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歴史読み物

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ノモンハンの夏 (文春文庫)

[ 文庫 ]
ノモンハンの夏 (文春文庫)

・半藤 一利
【文藝春秋】
発売日: 2001-06
参考価格: 660 円(税込み)
販売価格: 660 円(税込)
中古価格: 114円〜
( 通常24時間以内に発送 )
ノモンハンの夏 (文春文庫)
半藤 一利
カスタマー平均評価:  4.5
日本を世界戦争へ導いた大事件
後の太平洋戦争につながっていくきっかけとも言えるノモンハン事件を描く大作。 戦場の軍人が統帥権をもつ天皇の意向を無視して暴走する様がありありと描かれ、数万人の死傷者を出してもなお自らの非を認めない高級将校に対する怒りがこめられた表現が多くみられます。 特に、悪名高い辻政信参謀に対しての批判は極めて厳しいのですが(もちろん、批判されてしかるべきなのですが)、その表現が幾分感情的に感じられ、単なる辻批判本と受け取られかねないところは若干残念でした。 とはいえ、ノモンハン事件そのものだけでなく、当時の国際情勢、特にヒトラーのドイツとスターリンのソ連の駆け引き、伊英仏の思惑など、複雑を極めた世界のパワーバランスが丁寧に描かれていて、日本にとってのノモンハン事件が単なる局地的戦闘でなかったことがよく理解できます。 とにかく資料の膨大さに感服します。ノモンハン事件のことを全く知らない人は、消化不良になるかもしれません。同じく文春文庫の「失敗の本質」第一章で予習をしてから読むことをお勧めします。
勉強になりました
戦後の「陸軍参謀本部」は、旧大蔵省の主計局といったところでしょうか? バブル経済を壊滅した悪名高い総量規制、橋本政権時の景気上昇時の消費税上げによる 景気冷え込ませ・・・陸軍が三国同盟締結にひた走って日本を敗戦へと導いたのに似ています。 エリートのみが集う閉じられた世界が誤った国策を生み国を滅ぼす。 戦前と戦後は繋がっている、と実感させられました。
重層的な歴史記述
 ノモンハン事件というと,無能な将軍・越権を意に介さない無謀な参謀と,絶望的な状況で死力を尽くした兵隊と・・・という図式がこれほどピッタリくるものはなく,詳細な戦闘シーンの描写が重ねられるのが普通のような気がする(五味川純平など)。  これに対し,本書は,そうした個々の戦闘シーンの描写は一切省いて,昭和14年5月から8月にかけての,全体としての歴史の流れを描写する方に力点を置いている。その結果,ノモンハン事件そのものの事件経過が把握しやすくなっている他,三国同盟や独ソ不可侵条約といった歴史の流れの中でのノモンハン事件の位置付けが理解しやすくなっている。陸軍と政府・天皇との関係も,丹念に描かれている(天皇にやや好意的過ぎるのではないかという気もするが,これは評価の問題であろう)。  すべての人に,是非一読を薦めたい一冊である。
指導者の責任を考えさせる
 ノモンハン事件については、鎌倉英也著『ノモンハン 隠された「戦争」』(NHKスペシャルセレクション)以来です。戦場となり同士撃ちを被ったモンゴルの視点を踏まえた同書は、“ずたずたの当時のモンゴル人たち”という印象でした。『ノモンハンの夏』からは、まず、ソ連軍ジューコフ司令官にもその優秀さが認知されていた日本軍前線を指揮していた連隊長らが、戦死の運命あるいは戦後処理による自殺に追込まれた一方、同事件を独断専行し上記司令官からも「無能」と報告された関東軍の辻政信と服部卓四郎など犠牲の責任を負うべき一部の参謀たちが、同事件後の一時的左遷の後、1941年12月8日太平洋戦争開戦の時に陸軍の中央に返り咲く、それら二つの群像の対比。そして同参謀らに言わば翻弄され戦略的指導性を欠いた、当時の大本営・政府とその責任の浮彫り、という印象でした。当時ここに教訓を学ぶことなく、第2次世界大戦での敗戦と夥(おびただ)しい犠牲を生み出すに至る日本。昨今その開戦突入65周年を迎えました。史実に忠実にノモンハン事件を取巻く各指導層の動向に焦点を当てて描きながら、戦争を巡る指導者の責任を考えさせる作品となっています。
緻密な事実の積み重ねにより言いたいことがはっきりと浮き彫りにされている。
 スターリンの質問に対し、ソ連の幹部はこう答えた。「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」。本書の要点はこれに尽きるのではないか。  権力は人の成長を止めてしまうのだろうか。陸軍のエリート層のように、一銭五厘の赤紙で召集される兵隊の命など歯牙にもかけず、天皇までないがしろにすることはないにせよ、戦後の官僚をはじめ各組織のエリート層も数々の不祥事を招いてきた。若い時の青雲の志はどこかに行ってしまうのだろうか。  また、なぜ自国の力を過信し他国の力を過小評価してしまったのだろうか。日本はバブルの時代にもう一度同じ過ちを犯してしまった。  人間は「歴史は繰り返すこと」を知っていても、それが自分たちの身には起こらないと思うものなのだろうか。  ノモンハンでの出来事だけでなく、いろいろなことを思い起こさせる一冊であった。

秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)

[ 文庫 ]
秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)

・畠山 清行
【新潮社】
発売日: 2003-07
参考価格: 900 円(税込み)
販売価格: 900 円(税込)
中古価格: 530円〜
( 通常24時間以内に発送 )
秘録・陸軍中野学校 (新潮文庫)
畠山 清行
カスタマー平均評価:  4.5
戦時中、日本の諜報員を知るキッカケになりました
今の日本には、諜報員、スパイといった人たちが見えにくい。 でもこれを読んで、日本にも立派なスパイやスパイ養成校があったんだなぁと、 思いました。 スパイ、諜報員へのイメージが変わりました。
著者の熱意ある取材と努力には心より敬意を表す
著者は「日本の埋蔵金」などの著書のある畠山清行氏で、編集はノンフィクションでは定評のある保阪正康氏です。中野学校は、その昔、小生の親族の一人が在籍していただけあり、興味をもって何度も読ませて頂きました。当然ながら「学校」システムそのものの克明な「足跡」調査は難しく、詳細暴露については有る意味インパクトに欠ける印象も否定できません。が、それはそれとして著者の熱意ある取材と努力には心より敬意を表します。時折小生に言葉少なに話して頂いた当時の状況そのものが、この書の随所に書かれており、深く感銘を覚えました。小生は決して戦争肯定論者ではございません。しかしながら、信念を貫きながら生きながらえるという執念にも似た「合言葉」。公私共につまづいていた小生にとっては、なにか、心の底から力が湧いてきたような気がいたします。
かつて存在した日本の情報機関
太平洋戦争において影ながら活躍し、滅びていった日本の情報機関。 その機関員達を養成し、各戦線に送り出していったのが本書のタイトルにもある陸軍中野学校だ。 本書は昭和46年から49年に番町書房より刊行された「陸軍中野学校」全6巻を底本として一部を抜粋し、再編集したものである。 多少資料としては古いものと思われるかもしれないが、旧日本軍の情報機関。 つまりスパイを取り扱った貴重な本であり、また情報戦においても敗北を喫した旧日本軍の実情を暴いた迫真のドキュメントである。 原本の著者である畠山清行氏の丹念な取材と、客観的な視点による描写はとても読みやすく理解しやすい。 本書は中野学校の工作活動は勿論として、その教育・訓練について詳しい描写があり、中野学校が現代の情報機関でも通用する先進的な工作員養成システムを作り上げていたことが伺える。 中野学校の教育精神の礎となった、日露戦争における明石元次郎大佐の活躍も収録してあり、日本のスパイ史を俯瞰する上でも欠かせない本である。 光人社NF文庫から出版されている「憲兵物語」でもあったように 工作活動においては信頼関係こそが非常に重要であるといった見解は、スパイに対して偏見を持っている人にとって大きな衝撃を受けるものではないだろうか。 謀略は「誠」である、という言葉は非常に重い。 ご一読あれ。
インパクト弱い
中野学校で何が行われていたか、どういう組織だったかという検証本。衝撃的事実の暴露はなくインパクト弱い。

イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた

[ 単行本 ]
イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた

・橋田 信介
【アスコム】
発売日: 2004-01
参考価格: 1,575 円(税込み)
販売価格: 1,575 円(税込)
中古価格: 110円〜
( 通常24時間以内に発送 )
イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた ※一部大型商品を除く
橋田 信介
カスタマー平均評価:  4.5
戦場カメラマン。
イラクで凶弾に倒れた筆者です。 すごく危ない場所に行っているはずなのに明るくさわやかに書かれています。 「ホンモノ」に触れさせてもらいました。 内容は読んでもらうほかはないと思います。 同様の系譜の本で R・キャパ「ちょっとピンぼけ」もよろしいかと。
戦場ジャーナリストと言ふ詐欺師
 ジャーナリストは、何故、戦場に行くのだろうか???いや、正確に言へば、全てのジャーナリストが戦場に行こうとする訳ではない。戦場に行こうとするのは、実は、一部の変わった人々なのかも知れない。??「戦争の悲惨さを伝えるため」なのか?「真実を伝えるため」なのか?ジャーナリストでない私がすぐに思ひつく答えはそんな所であった。だが、この本の著者である橋田信介氏は「戦場ジャーナリストは詐欺師である。」と言ふ。橋田氏のこの言葉に、私は、目からウロコが落ちる思ひがした。(橋田氏の言葉の意味は、本書を読んで、理解して頂きたい)だが、その「詐欺師」たちの取材によって、私達は、戦場で何が起きて居るかを知るのである。  この本を読んで、私は、自分が、世界について、何も知らない事を痛感させられた。そして、橋田氏が、いかに素晴らしい人物であったかを知らされた。橋田氏の御冥福をお祈りする。そして、橋田氏が残したこの本が、日本の若い人々に読まれる事を切望する。 (西岡昌紀・内科医/イラク戦争開戦から3年目の日に)
正直に語る橋田氏に胸を打たれた
 橋田信介さんの奥さんと同郷と言うこともあり、かなり興味を持っていた一冊。この本は2晩で読み切ってしまった。興味深く、大切なことがコミカルに描かれた一冊どとおもう。この本を読んで、橋田さんの仕事が無くなる時代を夢見るようになってしまった(苦笑)
人生とは、はかないもの。
 自分のやりたい事をやる。いくつになっても、自分に素直になって行動する。
 それがたまたま、イラクへの決死の取材だったのかもしれませんね。
 年金生活なのに、将来の金銭的安定はまったくない。その前に、奥さんとは別居中で、家庭も崩壊。それでも彼を突き動かしている原動力は、やっぱり「それが好きだから」「真実を伝えることに使命感を感じている」ことの他に何もないと思う。
 正しいとか正しくないとか、それは時代が決めるもの。でも自然破壊と生きているものの命を絶つことは、絶対的にいけない。
 著者は、日本人が忘れてしまった大切な思いを、決死の覚悟で教えてくれようとしてくれました。
平和は勝ち取るもの
 平和ボケした日本では、平和とは、「争いがごと起きていない
状態」だと思いがちであるが、平和は調整され獲得するものである
ということが、本書を読めば感じられる。

