ると思う。
笠谷和比古氏、近衛龍春氏、三池純正氏、藤井尚夫氏らの関ヶ原合戦についての分析の好著同様、
関ヶ原合戦を知る上ではずすことのできない著作の一つと言っていいだろう。
いい作品です 関ヶ原合戦に焦点を当て時間を追って進行します。さまざまな文献を引用しつつ説明は平易でかつ説得力に富んでいます。
三成、家康ともに目論見が違って状況が推移したこと、吉継西軍参戦の真意、島津勢の関ヶ原での実相、宇喜多勢は15000の人数で何故福島勢6000に拮抗せざるをえなかったのか、等々これまで主に歴史小説から学んできた者としては意外なことばかりで大変興味深く最後まで一気に読みすすめられました。関ヶ原に関心のある人にはお勧めの逸品です。
それにしても兼続の「直江状」は偽書の疑い濃厚というのが通説だとは。天下の名文と思いこんでいたのでかなりショックを受けました。
下記に同感です。 さまざまな史料にあたり
豊臣政権の問題点から関が原をみており
また 従来の三成象とは ちがった面も描く出している
よくある単純な作りの本ではなく
実に調べたなという印象を受ける
最近で1番の関ケ原研究かも 「真説本能寺」を読んでから購読したのだが、非常によく調べられていて、納得することの多い内容だった。 20項目に分けられてた疑問点や通説以外の話題を、時間軸に合わせて解説しているので、読みやすいし、読み応えがある。 最近の関ケ原研究書の中ではトップクラスかもしれない。
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