 決して、理路整然としているわけではない文章。お世辞にも上品
とか名文とはいえない。「何が言いたいの?」と感じてしまう人も
決して少なくないだろうし、それは無理もない。

 大マスコミではない、いわばアウトローとしての写真家であった
著者の無骨だが、リアリティーある文章をぜひ読んでください。
いろいろなことを感じるのではないかと思います。


コミック昭和史〈第4巻〉太平洋戦争前半 (講談社文庫)

[ 文庫 ]
コミック昭和史〈第4巻〉太平洋戦争前半 (講談社文庫)

・水木 しげる
【講談社】
発売日: 1994-09
参考価格: 560 円(税込み)
販売価格: 560 円(税込)
中古価格: 338円〜
( 通常24時間以内に発送 )
コミック昭和史〈第4巻〉太平洋戦争前半 (講談社文庫)
水木 しげる
カスタマー平均評価:  4.5
著者の自分史
第4巻の本書は昭和17年6月のミッドウェー海戦から昭和19年ニューブリテン島での著者の軍隊生活までを描く。この島での出来事は今までに何度も作品化されているが、このシリーズが一番詳しく正確であると思われる。
いよいよ戦場へ
本巻「太平洋戦争前半」は筆者の野戦行きが決まるところから始まります。そして筆者の分隊がニユーブリテン島のバイエンで全滅するまでを描いています。筆者の連隊はパラオのガスパンに一時滞在したあと、ニューブリテン島に上陸し、戦闘の最前線にいよいよ向かいます。

 本巻の251ページから第6巻にかけての筆者のラバウルでの様子を描いた個所で、ところどころの印刷が荒くなっています。該当個所は「地獄と天国」という作品のセリフを変えて再利用した個所で、おそらく原稿ではなく印刷物から復刻したことによると思われます。「地獄と天国」は『水木しげる戦記傑作大全 別巻』で読むことができますが、これも雑誌から復刻されているので鮮明ではありません。


零戦撃墜王―空戦八年の記録 (光人社NF文庫)

[ 文庫 ]
零戦撃墜王―空戦八年の記録 (光人社NF文庫)

・岩本 徹三
【光人社】
発売日: 1994-05
参考価格: 840 円(税込み)
販売価格: 840 円(税込)
中古価格: 365円〜
( 通常24時間以内に発送 )
零戦撃墜王―空戦八年の記録 (光人社NF文庫)
岩本 徹三
カスタマー平均評価:  4.5
戦神に愛された男
日本海軍トップの撃墜王。 彼の淡々とした戦史の中に。 戦いが日常化している現実を見、 また、男の闘争本能をみる。 理不尽な軍隊の中で、 精一杯自分に与えられた任務を果たした、 下士官の記録。 彼の記録した撃墜数202機は、 男の矜持である。 これを信じなくて、なにを信じようか。 日本の搭乗員は大変優秀だった。 あの長い戦争の中で、 前線に立ちながら、生き残ったいた 撃墜数202機は、太平洋戦争一である。 あの長い戦争を 撃墜王として生き残った。 それだけでも、素晴らしい。 戦神に最も愛された零戦搭乗員である。 光人社編集がちょっとなぁと感じているので、 星は4つ。 現在入手困難だが、 零戦撃墜王―空戦八年の回顧 こちらなら星5つ。 天下の浪人虎徹。 彼は自らを浪人と評している。 日本の海軍の中で、 自分を浪人と感じていた彼が。 哀しくて愛しい。
撃墜数202機に偽りなし!!
中国、真珠湾、アーリューシャン、ラバウル、トラック、フィリピン、沖縄。 岩本は常に戦場にいた。 撃墜数が多いのはその多くが邀撃戦によるものだからだ。物量の敵は100機200機と一日に何回も爆撃に来る。 敵の数だけ撃墜数も増えていく。 坂井三郎の大空のサムライと違うコースを歩んでいるのも読む価値のあるところだ。 坂井が開戦時台南空からフィリピンを攻撃したのに対し、岩本は真珠湾、珊瑚海海線と空母搭乗員だった。 坂井はガダルカナルでの出撃で負傷し日本へ帰国したのに対し、岩本は日本が苦しいときも常に第一線で戦い続けていた。 18年にはすでにこう言っている。 「もう誰の目にも勝敗は明らかだった。我々はただ卑怯者になりたくないために戦っていた。それがラバウル魂だ。」 沖縄戦ではさよならバンクをふって敵艦に体当たりする特攻隊を見送るシーンが何度となく描かれている。どんな気持ちで見送っていたのだろう。
零戦撃墜王 空戦八年の記録
冷静沈着にして勇猛果敢 優れた状況判断 毎日が生死をかけた 空中戦の日々を淡々と書いておられるが 現在の私達が生きている生活環境
では想像もつかない日々を生き抜いてこられたことは嬉しい限りです
戦後は戦中とは違う戦いの日々だったと思いますが若くして亡くなられた事は残念です 岩本氏の生の話や記事などをもっと見聞したかった
岩本ファン必読
岩本氏の戦闘記録を読んで、興味深いのは次の2点である。

第一に、戦術眼で勝敗が決まるということ。敵がどの位置からあらわれるか、どんな機種があらわれるか、どこまで深追いしてよいか、ということを、岩本氏は、おそらく天才と経験で知っていたのである。
この本には書いてないが、岩本氏の視力は1・0くらいだったといわれる。しかし、敵機の発見は早かったというのは、読んでいたからなのだ。同様のことは、坂井三郎氏も指摘している。

第二に、集団行動では指揮官の能力で全員の運命がきまること。経験の浅い指揮官に率いられた部隊は全滅に近くやられ、逆にすぐれた戦術眼をもった指揮官が率いると、味方の損害は少なく、戦果が上がる。
このあたりは現代の組織にも通じるものがあるだろう。
とくに戦争では、人の生死という形で、はっきりそれがあらわれるので、おそろしい。

文体の変化が興味深い。中国戦線では、高度をさげて牧場の牛をおどかしたりして遊んでいたし、珊瑚海海戦でも、張り詰めた中にも武人として充実していたことが伺われる。
ガラっとかわるのが、珊瑚海海戦の帰投からである。珊瑚海海戦で、岩本氏は、初めて一作戦で味方が多く失われるのを経験し落胆する。そして内地にもどってミッドウェイの敗戦を知る。
そこからは、読んでいても、いらいらしているのがよく伝わってくる。
開戦初頭のような充実感は影をひそめ、せまりくる敵にとにもかくにも立ち向かっている、という印象である。
要するに、珊瑚海、ミッドウェイあたりを境に、岩本氏の意識から、戦争への勝利、という目標が消えていくのである。
ラバウル防空戦も本書のハイライトのひとつだが、それとても、勝利への一歩というつもりで戦っていたのではない。壁がくずれないように支えている、という印象を持つ。
仕事をする人間として、こういう状況はつらいものがあっただろう。

特攻についても、短いが印象的な記述がある。特攻が知れ渡ると全軍の士気は目に見えて落ちた、というものである。
岩本氏のような歴戦のパイロットになると、精神論はともかく、戦術としての特攻攻撃の無意味さを、当時の前線の状況から、しみじみと悟っていたのであろう。
日本海軍航空隊の至宝
撃墜機数202機!伝説のトップエース、日本海軍航空隊の至宝が書き遺した撃墜記録。日本最高の撃墜記録を持つ、岩本徹三 元海軍中尉(34期操練)の豊富な実戦経験、撃墜の真髄を書き記した回想録。
本作品は岩本氏が公表するつもりで書かれた回想録であったが、
昭和30年に病死されて以来、ご婦人のもとに保管され、日の目を見る事のなかった彼の遺稿である。まさに海軍いや日本の至宝であった岩本氏の遺稿を読まずして、空戦は語れないでしょう。
どちらかというと欧米型である一撃離脱戦法を極意とする。
巴戦(旋回し合って背後を取りあう戦い)は最終手段とするのが、撃墜王に共通する戦い方といえよう。しかも彼は、操練出身の兵隊あがりにも関わらず、中隊長を務めていたのである。搭乗員が不足していたとはいえ、彼に対する軍のよせる期待の大きさが伺える。まさに特別待遇と言える。
また、三号爆弾(空対空爆裂弾)の第一人者である岩本氏の投弾方法なども書かれており、非常に興味深い。彼の文章は自信に満ち溢れ、空戦を極めた男のかもしだす一匹狼的な雰囲気が感じられる。
また愛機に描く「桜」の撃墜マーク(大型機は八重桜)に誇りを持っておられたようで、文中にもしばしば登場する。しかも桜が60個以上ついた歴戦の愛機は、内地に送られて国民を鼓舞する為に展示されたのだそうだ。後輩たちも、その無数にある撃墜マークに憧れ、畏怖したであろうことは想像に難くない。敵機も253-102号機には一目置いていたに違いない。常に最前線にあって、終戦まで活躍した数少ない英雄の遺稿を是非読んで欲しい。


野望の系譜 闇の支配者 腐った権力者 (講談社プラスアルファ文庫)

[ 文庫 ]
野望の系譜 闇の支配者 腐った権力者 (講談社プラスアルファ文庫)

・共同通信社社会部
【講談社】
発売日: 2001-05
参考価格: 714 円(税込み)
販売価格: 714 円(税込)
中古価格: 147円〜
( 通常24時間以内に発送 )
野望の系譜 闇の支配者 腐った権力者 (講談社プラスアルファ文庫)
共同通信社社会部
カスタマー平均評価:  4
「表=善、裏=悪」と単純には割り切れない
竹下登が総裁指名を受けた二週間ほど前、彼は田中角栄邸を訪問し門前払いされるが、それでもそれを境に日本皇民党の竹下に対する「ほめ殺し」の街頭宣伝はピタリと止むのである。皇民党の街宣活動の根底にあったものは義侠心で、裏社会の人間たちが必ずしも金だけで動くタイプでないことが本書からわかる。そして表社会の秩序維持のため、表社会が裏社会を利用してきたことも事実で、「表=善、裏=悪」と単純に割り切れるものではない。一人一人の人間に裏と表がある限り、社会の裏と表が無くなることもないだろう。
日本に息づく闇の社会、知らなくてもいいけど、知っていれば見る目が変わる
事実の積み重ねに圧倒されてしまう。それが本書を読んではじめに思ったことである。

共同通信社は、日本中、世界中の報道機関にニュースを配信する会社だ。この会社にある情報は、取材を重ねた事実だ。本書では、その事実が余すことなく登場してくる。日本はこういう社会だったのか。こういう風に動いていたのかと、一抹の悲しさを伴って理解できるようになる。さすが通信社の社会部が執筆した本、非常に分かりやすいし読みやすい。書かれている内容を知らなくても生活できる。しかし、こういう世界もあるのだということを知っていれば、社会を見る目は明らかに変わる。

政治の世界、闇の権力社会も世代交代が進み、本書に登場してくる人物も故人が多い。しかし彼らが亡くなったからといって、その構造が劇的に変わるということはないだろう。日本に息づく闇の社会、その闇に鋭くスポットライトを当てたのが本書だ。


古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)

[ 文庫 ]
古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)

・シュリーマン
【新潮社】
発売日: 1977-08
参考価格: 380 円(税込み)
販売価格: 380 円(税込)
中古価格: 1円〜
( 通常24時間以内に発送 )
古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)
シュリーマン
カスタマー平均評価:  4
学問への意志を見出すことが出来る
本書は、読書感想文の候補となる本のひとつであろう。 この本を読むと理解できると思うが、シュリーマンの成功は少年時代にある。少年のシュリーマンは、古代の歴史に強烈な興味を抱いていた父親からホメロスの英雄たちの功績、トロイア戦争のさまざまな出来事、の物語を語ってもらったことにより感銘を受けた。その後シュリーマン自身商人として成功しながらも古代への想いをさらに強めていく様子が力強い言葉で描かれている。 ここには、学問を志す人のひとつの純粋な精神の有り方を見出すことが出来る。 このため、これから立ちはだかるであろう学問の障壁へ向かおうとする人々にとっても読まれるべき本である。 一方、遺跡に関する後半の具体的な記述が、もっと図示されていたなら理解が更に深まったのではとやや悔やまれるが、この部分は他の著書に当たるべきなのであろう。
夢に生きる素晴らしさ
幼い頃の夢を追い続け、あらゆる困難を乗り越えて偉大な業績を成し遂げたシュリーマンの自伝。 幾つかある中で最も内容がまとまっているように思う。 彼は8才の時クリスマスに世界史の本をプレゼントされ、以来トロイア発掘を夢見るようになる。 貧しい牧師の出身ながら辛酸を通過してギリシャ有数の大富豪となり、私財を投じて「トロイア」を発掘した。 実は彼が発見した「トロイア遺跡」は今、年代が一致しないという批判を受けるようになっている。また当時の考古学者は「素人の発掘作業である」として難色を示していた。 しかし、彼の方法は考古学にあるパラダイム転換をもたらした。 当時古典文献学は叙事詩や歴史文献を単なる空想の産物とみなし、芸術として批評する向きがあった。発掘作業も建築学・美術的な観点からの遺跡解明が旨であり、出土する装飾品・日常品には意味を見出さなかった。 つまり、古代の生活をつまびらかに知ることなどできない、という前提に立っていた。 これに対しシュリーマンの方法とは、ホメロスの叙事詩を史実の反映とみなし、これらを裏付ける証拠を地中から取り出し、古代の歴史文化を明らかにしようとするものだった。 この行動主義的姿勢が、当時発展途上だった先史学の動きや、科学的年代測定法などの確立と結びついて、発掘を補助手段として幅広い歴史研究をおこなうダイナミックな近代学問に発展。 ここから、近代以降の偉大な研究業績が生まれていったのである。 シュリーマンは信念と夢によって、逆境を克服し、近代学問の枠組みを変えた。この事実は歴史に揺るぎなく刻まれ、私たちを励ましてくれる。 なお、本書で紹介されている彼の外国語習得法は、学習者にとって非常に参考になる内容なので簡単に示しておく。 ・聴衆をおいて、意味にこだわらず何度もテキスト(小説など)を音読する。 ・興味ある事柄について毎日作文を書き、添削してもらう。 ・気に入った物語を丸暗記する。 今日的視点からも合理的で優れたやり方であるが、この学習法の基本的姿勢もまた、夢・情熱に支えられた観点から生まれていることに注目したい。 彼はこの方法で実に、18カ国語を習得したという。
情熱こそ、たった一度しかない人生成就の原点である。
信念は現実化する。私の座右の銘の一つである。シュリーマン著『古代への情熱』、これを最初に紐解いたのは25,6歳の頃であった。科学者を目指し、上阪を果たした私にとっては当時のバイブルであった。本著は、著者夫人による前書、友人マイヤーによる後記、そして7章、すなわち1)少年時代と、商人としての人生行路、2)?6)には発掘への軌跡が記述され、そして7)晩年、からなる。かの偉人は、ホメロスの描くトロイヤ戦争を“史実”として証明せんがため、40歳よりいよいよその本格的な準備と発掘にとりかかる。不惑を迎える迄の間、実業家として財産形成に専念する傍ら、本発掘作業へ備えて、彼は確かな“準備”と着実な“計画”を練っていた。すごい人である。一大学教員である私は、講義の最後に必ず本著を学生に紹介している。物事を成し遂げる事への“情熱”を知ってもらわんが為、かつ一度しかない人生への“直覚”を促したいが故である。不惑を今年迎えた私にとって、本著は、一方で初読後とは異なる“ある所感”をも与えてくれた。信念の大切さはもちろんだが、物事の成就には10年単位の準備が必要である、ということである。私の場合、今後の“準備と計画”は、従って50歳にして成るということだ。人生の軌跡を再考したとき、私は無意識にこれを行ってきたような気もする。しかし、偉人の文字によってわがこれまでの生き様を再観したとき、それはある“確信”へと変わった。『信念は現実化する』のである。一説には、実業家として成功した彼の、これを売名行為とする向きもある。だが、それはそれでよいではないか。巨万の冨を本事に捧げたのは“事実”であり、かつ偉大なる大事を成し遂げた“結果”は永遠に不滅なのだから。巷には多くの人生成功のハウツー本があふれている。このような“寄せ木細工”を読む暇があれば、本著を読むべし。真の“情熱”は原典をもって感化するのである。
嘘つきシュリーマン
 現在までの研究で、このシュリーマン自伝は嘘八百であることが明らかになっている。シュリーマンは成金で、四十六歳になるまで考古学になど何の興味もなく、それまでの研究成果を利用して莫大な金をつぎこみ、自分の業績を宣伝しまくったのである。詳細はツァンガー『甦るトロイア戦争』やトレイル『シュリーマン?黄金と偽りのトロイ』に詳しい。
古代への情熱
インド藍で巨万の富を得た後、トロイの遺跡を発掘すると言うロマンを追い、実現したドイツ人シュリーマンのお話。これが好きで、何回読み直したことか、、、無人島に一冊持って行くなら、絶対これです。

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

[ 単行本 ]
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

・ジョン ダワー
【岩波書店】
発売日: 2004-02
参考価格: 2,730 円(税込み)
販売価格: 2,730 円(税込)
中古価格: 2,100円〜
( 通常24時間以内に発送 )
敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人 ※一部大型商品を除く
ジョン ダワー
カスタマー平均評価:  5
日本人の民主主義の一つの出発点を示す
上からの民主主義とは何だったのかということを考えさせられる。戦後60年たち昭和の終わった今も、この時期に下された様々な決定の影響下で生きていることを思わせる。私たち、この時代を知らないものにとっては、やはりそれを外から研究したアメリカ人の論考はとても読みやすい。その読みやすさの意味も考える上で、当時を生きた人の文章も同時に読むべきかもしれない。
勉強になりました
勉強になりました。全ての日本人は読むべきですよ。国家に騙されないためにね。 戦時中に国体を叫び庶民に犠牲を強いていた戦争指導者達が、戦争に負けた途端、 証拠書類の償却や軍需物資の横流しに躍起になっている姿が印象的だった。上野公園で 毎日何百人の餓死者が出ているのに彼らは私服を肥やすのに懸命だった。 これは、今現在、エリート層のやっていることと同じじゃないかと思う。 国体を叫ぶ代わりに「美しい国」を叫んでいる間に、指導者層達は税金のちょろまかしを して私腹を肥やしているという構図である。 負けを見るのは一般庶民である。歴史から学ぶことの重要性を、この本は教えてくれた。 「歴史は繰り返す」ということも教えてくれた。日本国家に騙されたくない人は 読むべきだ。
普通の人々の物語
米国における日本史研究の大家、ジョン・ダワーが著した本書『敗北を抱きしめて』は、敗戦からサンフランシスコ講和に至る占領下の日本の7年間を生き生きと描き出すものである。占領軍による改革は勝者による「押し付け」であったとし、その産物である戦後民主主義に対して否定的なスタンスを取る言説は今なお根強い。しかしながら著者は、「押し付け」の構造があったこと自体は肯定しつつも、しかし敗者の側を一方的に受動的な存在であったとみることを拒絶する。単に「勝者が敗者に何をしたか」ではなく、日本占領を「抱擁」として捉え、敗者が勝者にどのような影響を与えたのかに着目するのである。 そのような問題意識の下に、著者は、占領期日本の社会・文化に焦点を当て、「民衆意識」を掬い取ろうとする。「瓦礫となった世界において、社会の全ての階層の人々の声を回復し、全てをやり直すということ、それがどんなことを意味したかを感じ取ろうと努力した」(P9)というのである。 そんな本書は、まさに日本の「社会の全ての階層の人々」が、敗戦をどう迎え、あの戦争をどう認識し、占領軍とその改革にどう向き合い、平和と民主主義についてどう考えたかを描き出す「敗北の物語」である。上巻では、あの戦争のもたらした破壊と絶望、虚脱感を克服せんとするかのように登場してきた新しい文化、そしてGHQの改革とそれに対する民衆の呼応が描かれる。「戦後レジーム」からの脱却が叫ばれる今、そもそも日本の「戦後」とは何だったのかを考え直す上で本書は避けては通れない一冊であろう。戦後日本の「普通の人々」の生き様を描いたこのドラマティックな「物語」をじっくりと味わいたい。
善悪はっきり、西部劇の如し
上巻は山田風太郎や安岡章太郎の本などで既に知っていたことが多く、あまりインパクトがなかった。戦中派の人々には尚更そうであろう。ただ著者の意図としては、原題からも分かるように、パンパン:米軍人=マッカーサー:昭和天皇という倒錯図式を嗤いたかったわけで、日本版でもこの部分は構成上外せなかったのかもしれない。下巻のフェラーズ准将なる人物が登場してから、俄然興味深くなる。
日本人が触れたくない部分意識したくない部分?
たまたま手塚治虫の戦争直後の混乱期の漫画を読んでいたあとだったが、観察者視点と当事者視点ではどうも違うようだ。手塚治虫の漫画では、この本と同じように戦争からの開放感と同じに、この本では書かれていない反米感情、嫌米感情が薄い。恐らく一次資料を新聞や公式文書に頼っているからかもしれない。この本には当時の生活に関するインタビューが一切出てこない。新聞がインタビューしたものを使っているだけである。 方法論上、かなり問題はあるが、日本人が触れたくない部分について書いてある点で評価できる。

敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人

[ 単行本 ]
敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人

・ジョン ダワー
【岩波書店】
発売日: 2004-02
参考価格: 2,730 円(税込み)
販売価格: 2,730 円(税込)
中古価格: 1,900円〜
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敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人 ※一部大型商品を除く
ジョン ダワー
カスタマー平均評価:  4
日本の「戦後」の原点
米国における日本史研究の大家、ジョン・ダワーが著した本書『敗北を抱きしめて』は、敗戦からサンフランシスコ講和に至る占領下の日本の7年間を生き生きと描き出すものである。占領軍による改革は勝者による「押し付け」であったとし、その産物である戦後民主主義に対して否定的なスタンスを取る言説は今なお根強い。しかしながら著者は、「押し付け」の構造があったこと自体は肯定しつつも、しかし敗者の側を一方的に受動的な存在であったとみることを拒絶する。単に「勝者が敗者に何をしたか」ではなく、日本占領を「抱擁」として捉え、敗者が勝者にどのような影響を与えたのかに着目するのである。 下巻では天皇の「人間宣言」、新憲法制定、東京裁判が描かれ、敗者たる日本の保守指導層が「上からの革命」を変質させ、戦後の「天皇制民主主義」を築き上げていく過程が描かれる。さらに、日本の経済成長を支えることになり、かつ米国が批判してやまない日本の官僚主義的資本主義についても、実はそれが占領期における「日米合作」の遺産だということが論じられている。 「戦後レジーム」からの脱却が叫ばれる今、そもそも日本の「戦後」とは何だったのかを考え直す上で本書は避けては通れない一冊であろう。 「日本はどうすれば、他国に残虐な破壊をもたらす能力を独力で持つことなく、世界の国々や世界の人々からまじめに言い分を聞いてもらえる国になれるのか?」(下P427) 岐路に立つ今、ダワーのこの問いかけは重い。
ブッシュの中東民主化幻想を米国人に信じさせた本
ダワーによると45年憲法はマッカーサーが中国やオーストラリアから天皇を守る為、あのような規定にしたという。また天皇制護持もハーン好きのフェラーズという一軍人の思想の影響が大きかったと。どうも信じられない。天皇制をどうするかといった重大事項は大統領をはじめ本国のもっと上のレベルで決定されていたはずだ。完全に武力制圧したマッカーサー司令部が日本人の「ゲリラ戦」や共産主義の浸透を本気で恐れたとも思えない。やはり天皇人質作戦が奏功して米国の国益追求に徹した占領が成功したのだ。ただ結果的に日本国憲法は確かに松本案などより良いところのあるものになったとは思う。また神格否定も良かった。でも米国がどこかの国に占領され基督の「人間宣言」を強制されても従うとは思えない。全く同じ位良いことなのだが.........。(やはり寺崎は曲者。)
やりたい放題
上巻とは違い下巻は、占領政策の核となる部分の話である。一つは、戦争犯罪人および東京裁判の話である。もう一つは、アメリカ軍による思想統制の話である。要は検閲である。 日本に自由と民主主義を植え付けるという名目で、思想統制を行い、知恵のあるものを裁判に送り、やりたい放題である。思想統制すなわち検閲は、GHQの構成員個人のスキャンダルを含め名誉を維持するためのものから、反共産主義の防波堤のための国家づくり至るまでありとあらゆる場合で行われている。しかも、確固とした基準があるわけでもなく、むしろ行き当たりばったりで、勝者による敗者いじめ以外の何物でもないようにしか思えない。特に東京裁判はひどいものである。ここ数年間は夏恒例のテレビで東京裁判を取り上げることはなくなったもの、何度も見た経験からその酷さはよくわかっている。そもそも、裁く立場にある判事は、英米法の知識どころか、実際の国際裁判に関する知識も何もない人間たちで構成されている。まさにアメリカおよびイギリスの操り人形にしかすぎない。ハル判事の反発も見事なまでの無視である。大東亜戦争を正当化する気はないか、彼はあくまでも勝者が敗者をたたくためのものでしかありえない。 このような情報統制、思想統制は、アフガニスタンやイラクでも行われていることであろう。日本の占領下は、総力戦を10数年にわたり戦いぬいてきたために、精神的にも肉体的にも規制してきたために比較的簡単に統制がうまくいったのであろう。もちろん、日本人の自由意思感覚のなさや勝ち馬に乗るという独特の思考問題も抱えているだろうが。アメリカ人やイギリス人のこのような感覚での海外での展開は、決して平和をもたらすものではなく憎しみを増加させるだけのものであろう。 この本は、上巻とのカスとり文化のような大衆文化の話よりも、政治的思想統制の話であり、下巻の方がかなりの価値を持つと思われる。
植民地弁解本なんじゃない?
最初に読んだ時は圧倒的な資料と綺麗な言葉で感動させられたがよくよく考えてみるとアメリカは開放軍と迎えられてアメリカの作った新憲法は結局良かった。日本のアメリカ化は正しかったといいたい本なんじゃないかと思った。そう思った一番の理由は米英を攻撃した理由を後先考えず場当たり的に攻撃したと説明されてたからです。たしか本当は西側諸国の経済封鎖に追い詰められて切羽詰ってやけくそになって戦争したのが真実だったはずです。裁判の発起人であるアメリカが仕掛け人だからこの裁判偽善だと言ったのがパル判事の主な主張だったはずです。最近の日本の没落はアメリカの新教育で日本人がバカになったからだと思う。それをWW2で後先考えず場あたり的に攻撃したと説明して今回の没落もそれと同じことだと説明するダワーの誠実さに疑問に感じます。 非常にやっかいな植民地弁解本だと思う
口承歴史
本書を読んだときに、私が違和感を感じ立ち止まってしまうのは、口承歴史(oral history)と公的歴史の差なのかもしれない。歴史の時間で教えられる歴史以外に、自分を取り囲む人たちから口で伝えられた歴史があるからかもしれない。それは、軍部の堕落であり、戦中のプロパガンダであり、闇市であり、共産主義の台頭であり、天皇制がいかに日本の歴史において機能してきたかということである。それでも、私に口承歴史を伝えてくれた人々は、悲惨な歴史の中でも生き延びるためにその人たちが発揮した知恵と、自分の国と国の歴史に誇りを持つことの大切さであった。本書は、この口承歴史と公的な歴史のハザマを行っているような気がしてならない。

ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)

[ 文庫 ]
ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)

・マーク ボウデン
【早川書房】
発売日: 2002-03
参考価格: 693 円(税込み)
販売価格: 693 円(税込)
中古価格: 100円〜
( 通常24時間以内に発送 )
ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)
マーク ボウデン
カスタマー平均評価:  4.5
何かを感じさせる作品
この作品は1993年にソマリアで起きた米軍の失敗した作戦を書いた作品ですタイトルにもある通り自分は読んで何かを感じました。 言葉では言い表せませんが読んだあと何とも言えない感じになりました。作戦は良かったのか紛争に介入したのが間違っていたのか…読んだ人々によって変わると思います。
混乱
約15人隊員が居るので誰が誰だかわからなくなってしまうかも知れません。でもそこを除けば面白いと思います。
BHD
下巻のみのレビューを書く,というのも変な気がしますが参考までに.

この本は史実に基づいて記述されていることは,このレビューをごらんの皆さんはご存知だと思います.
映画化もされていますが,映画ではストーリー性を出すためにいくつかの点が(史実と)変更されている部分も多くなっています.

実際にそのときにソマリアで何が起こったのか,ある程度の軍事・歴史・民族知識は必要になりますが,この本を読めば理解できると思います.

アメリカが何を考え,何を目標にして世界各地に進出しているのか.
利権主義だけではなく,「彼らの考える正義」のために動くこともある,という良い例ではないでしょうか.

#他の国から見ればそれは異なった価値観の押し付けになることもありますが…

軍事物、というよりは歴史物、という観点で見ると面白いと思われます.


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 更新日 2007年10月24日   ※ 表示価格は更新時のものです!      メール      相互リンク